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開校

「……ですから、私達がこの学び舎で手にするのは知識だけではありません。知識を正しく使うための知恵です。正しい知識を正しい知恵をもって使い、今後の私達の人生が実り多いものになることを心から祈り、学徒代表の挨拶とさせていただきます」

スピーチを終えて、カテーシーをしてみせる。


しばらくの沈黙。

……やりすぎたか?


やがてぱらぱらと、そして場内から割れんばかりの拍手と歓声が轟いた。

私が前世で卒業した大学の、偉い人の言葉を噛み砕いた上でジョブズばりのジェスチャー付きでスピーチしたった。うーん、ジョブズはすごいなー。




今日が待ちに待った学園の開校日である。

王都の学園から疎開してきた教授達が中心になって開校したこの学園に身分は存在しない。

農民であれ、職人であれ、貴族であれ、門戸は誰にでも開かれている。

原則として辺境仲良しクラブの資金により運営され、辺境仲良しクラブの領民は学費無料。

シクス侯爵家とガスティン侯爵家の領民からたっぷり搾り取る寸法である。まぁ、両家の領民は貴族階級くらいしか学園にこないだろうけど。

初代学長はマルレ教授。法学の権威である。

私が入学生の席に戻ると周りの学生達がヒソヒソしながらこちらを見ていた。

特に否定的な空気でもなさそうなので、ウィンクしながらしーっと静かにするようにジェスチャーすると、彼らは慌てて顔を伏せた。なんだこのやろう。

……まぁ、あれだ。うちの家が学園経営の主導をしてるんだから多少目立つのは有名税というものだろう。


これだけ入学者が多いというのは、やはり、人間は学びたいのだなぁと思う。

多かれ少なかれ知識欲というのは存在するのだから。


共同して学園経営をすることになっているアルテレサ伯爵のスピーチを聞きながら、これからの学園生活を考えていた。


入学生の名簿はすでに目を通していた。

気になった人はやはり何人かいる。

まず、ナタリー・ペラン。ペラン子爵のご令嬢である。

それからエルザ・シクス。こっちはシクス侯爵の分家のご令嬢。

友邦といえる二家のご令嬢だが、この2人は私と同い年なので色々と仲良くすることがあるだろう。学内のこととはいえ、下手をすれば外交問題になりかねないので、そのあたりは、うん、まぁ……

それ以外にシクス侯爵家と、その勢力から十数名の入学があった。

えへへ、学費ありがとうございまぁす。


ガスティン侯爵家は現状、友邦とは言い難いが、それでも勢力全体から5名ほどの入学者があった。

その中で気になったのが、ロランス・カンデラという女性である。

年齢は私の1つ下なのだが……カンデラ? どこかで聞いたことがあるような。気のせいじゃないと思う。原作ゲーム、王冠の野望でそこそこ能力の高い将軍として登場しているのは覚えているけど、それ以外にどこかで……

私が首を捻っていると、苦虫をダース単位で噛み潰した顔で教えてくれたのが、今、壇上でスピーチを行なっているアルテレサ伯爵である。

「カンデラ……あの不忠者め」

その言葉で思い出した。

狂乱の夜の直後にアルテレサ伯爵家からガスティン侯爵家に引き抜かれた亜人退治のエキスパート、カンデラ将軍!

どうやら、その娘さんらしい。

んー、学園入学なんてしたらアルテレサ伯爵から憎しみを買っちゃうことなんてわかってるのに、わざわざ娘さんが入学するなんて興味深い。


そして、気になったのはもう1人。

シクス侯爵家からの入学者がいることは想定していた。

ガスティン侯爵家からの入学者がいることは想定していた。

しかし、これは想定していなかった……神聖騎士団員子息の入学者。

たった1人だけジェルミ教団領からの入学者、神聖騎士団の部隊長であるアブリエル将軍の息子、ファブリス・アブリエル君である。

まさか、ジェルミ教団からの入学者がいるとは思わなかったが、おかげで学費がっぽがっぽである。


さぁ、楽しい学園生活のはじまりはじまりー。

この話の舞台になっているのはイタリアによく似た地形の架空の地域です。

男性登場人物のほとんどにはモデルとなっている人物がおり、「そのモデルとなっている人物の所属している、または所属していたチーム」の本拠地が、その登場人物の勢力範囲となります。


モデルとなっているのはあくまで外見と地域だけであり、その人物の能力や適正、チームの規模や本拠地の規模などはまったく関係ないものとします。


☆今回の登場人物のモデル

ジェルメーヌ・ペドレッティ:ヒト科

マルレ学長:アリゴ・サッキ

アブリエル将軍:ロベルト・マンチーニ

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