タイムリーパーの俺、時間を戻して魔物に立ち向かう
俺は「はじまりの町」を出て少し進んだところで、前方に二人の女性を見つけた。息を切らし、必死に走っている。背後からは異形の魔物が迫り、地面を震わせる足音が響く。
肩にしがみつく少女。その腕に絡む小さな手。彼女たちの必死な表情が、俺の胸を締め付けた。
「もう、無理よ……!」
「まだ、あきらめない……!」
俺はその光景を目にし、咄嗟に駆け寄ろうとした。
「待て!」
しかし、一人の女性が叫んで俺を制止した。
「来ないで! 巻き込まれるだけよ!」
それでも俺は立ち止まらず、彼女たちの前に立った。巨大な魔物の足音が近づき、俺は深く息を吸い込む。
突然、彼女の動きが止まり、恐怖に満ちた声で叫んだ。
「お願い、離れて……!」
その瞬間、時間が止まったように感じた。周囲の空気が張りつめ、全てが静まり返る。俺の視界を、光の軌跡が一瞬走り抜けた。
心の中で叫ぶ。
「今だ、時間を!」
体を包む感覚。目の前の魔物が逆に動き出し、触手が後ろへ引っ込む。巨体が少しずつ遠ざかっていく。
俺は力を制御し、魔物の動きを完全に止めた。
「この力は……?」
動かぬ巨体の隙を突いて、俺は女性たちを安全な場所へ導いた。
震える声で一人が訊く。
「あなた……何をしたの?」
「わからない……でも、確かに何かが起きた」
驚きの中で答える俺に、もう一人が近づき肩に手を置いた。
「もしかして、あなたも“タイムリーパー”?」
「なんだそれは?」
「時間を操る者のことよ。もしそうなら、一緒に戦う時が来たのかもしれない」
その言葉に、俺の心が揺れる。偶然じゃない、何かが動き始めている——そんな確信が胸を満たした。
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