ハギザ50
よろしくお願いします
休み明け、いつもの様に朝早くから家を出ている僕。今日から始まる一週間は鬱陶しいけれど、昨日に君と話し合ったことや出来事を覚えている。
この一週間でまた君と会って話せるなら憂鬱ではないだろう。
『過度な期待は簡単に裏切るぜ?ガハハッ』
「はぁ?期待なんかしてないし」
『どーだかな』
薄暗い余計な道を曲がったり。真っ直ぐ行ってみたり。掴めない進行方向なのに、この道もあの道も。
全部見たことがある。家から学校のまわりなんて、今更に狭い範囲内。
鼻から通る夏の匂いに、目を瞑っている。
「ハギザ?いるか?」
『あ?あぁ、いるぜ』
無音のハギザを心配して聞くけど、その存在は確かに僕に取り憑いている。
この確信がどれほどの異常性を持つのかは測れないけれど、実在するこの存在を否定できるだけの根拠も、肯定できる言葉も、どこにもなかった。
夕暮れ、図書室で時間を潰してから一人寂しく下校している僕。
伸びているのは影じゃなくてハギザ。
『がはぁ、目が冴えてきたな、な?』
「馬鹿言うなよ、こっちはいつもより疲れが溜まってるんだよ」
『またまた、本当は心地いいんだろう?その辛さがまたくせになりそうなんだろう?がはぁはぁ!』
「うわー、もう本当に。こんな化け物なんか見えなければ月乃さんにだって僕のこと変人扱いされずに済んだのにぃ!」
『でもよ、俺様らが見えてなかったら月乃光にも興味湧かなかっただろ?』
ふと、ハギザに言われる言葉が頭を重くした。
この思考が、ハギザにバレてしまうのが嫌で、僕はどう反応してどう返答するかを考えた。
そして、今日に君と一度も顔を合わせていない状況をハギザのせいにしていた。
「お前らがいなければ、僕も恋愛ができた」
静かだったはずの一人の道。僕の言葉でもっと静寂さを増したように思えた。そしてハギザは相変わらずの反応を見せた。
『がはっ!がははは!よく言うゼェ!しんが恋愛だと?そんな間抜けなこと二度と口走るな、がはぁはぁ!』
相変わらずだ。
腹は立つけれど、そんなハギザに助けられている。
だから、結局それはそれで嫌だ。
笑いだすと止まらないハギザを無視したまま、僕はイヤホンを耳につけて流行りの曲を聴いて歩き始めた。
もし、本当にこの世界から化け物が消えてなくなれば、本当に僕は恋愛という浅はかな行為だって出来るのに、友達を増やして楽しく遊ぶことだって出来るのに。
曲を聴いていても、こんなことを考え込んでしまうののは、僕の思考がハギザに操られていているからだろう。
ありがとうございます




