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18入学

「リリー、起きて。遅れるわよ。」

今日から入学式だと言うのに同じ部屋のリリーはまだぐっすりと熟睡している。


「ねぇ、なんでもっと早く起こしてくれなかったのよ!」

「起こしたわ。あなたが起きなかったんでしょ?」

ギシギシと軋む階段を下に降りると朝食が用意されていた。

「おはようございます。寮母さん」

私たちは寮母さんにお礼をいい席に着いた。ダイニングテーブルには8人前の朝食が用意されていたが私たち以外の席はもう空席になっておりご飯も食べ終えてあった。

「どうするのヴィヴィアン?私たちこれまずいんじゃない?」

さっきまで優雅に眠っていたお嬢様の顔は曇りきっていた。

「大丈夫よ。ご飯を食べて向かいましょう。」

そう言ってご飯を私は食べ始めた。朝食と言っても令嬢が食べるものとは程遠い庶民的なものだったが文句はなかった。朝食を食べ終え準備を終えた私たちは外へ向かった。

「ねぇヴィヴィアン。入学式が始まるまであと30分くらいなのにあんなに遠くに城があるのよ?間に合うの?」

不安そうなリリーを横目に私は呪文を唱えた。あたりは光に包まれ目を開けると城の前に立っていた。

「ぇ。ヴィヴィアン。あなたもう魔法が使えるの?」

綺麗な空色の目が点になっている。

「えぇ。」

「あなた、凄いわね。」

何も言葉が出ないというふうにリリーは私を見つめていた。今まで普通だと思っていたけど魔法はあまり普通では無いらしい。

「急ぎましょう。」

時間はあと20分しか無かった。急いで会場の中に入ると中には溢れんばかりの生徒たちがホールの下から上まで座っていた。

「ゾッとするわね、」

あまりの人の多さに怖気ずいてしまう。

「新入生は1番下の椅子らしいわよ。」

案内を読んでいたリリーが1階に並べてある座席を指さしていた。


座席に座りしばらくすると式が始まった。何やら偉そうな人がたくさん挨拶したあと適正診断を行うと言い始めた。

「ねぇ、リリー適性診断って何?」

隣で船を漕いでいたリリーに尋ねるとリリーは眠そうに

「ほら今運ばれてきたあのツボあるでしょ?あれに自分の血を垂らすの。そうすると文官、魔法、騎士、の3つのコースに適性に合わせて分類されるの。」

なるほど。個人選択の自由はないようだった。


「エリック・ゴールドスター殿下前へ。」

1人目の人が呼ばれた。

「ねぇ、今殿下って…」横をむくとさっきとは別人のように背筋を伸ばし凛とした姿勢で座っているリリーがいた。

周りを見てもさっきまでぐだついていた学生たちはみんなしゃんとしている。

なるほどこのエリックって人がこの国の王太子ってわけね。隣国の内情をあまり把握しずにやってきた私はここでこの国の洗礼を受けた気がした。


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