2話
水槽屋。
エンジンを吹かしながら、高級外車が店先に止まった。
水槽屋、ともう一度言いながら、金髪、タトゥーが両腕、首元、足先から覗いてサングラスをかけたままの男女が降りてきた。
こんなところに熱帯魚か。
と言いながら、ズカズカ店の中に入ってきた。
相変わらず、ポンプと、吐水音だけの店内。
思わず、女の方がサングラスを外し、男の方に半歩近づいた。
おい、ここは客が来ても出迎えも無しか。と早々に注文を付けた。
奥から、
何をお探しで。
と、声だけ。
急に声だけが飛んできた。
お、おう、この中で一番たけぇ奴を貰おうか。
足元の水槽の生物は、南米にだけ住んでいる、とても貴重な物です。貴重過ぎて、まだどこにも出回っていない代物です。いかがで。
そこまで言うと、足元のその生物は、挨拶するように、水槽の中を跳ね回った。
女の方は、また半歩男に近付き腕を自分の方に引き寄せた。
そして、
気味悪いよ。もう行こう。
外に促すよう、少し引っ張った。
男は、何怖がってる。
そう言って、店の奥に声を掛けた。
値段は。
そう言って、暫く待つと、同じく配達するから住所と連絡先のメモを置いてくれと、声が帰ってきた。金額も、それなりに高い金額を提示しながら。
男も、若干手の震えを悟られないようメモを置き、女に催促されて出ていくように装いそそくさと車に乗り込んだ。
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