第79話 キエフ・オパールか
キエフ第二首都で馬車から降りて、ソランジュたち一行は今度こそ秘宝の元へ。
「かつてキエフは、世界有数のオパール産出国だったニャ。それもプレシャスオパールばかりだったニャ。それを元に、国は大きくなったニャ」
退屈を紛らわせるかのように、チヨメがキエフの歴史を語る。
「プレシャスオパールって、なんですか?」
「これです」
マセッティ王子が、王家の証である指輪を見せてくれた。球状の宝石の中で、虹が揺らめいている。
「うわぁ、虹色ですねー。キレイ」
「うむ。この虹、生きているな。比喩ではなく、本当の魔力が封じ込まれている」
リッコにつられて、ソランジュも思わず息を呑む。
朱砂の魔女である自分でさえ、ため息をもらすくらい、キエフ産のプレシャスオパールは美しい。
「虹の光沢が出るオパールにはプレシャス、出ないオパールにはコモンと呼び名がつきます。キエフから採取できるオパールは、なぜかプレシャスばかりでした」
「特に、魔力の籠もったオパールはオレンジ色に輝き、通称『キエフオパールと』呼ばれたんだよ。王子の指輪も、キエフオパール製だ」
王子の言葉を、ソランジュが引き継ぐ。
しかし、以降はぶ厚い岩盤に阻まれ、オパールはいつしか採掘できなくなっていった。しかし、そのオパールには魔力の伝達性が高かったことが判明する。
「キエフは再び経済力を取り戻しました。ですが、それは諸刃の剣だったのです」
やがて、キエフ産オパールの力は魔王の目に触れることとなった。魔族に狙われたキエフは、友好国であるクテイに助けを求めた。
それからは、ソランジュの知っている話である。
街並みを歩きながら、ソランジュは街の活気を感じ取っていた。
廃墟と化したのは首都のみであり、他のエリアは普通に人々が生活している。
首都は別に移し、細々と暮らしていた。
農作物や家畜などの産業が主流らしい。科学や魔術などに頼らない生活に戻しているのだとか。民も「足るを知る」の精神で、過度に魔術などには頼らない。
「自然を身近に感じることで、みんなは必要以上の力を当てにせず過ごしています」
フィナンシェ・マセッティ王子も、彼らの生き方を尊重したいそうだ。
しかし、シングニアに睨まれている以上、力を手に入れる必要性を感じていたのである。
「てっきりキミも、コジモの血縁者かと思っていた」
ソランジュは、リッコが関係者だと考えていた。
キエフの紋章を持っていたから。
「何も思い出せないか?」
「はい」と、リッコは首を振る。




