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遊戯

さて、旅行出発当日である。

旅行じゃなくて外交活動なんだけど。

外交……外交、うーん……他の勢力どころか自分のところにも周知されてないような場所に行く外交って意味あるのかなぁ。まぁ、やっぱり旅行か。旅行メインだ。そもそものお誘いが「お祭りに行きませんか」だったし。


「アルテレサ伯爵もそのお祭りに出かけられるのですか?」

「いえ、慣例で伯爵の後継者が出かけることになっています」

なるほど。だからロニーなのか。

アルテレサ伯爵家で用意された馬車に5人が乗っている。全員乗ってもまだ余裕がある大きな馬車だ。あー、貴族でよかった! よかった、貴族で!

ソウ辺境自治区では税金も納められている……つまり、お金を回すだけの産業もあるということで、しおりを作った美少女に聞いてみると、アルテレサ伯爵領の高級ワインの産地らしい。国内でもかなり有名なブランドだったけど、獣人が作っていたのか……

それだったら学園のクラスメイトのマリオンも連れてくればよかった。あの子の実家はぶどうの産地だし技術交流とかできただろうし。


あれ、待てよ?

私はいまだに家族から禁酒を言い渡されている。

そんなお酒で有名なところに行ったら私、かなり悲惨なことにならないだろうか。

……「旅行中の飲酒は無罪」、この言い訳は通るか?


通す。今、決めた。


私が密かに決意を固める中、エルザがせっせとボードゲームを用意してた。

チェスとかかなーと思ったらタフルという、私の前世ではバイキングが考案したゲームだった。先手は侵略者、後手は守備に分かれて、先手は後手の王様を捕獲すれば勝ち、後手は王様を逃せば勝ちというゲームである。一対一のゲームでありながら非対称型という珍しいゲームだ。

守備側で無理矢理侵略者を全滅させてもいいんだけど、守備側は駒の絶対数が少ないから難しい。

先手と後手で勝利条件が違うからどちらもやりがいのあるゲームである。


「ほらほら、逃げちゃいますよ、ロランス様」

「んー……!」

意外なことに美少女が守備側でやたら強かった。侵略者だとあんまり強くなかったけど。

この戦略性を求められるゲームに強いことはバイキングの中でも仲間に認められる条件だったらしい。ということは美少女にそういうバイキングの中の勇者適性が……あってほしくないなぁ、美少女には。美少女サーガとか読みたくないじゃない。

はっ!? 銀河英雄伝なんとかに登場するオフレッサーさんは下級貴族出身! 美少女も子爵家出身! ま、まさか!?

まぁ、彼女には戦争に関わらず過ごしてほしい。

「失礼します。今日の宿泊地に到着しました」

「あぁ、ありがとう」

今、この馬車を護衛しているのは……もちろんエルザや美少女や私の連れてきている家士もいるのだけど、メインになっているのはアルテレサ伯爵家の家士だ。

今、声をかけてきたのもロニーの側近である。

「うー、参りました」

どうあがいてもあと2手で負けるロランスがうなだれた。


今日の宿泊はあまり大きくない村で、それでも出来る限りの接待をしてくれた。ありがたいことではあるけど、あまり無理はしてほしくないものだ。

宿にした家もあまり大きい家ではなく、ロニーの部屋と女子組の部屋と護衛の人の一部の部屋に分かれた。残りの護衛の人は別の家に泊まっている。

ロランスに「君はロニーの部屋に行ってもいいんだよぅー?」という視線を向けたら真っ赤になってぐいぐいと押された。まぁ、叩かれなかっただけよしとしよう……視線を向けただけで、なにも言ってなかったんだけどなぁ。

ロニーも護衛のみんなもいない部屋の中、私はエルザ、美少女、ロランスの前に立って、腕組みをして宣言する。

「夜は恋バナの時間です!」

「こっ、恋バナ!?」

私とエルザと美少女の視線がロランスに集中する。

「なっ、なんで私が集中されるんですかっ!?」

逃げられると思っていたのかい……?

この話の舞台になっているのはイタリアによく似た地形の架空の地域です。

男性登場人物のほとんどにはモデルとなっている人物がおり、「そのモデルとなっている人物の所属している、または所属していたチーム」の本拠地が、その登場人物の勢力範囲となります。


モデルとなっているのはあくまで外見と地域だけであり、その人物の能力や適正、チームの規模や本拠地の規模などはまったく関係ないものとします。


☆今回の登場人物のモデル

ジェルメーヌ・ペドレッティ:ヒト科

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