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盟約

「40年前の盟約は今でも有効だよ」

お父様が口を開く。


お父様とユーリお兄様を前に今後のプランを話し合っていた。

ベルナールお兄様はひたすら練兵をしている。

まぁ、ベルナールお兄様の一芸を活かすのはそれでいいのかもしれない。


ペドレッティ、ペラン、アルテレサの三家についてである。

「40年前の……盟約、ですか」

初耳だった。思わずキョトンとした顔をしてしまう。

「当時は先々代シクス侯になるのだがね、彼が、なんというか……辺境の我々を認めないような御仁でね、三家が揃って防衛する必要があったんだ。血こそ流れなかったが、私も軍を率いてシクス侯の軍と睨み合ったものだ」

本当に戦争直前だったんだなぁ……危ないところだわぁ。

……でも当時のシクス侯爵は危険人物だったんだなぁ。ちょっと頭の片隅に入れておこう。今のところは片隅でいいだろう。なにかあったら引っ張り出す必要はあると思うが。

でも、それで三家は40年来のお付き合いということなのか。

「ペドレッティ家は私の妹をアルテレサ家に、アルテレサ家は娘をペラン家に……そしてペラン家からうちに嫁いできたのが君達の母親、リュシーだ。北方の三家は家族でもある」

あー、婚姻関係ね。今川、武田、北条の三国同盟みたいなもんか。

「アルテレサ伯爵家に嫁いだ君達の叔母にあたる人はまだ壮健だよ」

そっかー。

じゃあこれから三家をまとめて辺境仲良しクラブと呼ぶことにしよう。

ガスティン侯爵家領も北部ではあるけど、仲良くないからクラブに入れてやらない。三家だけで仲良くしちゃうもんねー!

「リュシーは美しい人だったよ。初めて見たときは天から舞い降りてきたのかと思ったほどだった。私のような無骨な男でこんな人が幸せにできるのかとプレッシャーを感じてしまったほどさ。こんな美しい人と結婚できるなんて、私は特別な存在なんだと思ったよ」

あー、親の惚気話は聞きたくないですぅ。っていうかヴェルタースオリジナルみたいにいうな。

「愛だね、愛」

ユーリお兄様は親の惚気話を聞きたそうだった。あとにしてくれぇー。

「今でも連絡のやり取りはしている、が……王都であのような凶事があったあとだ。久しぶりに会いに行ってもいいかもしれない。ジェルメーヌの考えにも見合うことだろうし、私はこれからアルテレサ家とペラン家にいって、同盟を強固なものにするよう話してこようと思う」

「ぜひお供をさせてください」

三家の同盟を固めるなら、がっちがちにしておきたいところ。あと、「私達は1人じゃない」って自覚しておくことは大事。


「んー」

ユーリお兄様が珍しく考え込んでいる。

「ユーリお兄様、詩想はあとにしてくださいね」

お父様とお母様の愛の詩はそれはそれで興味あるけど……

「いや、今はそれは本格的にはまだだ」

あっ、本格的じゃない程度には考えてたんですね。

もうユーリお兄様大好きだよ、ほんと! 裏切らないから!

「ジェルメーヌはシクス侯爵家と同盟することを考えているんだろう?」

「えぇ、そうですけど……」

え、ユーリお兄様が話についてきてる。おかしいな……熱でもあるのかもしれない。

「シクス家との交渉だったら俺が役に立てるかもしれない」

「ぷるぁ!?」

思わず貴族の令嬢が出しちゃいけない声が出た。お父様も目を見開いている。

「シャルル! シャルル!」

「いかがなさいましたか、閣下」

シャルルを呼びつけて、目を瞬かせる。

「これは夢か!?」

そこまでか。そこまでユーリお兄様がまともなこと言うの珍しいか……珍しいなぁ。うん、珍しかったわ。

ユーリお兄様は周りの暴言にまったく気にしていないように、マイペースに言う。このマイペースさがユーリお兄様だなぁって思う。この人が焦り始めたら終わりが始まっちゃう。

「シクス侯爵って、ようするにパスカルだろう? パスカル・シクス」

そんな友達を呼ぶみたいに……

「いや、俺が学園に通ってたころの同級生だからさぁ、パスカル」


友達だったわ。


「今、なにやってんのかなぁ、パスカル」


パスカルさん、侯爵やってますわ。

この話の舞台になっているのはイタリアによく似た地形の架空の地域です。

男性登場人物のほとんどにはモデルとなっている人物がおり、「そのモデルとなっている人物の所属している、または所属していたチーム」の本拠地が、その登場人物の勢力範囲となります。


モデルとなっているのはあくまで外見と地域だけであり、その人物の能力や適正、チームの規模や本拠地の規模などはまったく関係ないものとします。


☆今回の登場人物のモデル

ジェルメーヌ・ペドレッティ:ヒト科

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