さよなら、パパとママ――運命をリセットするフェリシアの決意
――――シルヴァーナの視点。
黒い仮面の男が目の前に現れた。
どこかで……会ったような気がする。
「久しぶりだな……」
不気味な声が耳に届く。
でも、思い出せない。ただ、何かが引っかかるだけだった。
エリスが震える声を漏らす。
「私たちを……殺しに来たの……」
マリスも必死で声を張る。
「お願い、助けて……!」
ロウィンが自分の力を振り絞るのが見える。
「どういうことだ? 俺の力が全く通じない……」
男はにやりと笑った。
「そうだ! 俺は、未来のお前だ!」
――言葉を失った。
彼は冷笑を浮かべた。
「とんだ茶番だ」
私の体が思わず前に出る。
「どういうことなの?」
未来のロウィンは大きく手を振る。
「神々とダークエルフの戦いを引き起こし、シルヴァーナを殺した黒幕は……エリスとマリスだ」
エリスは必死に否定する。
「そんなことするわけないじゃない!」
マリスも声を荒げる。
「おかしなこと言わないで!」
未来のロウィンは冷静に続けた。
「これは『死者の言霊』。ダークエルフに伝わる秘密のアイテムだ。この中には、シルヴァーナの声が残されている」
小さな声が、意識に忍び込んできた。
「時空管理局を操り……神々がダークエルフを滅ぼし……ロウィンに千年魔法を使わせ、神々も全滅させるように仕向けたのは…エリスとマリス……。時空の民も消えたわ。私も不意打ちで……コンティニューが使えない……娘たちも……。ごめんなさい……」
私は息を呑んだ。
ロウィンが、その場に力なく座り込むのが見える。
「俺は騙されていたのか……」
胸が締め付けられ、言葉も出なかった。
エリスは頬を膨らませ、マリスは楽しげな笑みを浮かべる。
「せっかくの計画が台無し」
「もう、皆殺しね」
未来のロウィンがフェリシアに呼びかける。
「フェリシア、迷うな! お前にしかできないことだ!」
――皆の視線が、一斉にフェリシアに注がれる。
「パパ……」
その声には、揺るがぬ決意が宿っていた。
フェリシアは両手で魔法陣を描く。
「運命交響曲!」
その瞬間、未来のあらゆる分岐点がリセットされた。
神々、ダークエルフ、時空の民の滅亡――シルヴァーナと娘たちの死も、すべてなかったことに。
未来のロウィンとフェリシアの姿がゆっくり消えていく。
エリスとマリスも同様だ。
「コンティニューが使えない……」
エリスが泣き始める。
「どうして……?」
マリスも、驚きの表情を浮かべる。
フェリシアが告げる。
「あなたたちが全ての元凶。私の最後の力で、存在そのものを消したのよ」
彼女は目を閉じ、深呼吸をひとつ。
そして穏やかな微笑みを浮かべる。
「私も存在しなかったことになる。でも、パパとママに会えてよかった」
その言葉とともに、フェリシアは完全に姿を消した。
未来のロウィンも再び口を開く。
「俺もコンティニューで戻れない。お前たちの手で、これからの新しい未来を描くんだ」
彼も完全に消え、静寂が残る。
その重みが、私の胸にずしりとのしかかってきた。
――フェリシアの力が放たれた後、彼女の目の前にウィンドウが現れる。
「転生しますか? もう終わりますか?」
全ての時間と空間を超えた、最終的な選択が、フェリシアに突きつけられた。
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