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第8話 魔王?大誤算!!

自称魔王に親父と春徳さんが破魔札を放って俺を助けようとするが、自称魔王はそれを躱し、呪文のような言葉を呟く。



「深淵の闇に沈め」



厨二病を患ってそうなセリフだ。


これで何も起きなければただのイタイ奴だ。




「……………」

「……………」




・・・しーーーーん・・・




ただのイタイ奴だ!!!!!



「…ええぇーー?すげぇキメ顔で言ってた割に何も起きない…?……深淵の闇に沈むとは?説明お願いします!」

「うるせぇ!此の場に魔氣さえあれば今頃お前は此処に存在してなかったんだ!此の場所に感謝するんだな!」

「…つまり、魔氣が無ければ何も出来ない、と?」

「舐めるなよ小僧!此の場に魔氣など無くとも俺の体内で創り出せんだよ!」



バッと、再び掌を俺に向ける。


「!」


「灼熱の大地にて朽ち果てろ!」



舐めてた!万事休すか…!?





「……………」

「……………」




・・・しーーーーん・・・




「…クッ、、、魔氣は創造できるのに…巧く外へ練り出せない…だと!?」




……うん。




「もう、そういうのいいから」

「黙れ!!その顔ヤメロ!!…くそっ!何故だ!?魔氣の循環が上手くいかない…!」



身振り手振り焦っている自称魔王。



「……………」



その自称魔王を観察していると、ある事に気付く。



よぉ〜く見てみると、首の後ろに何やらヘタクソな文字が浮かんでいる。



……あら?もしかして俺が書いた破魔札の文字?


……あら?ってことは、そのせいで体内で創り出された魔氣が、体内を循環ぜず、魔法?だか何だかを巧く出せないってこと?


……あれ?ってことは俺の破魔札が効いてるってこと!?



俺スゴくない!!? さすが俺!! でかした俺!!!

よくやった俺!!!!!!

自分で自分を褒めてあげたい。



って事で、俺のせいで魔法?が使えなくなっていることは黙っておく。

もしかしたら、親父が放った破魔札も、何処かに影響を及ぼしているかもしれない。




「…ふっ、諦めて観念するんだな」



いきなり強気な俺(笑)。心の余裕って大切だよね(爆笑)



「…こんな事ぐらい…何でもないわあーーー!!!」



自称魔王を纏っていた禍々しいオーラが増大した。



「!!」



ー今度は魔法が発動する!ー

こういう時の勘は外れない。



「焦熱の炎獄で燒かれろ!獄炎楼!!」



自称魔王のオーラが一点に集中した!


そして次の瞬間…!




ボォッ!!!




「!!」




自称魔王はケツから火を噴いた。





「……………」


「……………」




………なんだコレ。




さっきっから何の時間なのコレ。




何を見せつけられてるの俺達。




「……………」


親父と春徳さんを見る。


「「 …………… 」」


2人も何とも言えない顔をしていた。




「…おい」


「何も言うな!!!魔氣の循環が上手くいかなかっただけだ!!!」


「いや、別にまだ何も言ってなーー

「クソッ!まだ時間が必要ということか…!貴様…よくも俺に恥をかかせてくれたな!!」

「俺のせいじゃなくない!?

(あ、俺のせいか?よし。黙っとこう。)」

「このままでは済まさんぞ!!必ずや苦汁を舐めさせてやる!!」


如何にもなセリフの応酬の中、ふと、気になったことを聞いてみる。



「お前が言ってた体内で創り出せる魔氣って、ガスのこーー

「貴様ー!この俺を侮辱するか!!この屈辱、万倍にして返してやるからな!!!」



なんだかすごい怒ってる。



「せいぜい今を楽しむといい!」



そしてお決まりの負け犬台詞を吐き捨てる。



「……………」

「……………」




その場で立ち尽くす自称魔王。




……………?




……ああ。きっとそのままスゥッと消えるとか、空を飛んで行くとか、足元の影に沈みながら消えるとか、亜空間に立ち去るとか、なんかそんなお決まりの退場をしたかったのだろう。


しかし今の自称魔王は巧く魔法が使えない。なので、影移動とか空間魔法とか、飛行すらもできないのだろう。



「……………」

「……………」




ちきしょー!覚えてろよぉ〜!

と、走り去る自称魔王の後ろ姿は



ケツだけが丸出しだった。



ケツ周辺のコートやらズボンやらは


獄炎楼とやらに燒かれたのだろう…。


自分の魔法で自分のケツを燒く魔王など聞いたこともない。


こんな魔王はきっとコレが最初で最後だろう。




「……………」




俺の目の前に現れた自称魔王は

ただの残念なイケメンだった…。



ケツから火を噴く残念なビジュアル系イケメン。



……ギャップすごいな。


果たして女性の皆様はこのギャップに萌えるのだろうか…。



こうして、今年1番の衝撃を受けた俺達は、呆気にとられ、ケツから火を噴く残念な自称魔王を取り逃したという事実に気づいたのは少し経ってからだった。


恐らく再び復讐しに俺の元に来るだろう。


そう、これはただの序章。初まりの始まりに過ぎなかったのだ。

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