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第15話  〜とおりゃんせ〜

貧乏神様に貰った暦札を持ち、指定された場所へ向かった。



其処は子供の頃からずっと気になっていた、、、そう、いろんな意味で、ずぅーっと気になっていた、、、廃神社…っぽいところ。



「……くっ、この時が来たか…」



それっぽい厨二病発言をしながら進んで行く。


俺の住む町は、町から少し離れると、すぐに畑地帯になるのだが、その途中の雑木林に、ひっそりと、佇む(ほこら)があった。


普通、いくら廃神社でも、(やしろ)とか、灯籠(とうろう)とか、なんかそういう設備が一つくらい在ってもいいだろうに、鳥居?…の様な跡?しか見当たらない…。


在るのはいかにもな雰囲気の祠のみ…。


一体何の祠なの?!

そもそも、此処、何の神様だったの?!てか、此処、神様居たの!?もぉほんと雰囲気が怖い!!


ただの霊が出てくる分には怖くない。調伏しちゃえばいいだけだし。


ただ、いきなりバッと出てくるのはビックリするから嫌いだ。だから、そのいつ出てくるか分からない緊張感が大嫌いだ。


某ゲーム…バイオ○ザードとかホント嫌いだ。まぁ、でもあれは一度バッと出てきちゃえば、あとは腐った人達がアーアー言ってるだけで、襲って来ても倒せるから怖くない。


怖いのは、"倒し方が分からない、得体の知れないモノ"だ。だって対処の仕方が分からなければどうしようもないもの!


そして此処はそういうモノが出てきてもおかしくない雰囲気の場所なのだ。


今のところは何の気配も無い…いや、何かがあるような感じはするんだけど、、、。


……………。



「…クソぉ〜…もぉー出るなら出て来いヨォー!!」



その瞬間、暦札がポォッと鈍く光った。


「!!」


祠も鈍く光っている。



「……ぅぅ…あの祠に行けってことか…?」



俺は辺りを警戒しながら、恐る恐る祠に近づいて行く。



祠の近くまで来た時、


キィィィ…



「!」



祠の扉が開いた。次の瞬間…!!



バッ


「!」


獣の様なモノが2匹出てきた!



「…通〜りゃんせ〜 通りゃんせ〜


此〜処は何〜処の 細道じゃ?」



獣が歌に乗せた問いかけをしてきた。



「……………」



問いかけの後、静かに俺を見据えている。


問いかけに対して俺がどうするのか、見定めしているのだろう。


俺の直感が問いかけに応えた方が良いと言っている…。



「……………」



これは"とおりゃんせ"の童歌。

確か、天神様の細道で、子供の7つのお祝いに札を収めに行くのに通して欲しいというような内容だった筈だ。


ということは、此処は天神様の細道で、俺はこの暦札を納めに行くのに天神様の細道を通らなくてはいけないということか…?








………えっ、





暦札………天神様に渡すの?!!




………えぇ!!?




、、、、、俺、天神様に会うの!!!???




いやいやまさかね!


だって天神様…所謂(いわゆる)天津神とは、高天原にいる神々、または高天原から天降った神々とその子孫の総称だ。


俺みたいな見習い僧がそんな簡単に会えるわけがない!

宗派も違うし!


失礼ながら、貧乏神様に天津神との接点があるとも思えない!(無礼者)



…一体何の神様なのか…



うわぁ〜!!益々恐い!!!!!


童歌に従って通った後は、チャンスを掴むか二度と帰って来られないかの二択になる予感がする…。



でも、貧乏神様は前に言っていた。



『僕は無闇矢鱈に試練を与えるわけではなく、試練を乗り越えられる可能性があるから与えるってこと』



そして、俺の直感は言う。



俺はチャンスを掴むだろうと。



なら俺は、、、チャンスを掴みに行く!!!





「……天神様の細道かと存じます!通していただきたい!」



「…御用の無い者 通しゃあせぬ」



「俺の暦札を納めに参ります!!」




ポォっ




暦札が光りながら宙に浮かび上がった。



すると獣達の目が赤く光り、暦札を視る。



「…行きはよいよい 帰りはこわい


こわいながらも通りゃんせ〜」



獣達は祠の中に吸い込まれていく。



恐らく、祠の中に天神様の細道が続いていて、近づくと俺も祠に吸い込まれるだろう。しかし其処を通れと言っている…。



『…通りゃんせ〜』



「……………」



祠の中から歌がコダマして響いてくる。





「…うぅ〜わぁ〜…もぅマジで帰りたい!俺泣きそう!」



てか、すでに半泣き状態だ!

誰でもそうなるでしょ!?なるよね!?なるよ!!



……今ならまだ引き返せる…。



「……帰っちゃおうかな(ボソッ)」



言った瞬間、暦札は祠の中に入っていった。



「……………」



くっ…、さすが試練。これで俺はもう行くしかなくなった。




「おーおー行ってやるよぉーーー!ちくしょーーー!!!!!」



俺は叫びながら祠に全力で突進して行き、その勢いのまま祠に吸い込まれて行った。



南無三!!!

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