ハギザ79
よろしくお願いします
「おい!起きろよ!」
肩に走ったドンっ!という衝撃と共に、聞き覚えのある声が僕を起こした。
「あぁ…?」
流石にはやく教室に着いてしまっていて、誰かが教室に来るまで寝てしまっていた。
鈍った視界に聴覚がだんだんと研ぎ澄まされていくのを感じている。
やっとのことで、重たい頭を声の方へと向ければ、そこには岡山がいた。
だけど…。
「おっ!た、達也だ!」
「え、なんだよ」
目の前に居るのは岡山達也だ。
こんなにも、こんなにも。
人といることが嬉しいなんてことがあるのか。
「なあ!今日僕にジュース奢ってよ!」
「嫌だよ!俺最近金ねーんだもん!」
「はあー?いつも奢ってんだからいいだろー!」
「わ、わかったって!確かにいつも奢られてばっかだしよー。てか、今日なんかご機嫌だな、しん」
「そうか?でも、いいことあったかも知れない」
「えっ!彼女でもできたのか!?お前に!?」
「ちげーよ!できるわけねーじゃん!」
会話が軽い。弾むように繋がる。
こんな気分は久しぶりで、今の僕なら岡山に言われた通り、青春も恋愛も、なんでも出来そうだ。
「なぁ達也、一時限目から体育だから先に飲み物買ってこう!」
「お、おう!」
岡山の肩をとって自販機へと向かう。
教室の扉を開けて廊下を出た頃に、ちょうど月乃さんが登校してきていた。だけど僕はお構い無し。
自販機へと向かった。
「達也ぁ、僕はレモンティー飲もうかな」
「おー、いいぜー。しん、本当に今日機嫌いいよな」
これが人と関わるってること?これが人と楽しむってこと?「そうだ間違いない」僕は今まであの化け物に支配されていた。
化け物が取り憑かなくて苦しかったのは、ただ化け物と過ごしていた時間が長く、それに慣れてしまっていたからだ。
そう考えると、やっぱり今のこの感情が生きている気がする。
「もう大丈夫」
「あ?なんのこと?」
「なんでもねー!」
あははは!
岡山は僕を見て笑う。
「しん、お前いいな!」
ありがとうございます




