2,覚醒
目の前に現れた大きな館の扉を開けた彼はずいずいと真っ暗な屋敷の中を進んでいった。ここはまるで物語に出で来る幽霊屋敷のようで不気味さがあふれていた。できることなら帰りたい。少し進むと小さな明かりがあった。その光の中から人影が近づいてきた。
「お待ちしておりました。レオンハルト様。」
光の中から出てきた丸々としたメガネの男が歓迎をしてくれた。よかったここにもちゃんと主がいて私たちを迎え入れてくれた。と思ったとき
「下がれ、。」
馬車を降りてから初めて振り返ったかとおもえば冷たい声で私に言い放った。
「陛下!そのものはよそ者です!」
彼が放った言葉に戸惑っていると男の後ろから急いでもう一人の男が走ってきた。
「ハハハハハよそ者はお前らだよ。」
丸々とした男が微気味に笑った後
パアアアンっつーーーーーーーーー
とてつもないおおきな音が鳴り響き途端に周りを兵士で囲まれた。終わった。もうおしまいだった。ここまでこれたことが逆に奇跡だった。槍が私たちに向けられ一歩も動くことが出来ない。
「おいおい、絶対に殺すなよ?こいつらで反撃を起こすんだ。」丸々とした男は私たちに向かってギラギラとめを輝かせている。
「申し訳ありません陛下。この人数では戦えません。」
走ってきた男がまさに絶望と言いたげな顔でこちらを見ている。そんな時だった。
「お嬢様っ!」
兵士の中から聞きなれた声が聞こえた。
「マリアンっつ!」
伯爵家で幼いときからいつも面倒を見てくれていた待女だった。そんな彼女が時空移動で私の前に現れた。必死に手を伸ばととき、マリアンの背後に時空移動した兵士が槍で背中を刺そうとしていた。
そんな、そんな、私のせいでマリアンが、
キャアアアアアアアア^-----------------------
気が付いたら涙も感情も何もかも止まらなかった。ただ体がとてつもない熱を放った。
「んん、、。」
気が付いたら知らない天井を見つめていた。天使やら女神やら趣向が凝った絵が所せましと描かれていた。
「、、、気分はどうだ、」
ふと声のしたほうを確認するときれいなルビーのような宝石がこちらを見つめていた。
「。。。悪化はなさそうだな。人を呼んでくる。」
そういって彼は部屋を出て行ってしまった。急にさっきまでなんとも思わなかった天井の天使たちが不気味に感じとてつもない寂しさに襲われた。
ガチャッツ「お嬢様!お体は大丈夫でしょうか?何かお辛いところは?」
いきなり入ってきて過剰に心配を始めたのはあの時刺されたはずのマリアンだった。
「マ、マリアン、、、なんで」
うれしさで思わず涙があふれ出た。捨てられると悟った時も、何日も運ばれた馬車も、殺されそうになった時だってつらい現状を受け入れたくなかったえ私は泣かなった。
でもマリアンの優しい手に安心して私は安心してしまったのだ。
「お嬢様のおかげなんですよ」
マリアンは優しくわらった。