表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/10

プロローグ

 エアポンプの泡が、その発生する音と、水の中を漂い、割れる音とが途切れなく、部屋の中にその音だけが延々続いていた。

 エアポンプのモーターは低い音を発しながら、そのポンプが生み出した泡の先程の音と相まって泡という自然の音と、ポンプという人工の音が部屋中にその音だけがずっと続いていた。


 ここにいた魚は何て言うの、彼女は水槽の中を見ていった。


 特に。

 男はぶっきらぼうな声のトーンで答えた。


 ・・・。

 小さく溜息を彼女が付くのを聞き逃さなかった。


 一匹だけ?

 彼女は目線は相変わらず、水槽の魚に向けたまま。


 (つがい)で買っても、別に繁殖させるわけでもないし。

 男。


 一匹じゃかわいそう。

 彼女。


 じゃあ、もう一匹買う?

 男。


 コンコン水槽を叩きながら。

 一人じゃ寂しいよね。

 彼女。


 本当は、三匹居たんだ。

 男。


 え。じゃあその三匹は?

 彼女。


 さあ。

 男。


 フーン。と言いながら相変わらず彼女は、水槽から目を離さない。


 なんでだと思う。

 男。


 コンコン叩いていた手を止め。

 彼女。

 どうして。


 一匹じゃかわいそうだから。

 男。


 え。可哀想?・・・三匹でしょ。

 彼女。


 そう、死んだのはね。一人で死ぬのはかわいそうだから。一緒に逝ってあげればと思って。

 男。


 彼女は、スッと、水槽を叩いていた手を引いて、目線を水槽から外すが、決してこっちを見ない。


 いや、一緒にしてあげたんだよ。

 男。


 だから、なのね。

 彼女。

 だからこの水槽は空なのね。


 エアポンプと泡の音が部屋中に響いている。主の居ない水槽の中にはエアポンプから作られた泡と、浄水機から吐き出される水の音が部屋に充満していた。


 カーテン越しに、日が傾いてきた事を、オレンジ色をした日の明かりが知らせた。


拙作に目を通していただいて誠にありがとうございます。水槽で思いついて短時間で書き上げました。合わない所がありましても、笑ってお許しいただければ幸いです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ