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三題噺

三題噺第15弾「神様」「ガイコツ」「きわどい中学校」

作者: 音奏

 ここ、埼玉県には、別名“きわどい中学校”と呼ばれる中学校があった。


 そこには、崖がそびえ立ち、もうすぐ崩れさるのではないかということで、きわどい中学校と呼ばれている。

 ただ、ほかにもおかしな学校なのだ。


 人体模型の“ガイコツ”が、本物を使われているのではないかという七不思議があり、警察が駆けつけたこともある。


 そんななか、事件は起こった。




「おい、田中。起きろよ、田中」


「……う、ん? もう食べられないよ」


「テンプレな発言かましてる場合じゃないぜ。起きろよ!」


 からだを揺さぶって、無理やり起こそうとする。

 ガバッ!


「もう給食か!」


「違うってぇの。事件だよ、じ・け・ん」


「……事件? どんな?」


「なんでも、一組の佐々木さんが連れ去られて、行方不明になったんだそうだ」


「ふーん。それで? そんなことで起こしたわけじゃないよな」


「これは誘拐事件だぞ! 早く犯人見つけてとっ捕まえないと佐々木さんにもしものことがあったら、俺は、俺は……泣く!」


「あー、篠塚って佐々木さんのこと好きだったんだっけ」


「そうだよ! 悪いか?」


「いや、悪くはないけど、犯人、早く捕まるといいな」


「俺たちで捕まえられないかな。田中、協力してくれ」


「いや、無理だろ」


「そこをなんとか。頼む!」


「無理だっつーの。第一手掛かりあるのか?」


「ない!」


「……話にならん」


「無理は承知だ。でも、何もしないまま終わりにしたくないんだよ」


「……しょうがないな。一度こうなった篠塚は止められない。やってやりますか」


「サンキュー友よ!」


「まずは情報集めだな。一組に行ってみよう」


 キンコンカンコン。

 授業の鐘が鳴る合図が聞こえてきた。

 四時間目は数学だった。

 つまらない授業で、もどかしい時間が過ぎる。

 一分、一秒が、とても長く感じる。

 早く、早く終わってくれと願っても、次は給食の時間だ。


 キンコンカンコン。

 四時間目が終わった。

 給食の用意が始まる前に、一組へと田中と篠塚は向かった。


「あのー。佐々木さんについて知ってる人いないかな?」


 偶然出てきた女子に向かって尋ねてみた。


「あたし知ってる。佐々木ってば、パパ活してたらしいじゃない。それで連れ去られたんでしょ。自業自得だよねー」


「佐々木さんがパパ活? 嘘だ! でたらめだ! あんな真面目で可憐な佐々木さんがパパ活するわけない!」


「なに、この人。佐々木が真面目で可憐? どこが」


「ありがとう」




「絶対嘘だ……間違ってるんだ」


「パパ活で連れ去られた、か。それなら犯人はすぐに見つかると思うな」


「まだ決まったわけじゃない!」


「じゃあ、“神様”にお願いして、この事件解決してもらう?」


「!! その手しかないな!!」




 放課後、神楽神社へとやってきた。お供えものの良さと、神様の機嫌が良ければなんでも願いがかなうという言い伝えがある。ただし、信憑性はない。


「神様ー。お供えもののいなり寿司持ってきましたよ」


 人の姿で現れた神様は、髪が白く、白い髭を生やしていた。


「悪いのう、最近お供えものも減ってしまって、食うに困っているところなのじゃ」


「神様、事件を解決してくれ。人が行方不明なんだ」


「神には、神のルールがある。人の事件に首を突っ込むわけにはいかんな」


「お供えもの持ってきたじゃん。いいじゃないか」


「そこを突かれると弱い。神のルールには特別というものもある。よかろう、願い事を言うがよい」


「行方不明になった佐々木さんを見つけ出してほしい」


「神には全てが見えておる。しばし待たれい」


 そう言うと、奥の方へ入っていき、水晶玉で何かを見ているようだった。


「見えたぞい。その子は学校にいるようじゃ」


「学校!? 学校にかくまわれているっていうのか」


「灯台下暗しだ」


「わしはこれ以上手伝えんのぉ。いなり寿司ごちそうさま」


「早く助けに行こう」




 学校の正門についた。

 帰った生徒が多数いる中、部活で残っている生徒も多数いた。


「探すっていっても、どこを探すんだ?」


「かくまわれていそうなところを探すしかないだろ。教室か、体育館の倉庫とか」


 しらみつぶしに探しても、一向に見つかる気配はなかった。


「あの神様、嘘をついたんじゃないだろうな」


「きっとどこか、隠し扉でもあるんだよ」


「隠し扉っていっても、どこを探すんだ?」


「ベタなのは、倉庫だ」


 体育館の横にある倉庫にやってきた。


「いつも使っているこんなところに隠し扉なんてあるのか?」


「あるとしたら床だね。動かしてなさそうな物品のところがあやしい」


 くまなく探したが、隠し扉なんてものは見つからなかった。


「ないぞー、田中。隠し扉っつう発想が間違ってねぇか」


「おかしいな、こういう場合、たいてい隠し扉を発見して、そこに監禁されていました、っていうオチがあると思ったのに」


 ピンポンパンポン。

『下校時間になりました。生徒は速やかに下校してください。

 繰り返します。下校時間になりました。生徒は速やかに下校してください』


「もうそんな時間か、また明日だね」


「佐々木さん……待っててくれ。必ず助けてみせる」




次の日、学校で理科の授業で人体模型を使うことになった。

人体模型を使っていると、あきらかに普段使っている人体模型とは異なっていることに誰しもが気づいた。


「キャーー! それ本物の骨じゃない!?」


「し、静かに。これは本物っぽいな。警察に来てもらおう」




お読みくださりありがとうございます。

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