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(34)悠のジェラシー

「さやちゃん~お茶三つお願い」

タレント部から来客用のお茶出しの仕事が入る。


給湯室でお茶を入れ、タレント部のお客さまに出し、音楽部に戻ろうとした。

「彩香ちゃん!新しいマンガあるよ」

「お菓子食べて行きなよ」

お声がかかる。


「え~、いいんですかぁ」

などと毎回のことだが、一応遠慮気味に答える。

みんなが仕事をしている中、タレント部の奥のあるソファに寝っころがり、

マンガを読み、お菓子をパリパリと食べ始めた。


「どほほほ~」

「ひょほほほ~」 パリパリ~

「ぶはははは~」 ポリポリ~

タレント部のルームの中に笑い声とお菓子を貪る音が響く。

毎度の光景。

みんなは「クスクス」と笑いながらも、私を甘やかしていた。



************************************


携帯をかけても出ない彩香に、痺れを切らし、俺は事務所まで下りてきた。


「彩香は?携帯鳴らしても出ないんだけど…」

「あっ、今タレント部に行ってます」

「そう…」

そのままみんなの仕事ぶりを見つめつつ、彩香がいつも座っているデスクに腰を掛けた。

机の上にはキャラクターものの文房具のオンパレード。

子供か……あいつは…。

俺はペンの上に付いているマスコットをクルクルまわした。


「小学生みたいな、机の上だよなぁ…」

「彩香ちゃん、キャラクター好きだから!ふふ。でもそこに置いてあるのってタレント部

 の人たちから貰ったものも多いんですよ。男女問わず結構人気者だから、いわゆる彩香

 ちゃんファンからの貢物!!キャハキャハ~~」

デンジャラスが、昼食前のおやつのアンパンを食べながら教えてくれた。

ファン…って?なんであいつにファンがいんだよ。



10分、20分……

ぜんぜん、戻ってこねーじゃねーかよ…


「遅くない?」  会計のユリに聞いた。

「え~?いつもよ?たぶん、お菓子でも貰って、漫画でも読んでるのかも…ははは~」 

「はぁ?なにそれ」

ユリから話を聞き、呆れた俺はタレント部に向かった。


俺がタレント部に行くことをユリたちもびっくりしていたが、タレント部のドアを

叩きドアを開けると、それ以上に驚いているタレント部のスタッフたち全員が俺を見た。

ここに入るのは、ほぼ初めてじゃないかと思う。

用がないから来る必要がない。


タレント部は広かった。

スタッフも多かった。

音楽部の小ささを実感…。

音楽部も頑張らないと…。


女性スタッフはキャーキャーと言っている。

そんなに俺を見ないでほしい…はずかしい。


「ぉお?スンゲー珍客。悠、なんか用か?」

タレント部で唯一の飲み友達、苅野に声をかけられる。

知っているヤツがいるということは、少しホッとする。

「刈ちゃん、彩香来てる?」

「彩香ちゃん?ソファのとこに…いるけど…」

苅野が指をさした奥先には、ソファセットが見えるだけだ。

人影はない。


みんなが見守る中、俺はツカツカと彩香のいるというソファの所に行った。

ソファを覗くと、彩香が寝そべりマンガを読みながらお菓子を食べていた。

ご丁寧に靴も脱いでいる。


……ありえない。

リラックスしすぎだろ…。


「ぶっひょひょ~」

「ひゃーひゃひゃひゃ~」


俺に全然気がつかず、マンガを読んで、変な笑い声を上げている彩香にムッとし、

本を取り上げ怒鳴った。

「おまえなぁ、なにやってんだよ!」

「んげっ!」

「んげっ!じゃねーよ。んげっ!じゃ」

「あ~、いいところなのにぃ…」

残念そうに彩香は頬を膨らませた。


「メシ作れよ、腹減った」

「えー、今、事務所で仕事中だよ」

「どこが仕事してんだよ!それにここはおまえの仕事場じゃねーだろーが!」

無理矢理、彩香の腕を掴み立ち上がらせた。


「ち~、めんどっちーなー」

彩香の口が尖り、また頬が膨らんだ。

俺は片手で彩香の頬のふくらみを、力を込めて潰した。

その光景をみんなに見られていたが、音楽部ではいつものことなので、自分の行動を別段

気にも留めなかった。


マンガを片付け、ソファを整えたあと、俺は彩香の手を掴み出て行こうとした。

「あっ、彩香ちゃん。お菓子持って行っていいよ、あっちのも!」

「これもあげる!」

「いいの?いつもありがとう」 

ニコニコ顔でお菓子を貰っている彩香にどんどん苛ついていく。


「刈ちゃん、お邪魔さん…」

ぶっきらぼうに言った俺は彩香の手を引っ張り、タレント部を後にした。

彩香の手を握る俺の手には力が入っていた。



ムカついている俺は廊下に出て給湯室の前で、彩香の持っていたお菓子を

取り上げて言った。

「おまえ、なにタレント部に所属してんだよ!」

「えっ、いいじゃない。みんな親切だし…」

「彩香は音楽部なんだぞ!!」

「でも吉田プロだよ、みんな」


……俺、なに嫉妬してんだ?誰に?

彩香の言うとおり、タレント部も吉田プロだよなぁ……

自問自答していた。



「とりあえず、メシ!」





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