季節
春が来た。
春の季節イベントとしてセリーヌお義姉様のところにユニコーンがやってきた。
乙女じゃないのに「戦乙女」って呼ばれてるから、ユニコーンが「ほんとかな?」と様子を伺いに来たのかもしれない。
ユニコーンイベントは能力値がランダムで1つ上がるイベントだ。
ランダムなのでベルナールお兄様の武力が101になったりもする。
セリーヌお義姉様のどの能力が上がったのかはわからないけど、武力が上がってたとしたら93!
すごいなぁ、93って……
まぁ、どの能力値が上がったとしても、ユニコーンのおかげというだけじゃなくて、セリーヌお義姉様の努力の結果です。セリーヌお義姉様を褒め讃えていきたい。
そして春になって、ようやく、というべきか、動きがあったのがガスティン侯爵家である。
クレティアン砦の戦い以降、ずっと閉ざされていた外交チャンネルを向こうから開いてきたのである。
具体的な動きとしてセリーヌお義姉様の結婚を祝福する使者を送ってきた。
今になって!? と思わなくはないけど、それでも大きな一歩であることは確かだ。
私にとってはガスティン侯爵家は敵だけど、セリーヌお義姉様にとっては家族だからなぁ……
まぁ、現状としては教団から破門されてる人の祝福なんで「はいはい」で終わる話だった。
そのガスティン侯爵家はフランソワーズ……いや、フランク・ケルシア氏をすぐに擁立し、メンディ大司教と既存のジェルミ教団を批判しはじめた。
……これがあったから、素直にガスティン侯爵との外交チャンネルを開きっぱなしにすることができなかったんだけど。
これについてはガスティン侯爵領の領民達は、もともと善政を行っていたガスティン侯爵のことを信じるようで、ジェルミ教の司祭を街から追い出し、新たな教団を迎える動きがあるのと同時に、他の領地では新たな教団はほぼ勢力を伸ばすことはできていなさそうだった。
ジェルミ教団が国教として各地の地盤に食い込んでいるため、新たな教団が入り込む余地がなかったということもあるが、捕らえていたフランク・ケルシア氏の兄であるアラン・ケルシア氏を教団の要職に取り立て、新たな教団を批判させたのだった。
アラン氏は争いは好まない聖職者らしい聖職者であるらしく、妹に「教団は一つであるはずだ」と呼びかけた。アラン氏の方がメンディ大司教よりも聖職者らしいと思う。
なお、これに対するフランク氏の反応は、まだない。
シクス侯爵はサンルナ団の討伐を完了した。
かなり大規模な組織だったらしくなかなか全貌を捉え切ることができなかったが、もう組織的な抵抗は無理だろう、というところまで叩くことはできたらしい。
ただしサンルナ団についてはペドレッティ伯爵領にも勢力を伸ばしていた痕跡があるようだ、ということをフォキが教えてくれた。
「……これについちゃ、あっしが専門家でございますので、お任せくださいませ。いずれ組織がまとまっているところを見つけられればベルナール様のお力をお借りすることもあるかもしれません」
……ということだった。
南方では海賊、サンディ・アンツが勢いを失っていた。
腹心である人形使いを失ったことが響いているのかもしれないけど、サヴィダン鉄壁公を相手に連戦連敗でどんどん勢力を小さくしているようだ。
いや、もちろんサヴィダン鉄壁公が戦巧者だからという理由も大きいのだけど。
海賊とは反対にサヴィダン鉄壁公はどんどんと強くなっていく。
しかしそれでもシクス侯爵を立てる発言をしており、ここに亀裂を入れることは難しいだろうと思う。
そして、ペドレッティ伯爵家では……
その日、私は学園で アシスタントのようなことをしていた。
「とりあえず10人ほど雇用して、今、鍛えているところですよ」
学園の警備隊長に就任したレミが報告してくる。
学園の規模を考えると50人くらいまでは増やしたいかな……
そんな話の中、マリオンが珍しく、血相を変えて駆け込んできた。
この話の舞台になっているのはイタリアによく似た地形の架空の地域です。
男性登場人物のほとんどにはモデルとなっている人物がおり、「そのモデルとなっている人物の所属している、または所属していたチーム」の本拠地が、その登場人物の勢力範囲となります。
モデルとなっているのはあくまで外見と地域だけであり、その人物の能力や適正、チームの規模や本拠地の規模などはまったく関係ないものとします。
☆今回の登場人物のモデル
ジェルメーヌ・ペドレッティ:きつねさん