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伝えたい言葉

「悪霊扱いするなんてひどい!私は守護霊ですよ!」

そう言われましても判断付きませんなあ。

ワンコさんに明日除霊してもらうよう頼んでおくか。

「除霊するなって!ってか自分でやればいいじゃないの。」

そんなん出来るわけないやん。ウチ一般人やで。

「由緒正しい家系なんだから霊能力を継承してるはずなんだけど……」

そんなん言われましても。私に霊能力なんてない。0脳力者(レイノウリョクシャ)ですよ。

「ええ……」

なんかご先祖様をドン引きさせてしまった。申し訳ない。

祝詞あげるときの声は渋いって言われます、一応フォローしておく。

「そうですか……」

というか私の動向を見てたら分かるだろうに。

「いや私も最近になって守護霊になったもので。」

代替わりするものなのか。とりあえずもう眠いので寝ていいですか。

「あ、はい。どうぞ。」

寝たら見えなくなっていることを心の奥で思いつつ瞼を閉じる。


「おはようございます。」

残念なことに目を覚ますとマヒルさんはそこにいた。

「失礼なことを考えているのはスルーしてあげます。さあ今日も世のため人のためご奉仕するのです。」

ええめんどくせえ……適当にやってお金稼ぐんじゃダメですか。

「ダメに決まってるでしょう。」

ワンコさんが増えたようなもんだな。これワンコさんに言ったら意気投合して365連勤のシフトとか編み出しかねない。黙っておいたほうが良いな。

「おい!ソンナいつまで寝てんだこら!」

噂をすればだ。マヒルさんには凶暴な巫女なので見境なく除霊する危険があるからと隠れるように申し付ける。

天井裏に隠れさせた瞬間ワンコさんが入ってきた。

「今、誰かと話してなかったか。」

地獄耳め。気のせいですよ、とすっとぼける。

「猫でも拾って飼ってんじゃねーだろうなあ。」

飼ってるのは凶暴なわんこくらいでして。

「誰のこと言ってんだ。いい度胸してんな。」

素早く足を払われ畳の上に転がされると襟をクロスさせて両肩に足を乗っけられ首を絞められる。

し、しぬ。

「送襟締だ。」

いや、技名聞いてすらない。というか呼吸できない。

「わざと頸動脈外してるから苦しいだけで失神はしない。安心しろ。」

しばらく苦しむと満足したのか離してくれた。朝からひどい目に遭ったな。


今日も一日仕事が終わった。部屋に戻るとそろりそろりとマヒルさんが降りてきた。

「朝は大変でしたね。たしかに凶暴極まりない子でしたね。」

本当もういつもあんな感じなんですよ。

「でもソンナさんが雇用側なんだからもっと強く出ればいいのに。」

無理でしょ。そもそも業務の大半も経理もワンコさんが握っているのだ。

「どういう関係なんですか。」

まあ、あれでも色々と助けてもらっているのだ。あまり文句は言えない。

「分かったわ。でも少しくらい愚痴ってもいいのですよ。」

意外とバブみが深くてオギャれるじゃないか……

少しだけと思いつつ口うるさいところや暴力的なところへの愚痴が止まらない。

「そうそう。溜まってたものは吐き出したほうが良いですよ。言ってやりたいことはないんですか。」

しばしの間、目を閉じて考える。うーん何を言ってやろう。そうだ!

「私がワンコさんに言いたいのは『二度と逆らうな』。これです。」

いつの間にかマヒルが消えていた。と同時に部屋の扉がすごい勢いで開けられた。

「ほーう。でかい独り言が聞こえて来たぞ。もう一度言ってみろよ。」

迂闊な発言はいけない。

本日二度目の絞め技で今度はキッチリと失神させられたのであった。

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