6戦争
北の大地に送られてきて二年がたとうとしていた。
何となくここでの生活も安定してきたが貧しい土地のためどうしても財政に苦しめられていた。マリアンが前の領主の補佐をしていた執事を連れてきたり、領民を城で雇いお金を払うことで領民の生活を支えたりといろいろな手段で頑張ってみたもののいつも領民はギリギリの生活だった。
私たちはというとかなり魔法の技術も発達し結構な実力となっていた。そのため最近ではドラゴンクエストに行っている。私たちがここに来た時襲ってきた賊は貧しい隣国の国民でドラゴンクエストに向かう最中であったことが判明した。隣国ではドラゴンによる金銀財宝の被害がかなり出ているらしく、その宝物を目指すものも多くはないらしい。
「ヴィア、もうすぐ休もうか、」
先頭を走っていたレオンが振り返って聞いてきた。彼もこの二年でかなり人間らしい表情をするようになった。
「ええ、そうね。もうすぐ日が暮れるしこの辺で今日は休みましょ」
わらわらと多くの隊員たちが馬から降りてテントを張りだした。
「みんな明日には目的地に着くはずよ。今日はゆっくり休みましょう。」
そう言って私も自分専用のテントに入っていくと、あとからレオンが入ってきた。
「ヴィア一緒に寝よう」
最近はめっきり一緒に寝ることもなくなったしさすがに恥ずかしくなってきた。
「何言ってんのよ、子供じゃないし。早く出て行って」
「分かった。ちょっとからかいたかっただけだよそんなに怒らないで。」
けらけらと笑いながらテントの外へ出て行った彼を見送って就寝することにした。
次の日の朝、外に出ると入口にレオンがいた
「まさか、一晩中いたんじゃないでしょうね?」
いつも何を考えているかわからない彼だからやりかねないと思ったが
「まさか」
と言ってはにかんだのを見ると真相がうやむやになってしまった。
休息地から足早に立ち去り、ドラゴンのいる目的地まで向かった。かなり大きなブラックドラゴンがいるとうわさされているため油断はできない。だんだんと天候が荒れ始め雷が鳴り響いてきた。目的地はもうすぐだ、
「目標発見、戦闘隊は配置につけ」
前の方からレオンの声が聞こえた。上を向くとそこには空を覆いつくすほどの大きな翼が広がっていた。これはやるしかない。もしこれほど大きなドラゴンをすべて宝石に変えられたらこの国の優劣が完全に崩れるかもしれない。よし、やろう。地響きがした。
目標圏内。やれる、