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暴行

「絶対に吐かせろ! 腕は2本あるのだから1本なくなっても構わん!」

目が覚めたときに一番最初に聞こえてきたのはブチ切れたベルナールお兄様の怒声だった。

この人がこんなに怒ってるの初めてじゃないかなぁ……? ムウィ渓谷でもすごく冷静だったし。


……一瞬、冷静に人を斬ってるのってサイコパスなんじゃないのかって思ったけど、そんなことはない。ベルナールお兄様は大丈夫。きっと大丈夫。

ただの人斬りじゃなくて英雄的行為だから。


「……ベルナールお兄様、寝起きに物騒なことを聞かされる可愛い妹の身にもなってくださいよ」

目を開けて体を起こそうとして……あれ、真っ暗? なんでだろう。

「ジェルメーヌ! 目が覚めたのか!」

起きようとする私を……ベッド? なのだろうか? 再び寝かせようとする……見えないけど、多分ベルナールお兄様。

なんだ、これ。状況がよくわからない。

「えっと……なにがあったんでしょうか? 目が見えないのですが」

「あぁ、見えないのは目の周りに包帯をしているからだ」

え、なに? 包帯? 怖……

「さっきまでは兄上や義姉上もおられたのだがな、休んでいただいた……ジェルメーヌ、お前は2日間、目を覚まさなかったのだぞ」

へぇ? へぇ……? 2日。それは……へぇ?




2日前の出来事だったそうである。

入学者のパーティー会場で私を見た、ある男子学生がいきなり私に襲いかかり殴り飛ばした上で馬乗りになって首を絞めたそうだ。

周りにいた他の学生によって引き離されたが、私はそのまま失神し、男子学生は暴れ続けていたそうであり、今は取り調べをするために牢獄に監禁しているそうである。


「え、目に包帯を巻いているということは、目に怪我を負ったのですか? ……まさか失明してしまうとか?」

「いや、怪我は額なんだけど、心配だからぐるぐる巻きにした」

過保護! あと見えないから! 目が見えないから、これ!

見えないのもストレス溜まるので自己判断で包帯を取る。すげぇ巻かれてんな、これ。


眩しっ。

2日間寝込んでいたから当然なのだけど、久しぶりの陽光はめちゃめちゃ眩しかった。

私の自室のベッドの上である。

「大丈夫か? 痛くないか?」

「大丈夫ですよ……あー、このガーゼが当ててあるところですね。痛みはもうありませんけど……」

おでこの左側にガーゼが貼ってあった。


「ところで私が目を覚ましたときにベルナールお兄様がおっしゃっていたことを思い返すに、犯人の背後関係がまだ特定できないとかですか?」

「いや、背後関係は洗う必要もないくらい明確だ。お前を殴り飛ばしたのはファブリス・アブリエルだからな」

ファブリス……あぁ、ジェルミ教団からの入学者か。ジェルミ教団が現在は国王の勢力下であり、ペドレッティ伯爵家はすでに国王に反旗を翻している以上、背後が明確であるというのは間違いない。

ベルナールお兄様はため息をつく。

「あの野郎がな、お前を殴ったこと自体を否定しているんだ」

……え? 現行犯でしょ? え、なんで?




翌日の朝食の時間。

私は前髪をかき上げてアメリーお義姉様に傷口を見てもらっていた。家族はそれを心配そうに見守っている。

前日の午後に診察してくれたファンニ医師によればあとは薬を塗りながらの治療ということだが……

「もしかしたら傷跡が残ってしまうかもしれませんね……前髪を下ろせば気づかれないでしょうが」

うーん、命があっただけでよかった。

しかし家族のみんなは暗い顔である。どうしたのみんな。笑ってー?

「僕の可愛いジェルメーヌに、こんな傷が残るなんて……」

嘆くユーリお兄様。アメリーお義姉様がすぐそこにいるんだから「僕の」とか「可愛い」とか軽はずみにいうんじゃありません!

お父様も暗い顔をしてないで! ほら、なんかアメリーお義姉様とか泣きそうな顔してるじゃない! 笑ってー?


すげぇ空気が悪い。いかんね、これ。


そんな食堂にメイドのルネが入ってきてシャルルに耳打ちする。

そしてそれを聞いたシャルルが口を開いた。

「ロタン教授が面会を求めていらっしゃいます。ジェルメーヌ様の件について至急の要件とのことでございます」

この話の舞台になっているのはイタリアによく似た地形の架空の地域です。

男性登場人物のほとんどにはモデルとなっている人物がおり、「そのモデルとなっている人物の所属している、または所属していたチーム」の本拠地が、その登場人物の勢力範囲となります。


モデルとなっているのはあくまで外見と地域だけであり、その人物の能力や適正、チームの規模や本拠地の規模などはまったく関係ないものとします。


☆今回の登場人物のモデル

ジェルメーヌ・ペドレッティ:ヒト科

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