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服毒

「私達はここで待機していましょう。先生の診察が終わるまでは」


エリウ氏が倒れてからエルザもすぐに呼んで応接室で待機していた。

エリウ氏とファンニ医師は客間で診察をしている。

まだエリウ氏の意識は戻らないらしい……

エルザも真っ青な顔で俯き、護衛の兵達は彼女と顔見知りなのだろう、エルザのことを元気付けようとしている。

「あんなに元気な方が、倒れたままなんてあり得ません!」

「そうそう、病の元を殴り倒しに行くような、元気な方です。サリウ様の目が覚めたらエルザお嬢様も笑顔で迎えてあげてくださいませ」

しかしエルザは床の一点をずっと見つめていた。


やがて……


「と、とりあえずの、ち、治療は終わりました」

額の汗を拭いながら、ファンニ医師が応接室に入ってくる。

みんなの注目が集まったことに、一瞬ぎょっとした顔を浮かべるが……

「ご、ご安心ください。エリウ・シクス様は治癒させることがで、できます。ぼ、僕は、あの症状を師匠の元で見たことが、あ、あります」

ファンニ医師、名医かよー!

ファンニ医師の言葉を聞いて、エルザが目を見開いて、やがてふらっと倒れた。

「おっ、お嬢様! エルザお嬢様!」

気を張り詰めさせてたから、緊張の糸が緩んじゃったんだろうなぁ。仕方がない。エルザはよくがんばりました。

「そ、それでですね、じぇ、じぇ、ジェルメーヌ様……ちょ、ちょっと、ご、ご相談したいことが……」

ファンニ医師がなにかを言いづらそうにしている。

……聞きたくないけど、聞かなきゃいけないことなんだろうなぁ。




「毒?」

ほら、聞きたくないことだった。

「ほ、本当に危ないところでした。え、え、エリウ様がもうしばらく毒を服用していたらち、治療が間に合わなくなるギリギリでした」

ファンニ医師の言葉に違和感を覚える。

「こ、この毒はとても独特な匂いがします。だ、だ、だからぼ、僕も、ど、毒に気づくことができました」

そういえばピルケースを見て顔を顰めてたっけ。

「ちょっと待ってください、ファンニ先生。『もうしばらく』ということは今まで日常的に毒を服用していたということですか?」

ファンニ医師は重々しく頷く。

日常的に、ということはエリウ氏の家人とかだろうか……いや、エリウ氏は家人にそれなりに敬われてるように見えたなぁ。でも恨みなんてどこで買うかわからないし……

「こ、このピルケースの中身が毒、でした……こ、この毒をふ、服用していた人を、僕は師匠の元でみ、見たことがあります」

ピルケース……ということは薬を作った人間か。

「こ、この毒は数年かけて服用することで徐々にた、体調が悪くなっていきます。そ、そしてい、一定量を服用したらもうおしまいです。あとは毒を飲まなくても病状は進行し、な、治す手立てはありません。こ、このままだったらえ、エリウ様は数年後にな、亡くなっていたことでしょう」

遅効性の毒、か……

あれ、ちょっと待った。

「エリウ様はここ数年、病に悩まされていたと聞きます。もしかして、それは……?」

ファンニ医師は頷く。

「や、病ということであれば、お、恐らくは……」


エリウ・シクス氏はゲーム開始時点から「病気」のバッドステータスを持っていた。

このバッドステータスのために武力の能力値は大幅に下がっていたのだ。

そしてそれが完治することなく、そのまま病死している……「病死」ではなかったのか。

しかし、誰が?


エリウ氏はシクス侯爵家の重鎮の中の重鎮だ。

そして常に前線で戦う武闘派でもある。

戦う中で恨みも買うだろう。

家人の中で恨んでいる人がいるかもしれない。

と、なれば、今、護衛に来ている兵士達もそのまま信用はできない。そもそもピルケースを差し出したのは兵だったし。

誰が信用できるかわからない状態で……




「まぁ……エルザ様は普通に信用できるわね」

そこが覆ったら人間不信になっちゃう。

この話の舞台になっているのはイタリアによく似た地形の架空の地域です。

男性登場人物のほとんどにはモデルとなっている人物がおり、「そのモデルとなっている人物の所属している、または所属していたチーム」の本拠地が、その登場人物の勢力範囲となります。


モデルとなっているのはあくまで外見と地域だけであり、その人物の能力や適正、チームの規模や本拠地の規模などはまったく関係ないものとします。


☆今回の登場人物のモデル

ジェルメーヌ・ペドレッティ:きつねさん

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― 新着の感想 ―
[一言] 毒殺キター 毒殺一族vsお姫様の大決戦か お姫様もそろそろきつねさんに覚醒して狐火の妖術の一つ位使いこなさねば
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