最強のお嬢様が選ぶのは、婚約者候補じゃなくて、ただの幼馴染でした
――――シルヴァーナの視点。
古きダークエルフの居城の一角、華やかな意匠が並ぶ大広間で、私はロウィンと穏やかな時間を過ごしていた。長い歴史を湛える空間に、執事のダークエルフが厳かに現れた。
「お嬢様、ロウィン様、晩餐会の準備が整いました。どうぞ会場へ」
私は優雅に微笑んだ。
「あら、もうそんな時間? わかったわ、すぐ行くわ」
ロウィンは無言で頷き、私と共に廊下を進む。
晩餐会の会場は豪華絢爛だった。黒きワインの芳醇な香りが漂い、妖しい魔法の光が舞う中、ダークエルフの重鎮たちが集う。その壮観に、私は目を奪われたが、すぐに気持ちを落ち着け、ロウィンの隣に立つ。
突如、場が静まり返る。前当主ザルクスが堂々と壇上に向かい、その威厳ある姿が人々の視線を集めた。場の空気が一気に引き締まる。
「皆、よく集まってくれた」
ザルクスは低く深い声で語り始めた。
「今日は我が娘シルヴァーナの未来を決める日だ。彼女が歩むべき道を、共に見守り祝福しようではないか」
拍手が巻き起こる中、私の笑顔には緊張が滲んでいた。ロウィンはその様子を感じ取りながらも、黙してその場に立つ。
宴が進むにつれて、私の婚約者候補たちが紹介された。表情を和らげつつも、内心では複雑な思いを抱えていた。
最初に紹介されたのは、ダークエルフ王族の王子、アルヴァス・ダークブレード。堂々と立ち上がり、毅然とした態度で挨拶を述べる。
「シルヴァーナ、お嬢様。私の剣はあなたを守るためにあります。王族として、そして一人の戦士として、あなたに尽くす所存です」
私は心の中でため息をついた。
(堅苦しいわね。親しみが感じられない)
次に、バトルマスターのエリオット・シャドウフレイムが情熱的な言葉を放つ。
「シルヴァーナ、あなたのためならどんな試練も越えましょう。私の力を、あなたの未来のために使わせてください」
その熱意に満ちた態度に、私は顔をしかめた。
(また燃え尽きる覚悟とか言っちゃって。この熱さ、少し重すぎるわ)
最後に紹介されたのは、謀略家のザイラス・ノクタリス。彼は冷静で計算された言葉で語りかけた。
「シルヴァーナ様。私の知恵と力は、すべてあなたの望む未来のためにあります。我々が共に歩む道を定めましょう」
その冷めた態度に、私は警戒心を抱いた。
(全てを捧げるだなんて、胡散臭いわね。何を企んでいるのか、想像もつかない)
それぞれの言葉を聞きながら、心の奥で彼らの本質を探っていた。その視線がふとロウィンへと移る。
(彼なら、私がどんな選択をしてもそばにいてくれる。無理に守ろうとせず、ただ寄り添ってくれる……。それがどれほど心強いことか)
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