16 幻
いいだろう。焼き殺してやる。」
もううんざりだ。全て終わらせてやろう。
「ご、ごめんなさい、私よ、、。」
影から凛とした聞き馴染みのある声が聞こえた。死に際に見る最後の景色が擬態魔法でもいいか、好きな人の姿を見て死ねるなら、。
「俺の前でヴィアの真似をするなんてなめた真似をしてくれるじゃないか。」
姿がみたい。君じゃなくてもいい。もうなんでもいい。
「本当よ、信じて。あなたに会いたくて来たの。」
ウィアが俺に会いたかった?君は向こう行ってから手紙すら一通もくれなかったのに?ウィアが会いたいなんてことを言うことは絶対にないんだ。
「ヴィアが?そんなこと言うわけないだろう。」
さぁ、暗殺者よ墓穴をほったな。自分で言っていても悲しくなるがもうなんだっていい。
「本当よ、どうしたら信じてくれるの?」
もし、本当に君だったらなんて期待してしまうのはまだこの世に未練があるからなんだろうか…、
「魔法を使え。何でもいい。」
「分かったわ。これでいいかしら。」
部屋が急に明るくなり目の前にはウィアの姿が現れた。
首にかけているネックレスが目の前にいるのはウィアだと言っている。彼女が生み出した宝石が彼女の魔法に反応しているのだ。
「ヴィア?君なの?」
力が抜けそうだった。目の前にウィアがいる。
「何度言ったらわかるの?」
うねうねにウェーブのかかった臙脂色の髪の毛に深い赤色のくりくりとした瞳がこっちを不機嫌そうに見つめていた。
「俺は少し疲れているらしい、ヴィアがこんなところにいるわけないんだ。」
何ヶ月も野宿をし、さっきまで魔力が荒ぶっていたせいでかなり疲労が溜まっていたんだろう。もう体力に限界が来ているみたいだった。幻覚が見え始めている。
「ね、ヴィア楽しくやってる?俺がいないと寂しいだろ?」
「あー、会いたかったよ。」
もう俺は思考を停止し好き放題話し始めた、もしかしたらこれは夢かもしれないと思ったらどんな事でも話せた。
「ブレスレットつけてくれてるんだ。うれしい、。可愛すぎだよ。」
君がどこにいても繋がっていられるようにと俺のネックレスと番でブレスレットを作ったなんて言ったらきっと嫌われるだろう。でもそれも悪くない。あー、ウィアがここにいる。幸せだ。
「あのね、学校に通おうかとおもって相談に来たの、、、。」
学校…か、そうか。
「、、ごめん。」
「なんで謝るの?いいことだと思う。ヴィアが行きたいなら行きなよ。」
僕には人生を全うに生きる権利は無い。でも君はただ能力が高かっただけで幸せな生活を送る権利を持っている。君には幸せな生活を歩んでいて欲しい。だから、学校なんていくらでも行くといいさ。
「ヴィア、大好きだ。」
遠くに行ってしまうウィアを縛ることはできない。ウィア、大好きだ、、、、。
「レオン?起きて。」
遠くでウィアの声が聞こえる。
翌朝気がついたらベットに横たわっていた俺は昨日の夜のことが真実かどうか分からなかった。




