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バトルリーグ最終章――光を喰らう氷の黒姫

 ――――シルヴァーナの視点。


 数日間の激闘で、多くの勇者候補が倒れていった。バトルリーグはついに最後の局面を迎えている。


 立っているのは――アレクシウス、アイリス、ロウィン、そして私だけだった。


 緊張の空気が肌を刺す。


 最初の一戦――私とアレクシウスの対決が、いま幕を開ける。


 彼は光を操るエルフ。

 正義感に突き動かされ、邪悪を打ち払う使命を背負っている。その姿勢の重さは、遠くからでも伝わる。


「ついにお前と戦う時が来たようだな」


 柔らかい声。計算と意図が混ざっているのがわかる。


 私は銀髪をなびかせ、感情を抑えた瞳で答えた。


「その輝き、私の力で断つ」



 試合開始――


 両腕を広げ、彼は空を指す。体から光があふれ、周囲を眩く照らす。


「我が力、ルシアフィールよ」


 神々しい精霊がゆっくり現れた。


 澄んだ青眼で彼を見上げ、ルシアフィールは一言。


「ご命令を」


 その声は高く、重みを帯びる。私の背筋に緊張が走る。


 アレクシウスは力強く応じる。


「光を示そう」


 二人の絆が場を満たす。光が空間を染め、エネルギーが渦を描く。

 精霊の羽が放つ光の刃が私めがけておそいかかる。


 しかし、私は動じない。手をかざし、闇の壁で光を弾き返す。

 影を操り、光の軌道を読み、すきを作る――私の魔法は冷静で、正確だ。


「冥王ハルバス・ドラウグス」


 その言葉に闇がふくらみ、空気が重さを帯びる。巨大な影が光を飲み込もうと迫る。


 ルシアフィールの顔に恐怖が走る。


「やめて――!」


 叫びが宙を舞う。


 精霊の羽が放った光の粒子は、ひとつ、またひとつと消えていく。闇が光を浸食し、世界をじわりとおおった。


 私は息を殺して見つめる。


 光の勢いが鈍り、肩の動きや呼吸の乱れから、彼の体力が限界に近いことが伝わってくる。


 再び光を振りかざす彼。

 しかし力は闇に引き戻され、肩が落ち、口元が震える。


「……頼む、どうか許してくれ……」


 私は視線をらさず、その背中と動きから、彼が力尽きかけていることをはっきりと感じた――その姿にはあらがえない絶望が宿っている。

 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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