覚醒せし村人──時を操る力
――――ロウィンの視点。
バトルリーグの会場は、熱気と緊張に包まれていた。満員の観客席、上空の魔法照明がアリーナを照らす。その中央に、俺とアイリスが立っていた。
アイリスはこれまでの努力を思い返すように、冷たい視線を俺に向けている。焦りと絶望が、彼女の胸を締めつけているのが伝わってきた。かつてただの村人だった俺の戦い方には、異常な勢いが宿っている。まるで本物の勇者のようだ。
「今の君に俺を倒す力はない」
思わず俺は自信の笑みを浮かべた。
その表情を見て、アイリスは目を細め、決意を固める。
「私は負けない。どんな手を使っても、勇者としてあなたを超える!」
試合が始まった。
アイリスの「魂の源」から放たれた禁断の魔力が、空気を震わせ、アリーナに冷たい風を呼び込む。渦巻く魔力は彼女の意志に従い、俺を包み込んだ。
だが、俺の中には、時間の神クロノスから授かった絶対的な力が宿っている。手を広げると、空間に線が走り、巨大な「時空の門」が開いた。
門から現れたのは、光を反射する金色の体に、背中に羽根のような流線形の光をまとったクロノス。その力は、あらゆる時を支配する絶対のものだった。
クロノスの表情が変化するのを目の端で捉えた。俺が時の流れを操る力を手にしていることに、彼は気づいたらしい。その姿を前に、俺の内で何かが決定的に動き始めた。
「まさか、息子とこのような形で再会するとは……」
クロノスの声が会場を包み、時の断片が宙に舞った。空間全体が、彼の力に従うように反応している。
アイリスの魔力は、水面に投げ込まれた石のように消え去った。体は重く、何千年もの時間の圧力が全身を締めつける。彼女はそのまま地面に倒れ込む。
俺の中で、すべての時間が一つに結びついた。
「時は、もう、お前の手の中にある!」
クロノスの声が、俺に告げる。
「もう、この流れは止められない!」
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