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医者

「ベルナールお兄様っ、おかえりなぁー……あー」

私が駆け寄った時にはすでにベルナールお兄様はユーリお兄様といちゃついていた。

「いや、いちゃついてはいないぞ」

こいつ、心の声を……っ!


こういうのってさぁ、普通にヒロインがお兄様大好きーって抱きつくもんなんじゃないのぉ?

私が「ベルナールお兄様ぁっ」みたいな感じで、こう……




もしかしたらユーリお兄様がヒロインなのかもしれない。

それはそれは、幸せな世界……なのかなぁ? まぁ、いいや。

兄弟の仲がいいのは素敵なことに変わりないし。


ベルナールお兄様の後ろにちょっと所在なさそうにしている青年がいた。

年齢は30くらいだろうか。マリウスやベルナールお兄様ほどではないが、それなりに長身のユーリお兄様よりは身長高そう。うっすらと髭を生やしているイケメンである。

……誰?


「あっ、こ、こんにちは」

「えぇ……こんにちは」

挨拶をされたので返すが……誰だ?

「話はとりあえず家に入ってからにしよう」

ようやくユーリお兄様を引き剥がしたベルナールお兄様がこちらに声をかけてくる。

引き剥がされてもなお、ユーリお兄様はベルナールお兄様の背中をバンバン叩いていた。効いてなさそうだけど。本当に仲いいなぁ……




「そうか。ではこれからよろしく頼む」

「うむ」

ベルナールお兄様の話を聞く前にお父様の前でベルナールお兄様とマリウス、アドリアンの親子と引き合わせる。

マリウスは一言頷いただけだったがめちゃめちゃ嬉しそうだ。

やっぱりベルナールお兄様は、認められているんだなぁとかぼーっと思う。

アドリアンは私に対してよりも……というかベルナールお兄様には特に敵意を抱いていないらしい。というか、むしろ目をキラキラさせている。アイドルかよ。まぁ、でもそれはそんなもんだろう。

ベルナールお兄様が前に突き出した拳にマリウスがごつんっと拳を合わせ、マリウスは満足そうに笑った。

「……で、そこの御仁は?」

一通りシュヴァリエの話が終わったあと、お父様がベルナールお兄様の連れてきた青年を見つめながら言った。

「は、はじめまして、伯爵様。ぼ、僕はファンニと言います。フローラン・ファンニです」

ファンニさん。どうぞよろしくー?

ベルナールお兄様に「何者ですか?」という目を向ける。

「医者だ。俺が学園に通っていたころに知り合った」

はぁー、なるほど? 人脈は大事ですねぇ。

私個人の学園での人脈であるところのルイーズちゃんは消息を聞かないが、恐らく幽閉中だ。ガッカリ人脈かよ。

あれ? でもこの方、ベルナールお兄様よりもずいぶん年上のような? 老け顔?

「同級生ではないぞ」

はぁ、同級生ではないのですか……「じゃあなに」っていう説明がないところがベルナールお兄様らしいなぁ。

「あ、あの、僕はムタウアキル師の弟子で、講義のお手伝いをさせていただいていたんです」

「おぉ、ムタウアキル師の……そうか!」

お父様は知っている名前らしい。

あとで聞いたら先代国王の侍医だった、結構偉い人だとかなんとか。

はぁー、そんな人のお弟子さんねー。それは都合がいい。

「ムタウアキル師から独立を許されまして、地元のアジャクで医者をしていたのです。む、昔馴染みのべ、ベルナール君とは手紙でれ、連絡を取り合っていたの、ですが、先日、訪ねてきてくれまして……」


……えっと?

今、聞き逃せないこと言ったな?


「どこで医者をなさっていた、と?」

「あ、アジャクです」

ふむ。

「で、ベルナールお兄様がそこに訪ねていった、と?」

「はい」

ふむふむ。


「ベルナールお兄様ぁっ! 危険な真似はおやめくださいませーっ!」

アジャクは国王派、メンディ大司教の領地だっつってんだろうが! 危ねぇだろうが!

そら帰ってくるまで時間かかるわ!

「いや、でも、なんとかなったし」

うるせぇよ、武力100。

どうやったんだよ……

どんな手を使ったんだよ、この人……

この話の舞台になっているのはイタリアによく似た地形の架空の地域です。

男性登場人物のほとんどにはモデルとなっている人物がおり、「そのモデルとなっている人物の所属している、または所属していたチーム」の本拠地が、その登場人物の勢力範囲となります。


モデルとなっているのはあくまで外見と地域だけであり、その人物の能力や適正、チームの規模や本拠地の規模などはまったく関係ないものとします。


☆今回の登場人物のモデル

ジェルメーヌ・ペドレッティ:ヒト科

フローラン・ファンニ:アンドレア・ポーリ

ムタウアキル師:マルチェロ・リッピ

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