表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/10

0話

 近所に水槽屋、という店が出来た。

 水槽屋。

 アクアリウムを、和風に言い換えたのだろうか。

 少し店先を(のぞ)いてみた。


 屋号の通り、ガラスの長方形の水槽が、入り口から店の奥まで左右の壁沿いに、高さは天井に付くほど整列して並べている。


 奇妙な事に、全てに水が張っていて、水草がエアポンプの泡と、浄水機の吐水で揺らめいているのだが、中には生物、魚類、または両生類といったものが一匹もいない。


 一歩、二歩と水槽の一つ一つを確認するように、生物を確かめたく知らぬ間に店の奥の方まで来てしまっていた。

 やはり、なにもいない。

 水槽を売っているから、水槽屋。

 いやいや、全く同じ形の、サイズの、水槽を並べていても、色々な形、サイズ、デザイン、機能性などを並べてこそ、商売として成り立つはず、無機質に同じものを並べていても、と。


 少し歩みを店の奥に進めてみた。

 何かお探しで。

 店の奥の方からの、声が私に歩みを止めさせた。

 あ、いえ本当に水槽だけなんですね。と声の主に声を掛けた。

 これからですよ。

 声だけが帰ってきた。

 これから仕入れてくるので。

 それっきり、声はしなくなった。

 天井まである水槽の、全てのエアポンプと浄水機の吐水音が低く店中に唸っていた。

 じゃあ、また来ます。

 と声を、店の奥に投げかけ、そそくさと店を後にした。


 水槽屋。独り言のように先の店の名前を呟いた。

 店の主人だろうか。少なくとも客が来店したのだから、開店前であっても、出迎えもあっていいのでは、と(いぶか)しがりながら帰路に就いた。


 機意味の悪い。とまた、独り言を先程の店に対し呪文のように吐いた。


引き続き目を通していただき有難うございます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ