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応報

私が旅行から帰ってきたそのころ、とてつもなく大きな出来事が二つあった。


まず、ついにガスティン侯爵家が海を手に入れた。

これからの情勢を大きく変える出来事だ。






しかし、二つ目の出来事はこれよりもはるかに大きな意味を持つことだ。


ついに、ユーリお兄様とアメリーお義姉様の子供が生まれましたー!


アメリーお義姉様は初産だったが、とても安産だったらしい。それでもやっぱり出産は命がけの行為だ。

アメリーお義姉様は命がけで子供を産んでくれた。感謝以外できない。

「きゃー! 可愛い可愛い可愛い!」

獣人とは違った意味だけど可愛いすぎる。

「子供に札が当たる。はしゃぐな」

「あぁっ! ご無体な!」

私が赤ちゃんを抱きしめていたらベルナールお兄様に赤ちゃんを取り上げられてしまった。ひどい。今度はベルナールお兄様が赤ちゃんをあやしている。

お父様はその様子をニコニコと笑って見ていた。


なお、今、私の首からは「私は禁酒中なのにお酒を飲みました」という木札がかかっている。

旅行中の飲酒は速攻バレた。なんということだよ……

獣人の国からお土産に買ってきた子達は全員没収された。泣きそうだ。


「ユーリお兄様、アメリーお義姉様、本当におめでとうございます」

「ありがとう、ジェルメーヌさん」

アメリーお義姉様はふっくらと笑っている。

ユーリお兄様は赤ちゃんとアメリーお義姉様との間をずっと視線を彷徨わせていた。

「赤ちゃんはなんて名前でしたっけ?」

私の質問にアメリーお義姉様は照れながら答える。

「ジュリアンです。ジュリアン・ペドレッティ……」

ジュリアン、そうかー。

私のはじめての甥っ子……

ベルナールお兄様の腕の中を覗き込み、ほっぺをつついたらジュリアンは「きゃっきゃっ」と笑った。

可愛い。必要以上に可愛い。

最近、美少女といい獣人といい可愛いものに恵まれているけど、ジュリアンは別格だなー。




さて、ジュリアンの誕生に比べたらどうでもいい話ではあるんだけど、ガスティン侯爵が海を手に入れた話もしておこう。どうでもいいんだけど。


ガスティン侯爵家領には海がなかった。

だから王と直接戦う手段がなかった。「王の配下」であるジェルミ教団と戦うしかなかった。

ジェルミ教団には海がある。ガスティン侯爵は港を手に入れ、海軍を編成し、王と直接戦いたかったのだ。

しかし、港湾都市アジャク攻めはメンディ大司教に跳ね返され、ならばと辺境仲良しクラブ領に攻め入ってみたが失敗した。

だが、ここでついにガスティン侯爵は海を手に入れたのだ。


ジェルミ教団はガスティン侯爵家領の海岸線を覆うように東西に細長い領地を持っている。

港湾都市アジャクが一番の大都市ではあるが、それ以外にもいくつか、大きな港を持っていた。

その中の一つがキュヴィエという街である。

この街を守っているのは神聖騎士団でも名前を知られた将軍であるアブリエル将軍……


……そう、学園開校当時、メンディ大司教による邪悪な地獄属性魔法で私の暗殺をすることになったファブリス・アブリエルの父親である。


アブリエル将軍は突然ガスティン侯爵に寝返り、キュヴィエはガスティン侯爵家領になった。


ファブリス君はすでにペドレッティ家の牢屋の中でその人生を終えている。

恐らく、でしかないけれど……ガスティン侯爵はメンディ大司教にファブリス君が勝手に鉄砲玉に使われたことを情報として入手して、それをネタに誘引したのだろう。

まぁ、私がファブリス君に襲われたことは、別に隠しているわけじゃないし、ガスティン侯爵にも魔法を使える人材はいるし、逆算すればメンディ大司教の邪法っていう結論が出てもおかしくはない。アブリエル将軍にとって息子を殺したのはメンディ大司教であるとそそのかせば……


これによりジェルミ教団の聖女、ベアトリスはガスティン侯爵とアブリエル将軍の破門を宣言した。これは今さらって話だなぁ。


あと、水面下で動いていたと思われるジェルミ教団をシクス侯爵勢力に誘う流れは潰れた可能性が高い。

ジェルミ教団がガスティン侯爵からの攻撃を受けたとき、援軍を送ってもらう意味で地理的に近いのは王家だもんなぁ……

それに……

「だーうー」

ジュリアンが笑いながら私に手を伸ばしてきた。

きゃー! 可愛いー!

この話の舞台になっているのはイタリアによく似た地形の架空の地域です。

男性登場人物のほとんどにはモデルとなっている人物がおり、「そのモデルとなっている人物の所属している、または所属していたチーム」の本拠地が、その登場人物の勢力範囲となります。


モデルとなっているのはあくまで外見と地域だけであり、その人物の能力や適正、チームの規模や本拠地の規模などはまったく関係ないものとします。


☆今回の登場人物のモデル

ジェルメーヌ・ペドレッティ:ヒト科

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