表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
129/240

白鷺

なんか伝説の剣をもらったけど、布に包んだままそのままにしておく。

私が見ても剣の良し悪しなんかわからないし、ベルナールお兄様に渡す前に傷とかついたら困る。

それに新しい武器! 新しい武器なんでしょう!?


男の子ってこういうのが好きなんでしょ?


嬉しそうに新しい武器をぶんぶんするベルナールお兄様の姿が目に浮かぶ。

この剣が強いかどうかじゃなくて、ベルナールお兄様が喜んでくれれば十全なのだ……いや、いざ使う際に折れちゃったりしたら困るな。

まぁ、折れるときは試し切りの段階で折れるだろう。いざとなったら闘気の、なんか、そういうやつできっとへーきへーき。

「いいものをもらいましたな。私もクリステル様から見せてもらったことしかない逸品ですが……ベルナール殿になら相応しいものでしょう」

サリウさんがにこにこと言ってくれる。

サリウさんは、パスカル・シクスには重臣としての顔を見せるけど、私にはただのお友達のお父さんなので、普通にいい人だった。

っていうか、サリウさんから見てもパスカル・シクスから見てもいいものなのだったら、本当にいいものなのだろう。私にはわからん世界だった。


「それではジェルメーヌ様、今日はお暇いたしますが、領地に帰られる前にまたお会いしたいわ。お話を聞かせてちょうだい」

クリステルさんが微笑む。あなた、本当に武勇伝聞くの好きね。

「あ、俺も聞きたい! 俺も!」

「どーん」

君ら、ラブラブだねぇ。

「いいわねぇ」

それを見ていたエルザが呟いた。ほんとぉ? 失礼ながら、目とかお腐り遊ばされてませんこと?

まぁ、エルザが幸せそうだからいいかな。




翌日、用意してもらった豪奢な馬車で白鷺宮にいくことになった。

さすがにパスカル・シクスは金持ってるし、そのパスカル・シクスにとっても要人への客だ。

なお、白鷺宮は宮という名前で呼ばれてはいるが、庶民がそう呼んでいるだけで実際は宮殿などではない。

などではないのだけど……

「おっ、おぉぉ……」

私は馬車の窓からその威容を見て、完全に圧倒されていた。

大きさだけだったらもっと大きな建物は見たことがある。実際に私も2年前の舞踏会で王城にいたわけだし、王城は確かに白鷺宮よりも大きく、そして豪華絢爛だった。

しかし、この白鷺宮は……誰の趣味なのかはわからないけど、シンプルな美しさだった。

私の前世の「皇室写真」のような、ミニマムで素朴な美しさの建物だった。元日本人の私にはとても心地いい空間に見える。

金かかってんだろうなぁ……


御者さんにおろしてもらって、今度はルイーズ殿下ちゃんに仕える家人に案内される。

ルイーズ殿下ちゃんにもともと仕えていた人々は、今、どこにいるかわからない状態だし、国王に殺されちゃっている可能性が高い。だから、今、ここにいる人々はパスカル・シクスがつけた人々だろう。

「えーっと……ルイーズ王女殿下はお元気でいらっしゃいますか?」

「えぇ、とてもお元気でいらっしゃいます」

そろそろ老年に差し掛かろうかという、年配の女性の家人がにこやかに答えてくれた。

ふむ、私を呼んだのはなんだろう。もし、パスカル・シクスからの扱いが不満とか、そういうことなら、このパスカル・シクスの目がたくさんあるこの家での会談はしないはずだし……

国王から他に誰かしら救ってほしい人がいる、とか? ……いや、それだったらまずパスカル・シクスに相談してほしい。私は無力なきつねさんです。

王都の学園での宿題忘れたから見せてー! とか? いや、そんなん言われたら逆に尊敬するわ。一生ルイーズ殿下ちゃんについていくわ。


そんなことを考えながら歩いていた、一番奥の応接の間に、ルイーズ殿下ちゃんが、いた。


「お久しぶりです、ジェルメーヌ様。本日はお呼び立てして申し訳ございません」

深々と頭を下げるルイーズ殿下ちゃん。

「今となっては、私は王家への忠義を持っているとは言えませんが、ルイーズ王女殿下への友誼は持っているつもりでございます。なんなりとお申し付けください」

「ありがとう……実は……」

家人の人がお茶を用意してくれたこれもきっとお高いやつなんでしょう?

「その、ジェルメーヌ様……」

ルイーズ殿下ちゃんはとても言いづらそうだ。

「こちらの家の方々に下がってもらった方がよろしいですか?」

もしかしたら厄介な話かもしれないと思って、人払いを提案したが、ルイーズ殿下ちゃんは首を横に振った。

ふむ、人払いはいらない……本当になんの話かわからないなぁ。


しばらく躊躇していたルイーズ殿下ちゃんは、やがて決心したように顔をあげた。




「ジェルメーヌ様は、恋をしたことがおありですか?」

流れが変わった!?

この話の舞台になっているのはイタリアによく似た地形の架空の地域です。

男性登場人物のほとんどにはモデルとなっている人物がおり、「そのモデルとなっている人物の所属している、または所属していたチーム」の本拠地が、その登場人物の勢力範囲となります。


モデルとなっているのはあくまで外見と地域だけであり、その人物の能力や適正、チームの規模や本拠地の規模などはまったく関係ないものとします。


☆今回の登場人物のモデル

ジェルメーヌ・ペドレッティ:きつねさん

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] やったねお姫様!待望の恋バナだよ! 色気のある話になるかは別だけど >私は無力なきつねさんです 武力は無いけど影響力はあるじゃないですか
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ