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勇者、大人の階段を上る

 ――――シルヴァーナの視点。


 『ヒーローズ・カレッジ』からの帰り道――。


 私は自己紹介の件で、ロウィンに平謝りしていた。


 そのとき、彼が微笑みながらぽつりとつぶやいた。


「可愛い」


 胸の奥にじんわりと温かさが広がる。素直に喜ぶ自分がいた。

 自分をさらけ出す心地よさを味わうのは、初めてのことだった。


 ――その夜。


 胸の高鳴りで、私はなかなか眠れなかった。

 新しい一歩を踏み出す決意が、心を震わせる。


 そっとロウィンの寝室に向かい、ベッドに忍び込む。

 驚かせようとしたその瞬間、耳に届いたのは予想外の声だった。


「遅いじゃない」


 ――ベッドに寝転ぶ母、ルミエールがいた。


 無防備な姿に、思わず息を呑む。


「母上! いつ戻ってきたんですか?」


「さっきよ。婚約おめでとう」


 その言葉に、私は思わずほほを赤くした。


「え、ええっ!? どうしてそれを……!」


 ルミエールは優しく私を見つめ、くすりと笑った。


「ロウィンからも聞いているわ……まだまだ子供ね」


「そ、それは……急なことだったから……」


 動揺を隠せない私に、母は柔らかく言った。


「二人の関係を応援しているわ。ロウィンも素敵な人だから、安心していいのよ」


 扉が開き、ロウィンが入ってきた。


「どうして何も身に着けていないんだ?」


 慌てた私は必死に姿勢を正す。


「えっと……その……」


 ルミエールはにやりと笑う。


「シルヴァーナはロウィンに会いに来たんでしょ?」


 ロウィンは胸の高鳴りを隠せなかった。


「嬉しいよ」


 私たちが見つめ合った瞬間、ルミエールは転移魔法で姿を消した。


 夜の時間が、ゆっくりと静かに流れる。


 私は少し大人びた表情で告げた。


「ロウィンと、もっと心を通わせたい――」


 その瞳に込めた想いは、言葉以上に真っ直ぐで、深く確かなものだった。

 最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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