覚悟
早い。それが私の感想である。
原作ゲーム、王冠の野望でガスティン侯爵家がペドレッティ伯爵家に攻め込むのはシナリオ2以降……王国暦406年以降のことだ。なお、シナリオ2ではお父様が疫病で亡くなっていてベルナールお兄様がペドレッティ伯爵を継いでいるので、お父様が生き残っている現状、このほうがありがたいのは確かだが。
今は王国暦402年なのでタイムスケジュールが4年も縮まってしまったことになる。
早すぎる。早い男は嫌われるんだぞ、ティボー・ガスティン! ……いや、今のはさすがに下品だった。忘れてほしい。
「よし、私も戦場に赴くとしよう」
お父様がナイスジョークを飛ばしてくる。お父様がペドレッティ伯爵家の柱石なんだからのこのこ出ていって万が一があっては困る。
「あはははは!」
「いや、あははじゃなくて」
なんかお父様がしょんぼりしたけど、実におもしろかった。伯爵ジョーク最高である。
「……まずは俺だろう」
総大将は……まぁ、考えるまでもなかった。
ペドレッティの軍神、ベルナールお兄様。
さて、それを誰が補佐するか、という話になってくる。
アメリーお義姉様は誰がなんと言おうと却下。そもそも軍を率いるようなタイプの人じゃないし、そういうタイプだったとしても身重の人妻を戦場に送りたくはない。
そういうわけで、ユーリお兄様と私が火花を散らしていた。
「俺も戦場で役には立たないけど、妹を危険に晒すことはもっと嫌だ」
ユーリお兄様の感情論である……いや、本当に愛してくださってありがたい限り。だが、ユーリお兄様には役割がある。
「ユーリお兄様、ペドレッティ伯爵家はシクス侯爵家と盟約を結んでいます。ですからガスティン侯爵家からの攻撃に援軍を要請することができるんです。ガスティン侯爵家もそんなことはわかってるでしょうから、なるべく早く援軍の準備を整えてもらわなきゃいけません。その使者にはアメリーお義姉様のお兄様のジャン・ヤヒア子爵に顔が通っていることが望まれます。だからユーリお兄様には使者の役割に集中していただいて、私がベルナールお兄様の補佐を……」
「やだっ!」
ぷいっと横を向かれた。こっ、子供かっ!? 困った……
最終的に「私は無茶をせず、ベルナールお兄様の言うことをちゃんと聞くことを誓います。破ったら1年間お酒を飲みません」という誓約書を書かされた。
お酒飲みたいので無茶はしません。弱くても好きなんですぅ。
さて、これはあとでお父様から聞かされた話である。
「私も子供達から戦場に出るなと怒られてしまった身でね……あぁ、座ってくれ」
「……失礼いたします」
お父様は穏やかな笑みで客を迎えていた。
「で、話というのはなにかな?」
客は今にも泣き出しそうな表情でお父様を見る。
「今回、戦争の原因を作ってしまったのは私の家です。伯爵閣下の家は関係ありません。私は戦争のことなんてなにも知りませんけど、それでも戦争になったら伯爵閣下の家か傷つくのはわかります……どうか、なにとぞ、ペラン子爵家をお見捨てください」
「そのことはペラン子爵もご存知なのかな? ……その、君が、私にそのようなことを言い出すということは」
客はお父様の言葉にこくんっと頷いた。
「このことは私達にとっては看過できないことです。私達は精一杯抵抗します。でもペドレッティ伯爵家にもアルテレサ伯爵家にも、これは関係のないことです」
「関係ないなんて悲しいことを言わないでくれ」
お父様が大袈裟に両手を広げる。
「私の妻は君のお父さんの姉であり、君の叔母にあたる人だ……ペラン子爵は私にとっても家族だ。『家族同然』ではなく『家族』なんだよ。だから、君の家のことを守らせてほしいんだ、ナタリー君」
「伯爵閣下……ありがとうございます」
泣き出してしまった客……ナタリーをお父様は抱きしめて、頭を撫でた。
……ところでナタリーって誰だっけ? あぁ、美少女か。
この話の舞台になっているのはイタリアによく似た地形の架空の地域です。
男性登場人物のほとんどにはモデルとなっている人物がおり、「そのモデルとなっている人物の所属している、または所属していたチーム」の本拠地が、その登場人物の勢力範囲となります。
モデルとなっているのはあくまで外見と地域だけであり、その人物の能力や適正、チームの規模や本拠地の規模などはまったく関係ないものとします。
☆今回の登場人物のモデル
ジェルメーヌ・ペドレッティ:ヒト科




