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世界をかけた戦場で、俺たちはデートを約束する

 ――――ロウィンの視点。


 俺たちはサラと話し合い、それぞれ別行動を取ることにした。正しかったかどうかは分からない――だが、この一手がこれからの戦いの運命を揺るがすことだけは、確信していた。


 あの後、俺とシルヴァーナ、レイナ、かなえは、冥王ハルバス・ドラウグスの腹心、ノクス・カリエルを討ち取った。彼が人間界の要人に仕掛けた精神支配を解いたんだ。だが、残ったのは冷静な判断ではなく、抑えきれない欲望だった。


「ラグナヴィアは脅威だ! 奪われる前に奪え!」


 拳が壇上だんじょうに叩きつけられると、会場は喝采かっさいに包まれた。反対の声はかき消され、大艦隊派遣だいかんたいはけんの決議は瞬く間に通る。


 俺たちに残された時間は、もうわずかだった。


 一方、異世界ラグナヴィアではサラたちが奔走ほんそうしていた。冥王の魔力に操られた国々が侵攻を企てたが、彼女と仲間たちの説得で各国は剣を収め、共闘を選んだ。


「私たちは違う種族ニャン。でも、同じ未来を望んでいる。だから一緒に戦うニャ!」


 その言葉を真似て、広場で遊んでいた幼い子供が「一緒に戦うニャ!」と無邪気に叫んだ。広場に柔らかな笑いが広がり、やがて拍手へと変わっていく。重苦しかった空気がふっと和らぎ、群衆の心はひとつになった。



 俺は深く息をつく。胸の奥がひりつくように熱い。

 隣でシルヴァーナが小さく笑った。


「ねえ、全部が終わったら――デートしよう。月明かりの下、二人だけで歩きたいな」


 肩の力が抜け、緊張がゆっくりほどける。張り詰めていた感情が、彼女の声で少し和らいだ。


「そうだな。必ず行こう」


 シルヴァーナの横顔を見つめる。その強さと優しさに、心がそっとかれる。


「約束よ。楽しみにしているから、絶対に忘れないで」


 俺は彼女の瞳に映る月を見つめ、固く誓った。この約束こそ、どんな闇も超える、俺たちだけの光になる。

 最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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