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(30)悠、サイテーすぎる

朝、出勤をすると、すぐに相楽から電話が入った。

また4階に起こしに行く仕事だ。

麻矢は日本に帰って来ているが、最近は外泊が多い。

彼氏といる時間が楽しくてしかたがないと言っている。

うらやましい限りだ…。


今日も悠をテレビ局に連れて行かなければならない。

悠は私の運転する車に慣れて来ていた。

「…加山さん、あたい…悠の専属家政婦? お付き? ねぇねぇ…」

涙目で訴えてみたが、「お仕事でしょ?」と微笑むだけだが、その微笑みは、

なぜかほくそえんでいるように見える…




―――なんで私が…

そう思いながらトボトボと4階に向い、ノックもせずベッドルームのドアを開けた。


麻矢がいない日は、料理洗濯掃除は当たり前で、ついでに悠を起こしに行く担当に

なっていた。

私が起こしに行く時は、女が横にいるということはなかった。

麻矢も言っていた、「最近の悠は、女を家に入れていない」と。


でも、今日、悠の部屋のドアを開けたら、女の人もご一緒だった。


***********************************




「悠、起きなよ、仕事行くよ…」 

「ん…」

「…ったく! 起きろ、悠! 仕事だっつってんだろーが!!」

彩香の声が俺の耳に入り込む。

最近のこいつの起こし方は、荒くて恐い。


「ん~、彩香…?」  

俺は、寝ぼけたまま彩香を引き寄せた。

「ちょっー、ちょっと! なに寝ぼけてんのよ!」

頭を叩かれた衝撃で目が覚め、自分で引き寄せておいて、目の前にいる彩香に驚いて

起き上がった。

「んぁんだよ、何時だよ」

「10時! もう、自分で起きてよね、いつもいつも……つーか離して…」

「えっ?」

俺は彩香の腕を掴んだままだ。



「あのぉ、わたし…」

うわっ! びっくりした…

誰…? 誰だっけ?

知らない女が、俺の隣で戸惑っている。

夕べは、テキーラーシャワーの攻撃にあって結構飲み過ぎて、お持ち帰りしたことなんて

記憶にない…。


あれ? 俺ヤッちゃった?

ぁあ!? ん? ヤッてない…ほっ。

ブランケットをめくって確認した。ちゃんとズボン穿いてる。

…帰ってきてそのまま熟睡したようだ。

よかったぁ。


「ぁあ? 誰? きみ…」

俺は迷惑そうな顔で女に聞いた。


「イ、イ、イヤヤヤャャャャャーーーーーーーーーーー」

ものすごいデカイ声。

その声の持ち主は隣の女ではなく、彩香だ。

こいつはたまに異常にデカイ声を出す。


「うわぁーうわぁー! 悠! サイテー、サイテー過ぎる! 信じられない!」

彩香は両手を頬に当てたまま、ものすごく嫌なものを見る目で俺に対して叫んでいる。

なんかの絵画のモデルか…おまえは…。


「彼女に…誰って、今誰って聞いたでしょ!? いや~最低。

 さんざん楽しませてもらっておいて…誰?って…」

「楽しませて…って、俺ヤッてねーよ!」

俺の声なんか聞こえていない彩香は、今度、女に向って説教を始めた。


「あなたもね! 男選ぶ時は顔とかじゃなくて性格重視で行きなさい。

 この世の中にはもっといい男がたくさん居るんだから!

 こんな男選んだらあなたの将来もモゴモゴモゴモゴ~~~モゴモゴ~~~!!!」

俺は、あまりのうるささに、ベッドから出て彩香の口を塞いだ。

塞がれてもジェスチャーを交えながら、まだなにかを女に訴えている。


「君、もう帰っていいよ。俺、これから仕事だから、じゃ!」

「えぇ~」  

俺の言葉に、女は泣きそうな顔になった。

そんな女に「モゴモゴモゴモゴーーー!!モゴモゴ!!」 

彩香は何かを言い、続いて俺の頭を叩いた。

何を言ったのかはわからない…


「その人…」 女は、彩香を指さし俺に訊いてきた。

「こいつ?…俺の……俺の未来の嫁さん!」

  

彩香は目を丸くして、顔の前で手を横にブンブン振り、モゴモゴ言いながら女に訴えた。

俺は、手の平の中の彩香の唇が動くたびに、力を入れ押さえ、彩香を引きずるようにベッドルームを出て、麻矢の部屋に連れて行った。


口から手を放すと彩香の息が荒い。

「ハァハァハァ…な、なにすんのよ…ゼィゼィ……く、くるしぃ」

「おまえさぁ、説教しすぎ、女に」

「なに言っちゃってるの? 本当にサイテーな男だ! わたしゃもうガックリだよ」



「俺の生活リズム壊すなよ」

「はぁ? 生活リズム?」

「俺の女関係のこと! 一夜限りの女なんてゴロゴロいんだぜ。

 相手の女だって、それでいいと思ってるから、俺に付いてきてんだからさっ」

俺は軽い口調で言ったが、女と『事』を行なっていなくてよかったと思う気持ちがある。

何もしていなくても、女と一緒のところを彩香に見られるのは嫌だ。


「はぁぁ…悠…早くちゃんと彼女見つけなよね…その方がいい…うん…」

彩香は自分に言うようにうなずき、ショボンと肩を落とし、部屋を出ようとした。

「俺シャワー浴びるから服出しといて」

「へぃへぃ…」

もう何も言う気が起こらない感じだった。





シャワーを浴びながら、思い出していた。

―――さっき、目覚める直前まで見ていた夢…彩香。

    夢の中で彩香を抱きしめていた。

    夢の中で唇を重ねていた。


夢なのに、

夢なのにその感触が残っている。

俺の心は動揺している。

熱いシャワーから水に替えおもいきり浴びた。


…ダメだ…寒い…時期的に…無理!

根性なしの俺はまたお湯に替える。

寒すぎる…ブルッ。


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