表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
69/102

(69)同じ気持ちなのに

「男いらない」宣言をしたにもかかわらず、毎日、悠の側にいると、心が切なくなってくる。

私は、リビングの床に座り、洗濯物の山をたたみながら、センチメンタルに考えていた。


馬鹿だよなぁ、私。

なに悠のこと好きになってるんだろう。

深沢さんに付いてイギリス行っちゃえばよかった…


深沢のプロポーズを受け入れなかった理由。

あの時には、もう悠のことが好きだった。

いつから好きになったんだろう…悠のこと。


叶わない恋なんてするもんじゃないなぁ。

なんで、知り合っちゃったんだろう、悠と…

はぁぁぁぁぁ……辛い…。


いつになく、なぜか切なさ倍増の気持ちに耐え切れなくなり、私は洗濯物に顔をうずめ、

溜息をついた。


「…………あのさぁ、」

悠が、急に後ろから声をかけてきた。


「びっくりした!」

私は、すぐに顔を上げた。


「……おまえ…変態? 俺のパンツ何抱きしめて、匂い嗅いでんの?」

え゛え゛!!?? んげげ!!

私は、たたんでいるはずの悠のグレーのボクサーパンツに、顔をうずめていた。


「…ちょっ、ちょっと、匂いのチェック! ほ、ほら、女の人に嫌われたら困るでしょ?

 悠くんくさ~~~い、なんて、ベッドの中で…言われたら……困る…」

はぁぁぁ…何言ってんだろう、私。

私は、パンツをそそくさとたたみながら、自分のアホくささにガックリと、肩を落した。


「俺…、俺、女とかいないから…」

「ん、そっか。じゃ、臭くてもいいよね…」

そうだ、最近の悠は、ぜんぜん女の噂を聞かない。

飲みにもあまり行ってない。

まだアルバムも仕上がってないし、仕事忙しいからなぁ。


「ねぇ、携帯換えてないんだろ? アイツから…電話来てないの?」

携帯番号を換えようと思っていたが、換えたら換えたで、いろいろめんどくさい。

私は、そのまま使っていた。

悠の言う「アイツ」、孝志からは2度ほど、着信があったが、私は出ていない。

悠には、話していなかった。


「うん、あれ以来ないよ。コンクリート詰めにされるのが恐くなったんじゃない?」

「あはは、彩香恐~もんなぁ。恐妻家になりそうだもんな」

「もう誰も私を嫁になんて貰ってくれないから、いいよ」

「……俺…貰ってやろうか?」

「へ?」

「彩香のこと、嫁に貰ってやろうか?」

ニッコリ笑いながら、冗談でもそう言うことを言うのは、止めてもらいたい。

胸がキュンとするし、余計切なくなるし、空しくなる。


「……むふふふふ~。結構でございます! ボランティア発言してないで、

 悠は、ちゃんと特定の女性見つけなよ?」


半笑いの私は、一つ溜息をついて、洗濯物を部屋に、置きに行った。




*****************************



彩香がリビングを出て行った後、俺はソファの上に、寝転んだ。


ぜんぜん相手にしてくれてないや…。

やっぱ年下って、ダメなのかよ。

年齢なんて縮まんねーよなぁ……精神年齢は絶対俺の方が上なんだけどなぁ。


俺は最近、前にも増して彩香への思いを募らせていた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【恋愛遊牧民G】←恋愛小説専門のサイトさま。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ