4友達
真夜中に誰かがぶつぶつと言っている声で目が覚めた。
「だれ?」
マリアンではないことはわかるが誰かはわからなかった。
「ね、誰なの」
「、、、、、俺だ。」
凛としたこの声はほんの少しだが聞いたことがあった。
「レオンハルト殿下ですか?どうしてここに?」
なぜいつも殿下がここにいるのだろう。
「うなされていたから。」
不愛想にそう言って部屋を出ていこうとした。やだ、いかないで、一人にしないで。
「待って。あの、その、怖い、、です、いかないでください。」
小さな後ろ姿委総問いかけると少しめんどくさそうに振り向いてこっちに歩いてきた。
「ありがとうございます。あ、そうだほら一緒に布団に入ってお話しましょ!」
「え、え、布団に?本気で言っているのか?」
「ええもちろんですわ。だっていくら暖炉が付いているからって寒いでしょ?」
「お前は俺をなめているのか?そんなん魔法で何とかなる」
「まだ私たちは魔法が使えないじゃありませんか」
「俺はもう使えるんだ。それにお前も使える。」
「使えません。それにヴィヴィアンです。ほら、早く一緒に入りましょ?」
「お前怖いだけだろ。子供だな」
「殿下だって子供ではありませんか。ほら早く。」
少し困った顔をして殿下は布団に入ってきた。
「ほら、あったかいでしょう.」
「ああ。」
「殿下はおいくつなんですか?」
「10」
「なんだ、私と同じですね」
そのあとすごく長い沈黙が続いた。
「怖くないのか?」
めづらしく殿下が沈黙を破ってきた。
「怖いです。早く帰りたい。」
「帰る家なんてもうないんだ、俺たちは二週間前にここの領地の主になったんだから。」
「、、、二週間?え、私二週間も寝てたんですか?」
「ああ、お前が優雅に寝ているとき俺らは大変だったんだ。現実を教えてやろう。
まず人手はお前が連れてきたあのメイドとカイネルだけだ。このだだっぴっろい屋敷名は四人しかいない。」
正気のない目をしながら殿下は淡々と続けた。
「次にお前だ。お前が二週間寝込んだのは第一魔法発動期を迎えたからだ。」
「第一魔法発動期なんて13-15の間で迎えるものではないのですか?」
「体の成長とともに迎えるのが一般的だが例外がある。それは感情の高ぶりだ。人がコントロールできる感情の範囲を超えた時魔力が出現する。お前はあのメイドが殺されそうになったのを見て感情がぶれたがために魔力が出現しその反動で寝込んだんだ。」
「殿下は、、殿下は怖くなかったのですか?」
なんで同い年なのにこんなに淡々としているのだろ。なんでこんなにも絶望的な目をしているのだろう。
「俺は慣れたんだ。」
そう言ってそっぽを向いてしまった。そんな背中が冷たくて、私は泣きながら眠っていしまった。
私は彼が安心して暮らせるまで隣にいようと思った。