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友邦

「お土産なにがいい?」

そういう状況でもないからいらないとは言っておいたが、ユーリお兄様のことだからなんか買ってくるんだろうなぁ。ペナントか? ペナント買ってくるのか?

そんなことを思いながら、シクス侯爵家の封地、クローヴィスに出かけるユーリお兄様を見送る。


まさか、ユーリお兄様がパスカル・シクス侯爵とお友達とは思わなかった。人脈って大事だなぁ。


人脈大事なんだよぉ……幽閉されてる場合じゃねーぞ、私の人脈。

仕方ないけど。それがないとゲーム始まらんし。


「土産はいらんからな」

お父様と私が出かける段になってベルナールお兄様に言われた。

お土産大好き一族かよ。いや、お土産拒絶一族か? ……まぁ、なんか気になるものがあったら買ってきますよ。

ベルナールお兄様は伯爵領に残って、ひたすら練兵しながら領地を守ることになる。

お父様が招聘した学園の教授の中に魔法学の教授、ロタン教授がいたためベルナールお兄様についていてもらうことにする。

お父様と私の護衛の中にフレデリックがいるため、ユーリお兄様、ロタン教授、フレデリックで三ヶ所の遠話の魔法による連絡網が完成する。これは状況が掴みやすくていいね。小さな勢力ならではの手の届くやり取りである。


私も遠話の魔法の仕様を理解し切れていないところはあるのだが、基本的にこの魔法は会話はできず魔法使いからの一方通行の連絡になる。

だけど、魔法使いが2人いる場合はお互いに回線を開くことにより事実上の会話が可能なのだ。

こうなるとユーリお兄様の魔力が30になったのは非常に大きいことだといえる。


そうしてお父様と私はペラン子爵の封地、ユルグへと出かけることになった。




それほど急ぐ旅でもない。むしろ私達よりユーリお兄様のほうが急ぐ必要があったかもしれない。

あっちは王軍と直接ぶつかり合っててなにかと忙しいだろうしなぁ。

その点、北の辺境仲良しクラブの領地は国が戦争中だということが信じられないほどのんびりとした時間が流れている。

3日かけてペラン子爵領に入った。

アルテレサ伯爵もユルグに向かっているらしい。


「お久しぶりですな、クリスティアン様! そちらは……ジェルメーヌ様ですね? ようこそ、ペラン子爵領へ!」

ブレーズ・ペラン子爵は私達の馬車をユルグの隣町まで出向いて歓迎してくれた。つるりとした自分の頭を撫でながら迎え入れてくれる。あれ、剃ってるのかなぁ?

よく笑い、よく喋るおっさんだ。

原作ゲーム王冠の野望には登場しないが、こういう日常映えするおっさんは嫌いではない。映えだ、映え。

「クリスティアン様はもとより、ジェルメーヌ様にとってもペラン子爵領は、あなたのお母様であり私の姉の生まれた土地です。どうか自分の家のように寛いでください」

あぁ、お母様はこの方の姉なのか。

仲良しクラブは本当に仲良しなのが微笑ましい。


ユルグのペラン子爵の館に滞在させてもらう。

この辺りではイワシがよく食べられているらしい。

素朴なイワシ料理を振る舞われながら、あの凶事の夜になにが起きたのか、なにを見たのか、そして今後のことについて話し合った。

イワシ美味しい。

「私はシクス侯爵につこうと思う……先々代のように無体を強いられることもないだろうしね。もちろんブレーズ殿にも考えはあるだろうから共にシクス侯爵のもとで、と強制をするつもりはないが、それでも少なくとも三家の連携は密にしていきたいと考えている」

「ふむ!」

ペラン子爵は気合を入れるかのように鼻息を漏らす。

「40年前の盟約は絶対に忘れませんが、40年前のシクス侯爵との間の緊張は忘れて然るべきでしょうな。実際に血が流れたわけでもなく、さらに国難といえる状況下だ。我が家からもシクス侯爵に使者を出しましょう」

ありがたい話だ。しかし……

「辺境仲良しクラ……じゃなくて、北方の三家がシクス侯爵につくとなった場合、ガスティン侯爵の軍がこちらに向くことも考えられます。ペドレッティ家ではすでに軍の準備をはじめておりますが、こちらの子爵家でもご準備は必要でしょう? シクス侯爵につくと即断しないほうがよろしいのでは……」

おうちの中で話し合ってからでも遅くないんじゃないかなー、と。実際に血が流れる戦争になる可能性が高いのにこんなに簡単に決断していいのかなぁ。

「心配ご無用。40年前にシクス家と睨み合って以来、我が家でも常に軍の準備はしてまいりました、軍神と名高いベルナール様率いるものほどではないですがな。精強なるペランの軍をお見せできますぞ」

からからと笑う。


すごく……映画とかで早死にしそうなおっさんだと思う。

でもそれはそれとしても、とても気持ちのいい人だとは思った。

この話の舞台になっているのはイタリアによく似た地形の架空の地域です。

男性登場人物のほとんどにはモデルとなっている人物がおり、「そのモデルとなっている人物の所属している、または所属していたチーム」の本拠地が、その登場人物の勢力範囲となります。


モデルとなっているのはあくまで外見と地域だけであり、その人物の能力や適正、チームの規模や本拠地の規模などはまったく関係ないものとします。


☆今回の登場人物のモデル

ジェルメーヌ・ペドレッティ:ヒト科

ロタン教授:フィリッポ・インザーギ

ブレーズ・ペラン:エウジェニオ・コリー二

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