第6話 セクハラ魔女さんです！
「いつも依頼はヒゲに頼むんだけどね。彼はどうかしたのかい？」
「ケガをなさって」
事の成り行きをリッコが説明すると、ソランジュはため息をついた。
「なるほど、イグルがケガをさせてしまったか。彼には悪いことをしたね。治療費込みで報酬を上乗せするとしよう」
リッコからもらった包みを開ける。
「なかなかいい銀だ。こんな素材が、まだ世界でも取れるとは。私の求めている素材ではなかったがな」
他には、手紙が入っていた。
なにやら、ソランジュは独り言をぶつぶつ言っている。
「なにか、ご不満でも？」
「あっ、いや。こっちの話だ」
リッコの存在を思い出したかのように、ソランジュは取り繕う。
「では、わたしはこれで」
「待ってくれ」
立ち去ろうとしたところで、ソランジュに止められた。
「どうやってイグルの病状を見抜いた？ 魔女がようやく探し出した症状だぞ」
ソランジュに促され、リッコは経緯を話す。
「こんなのレアケースです。わたしも、一度しか見たことがありません。でも、印象的だったので覚えていたんです」
「なるほど。とにかくありがとう。依頼料は弾んでおくよ」
リッコはソランジュから、相当額の銀貨と、高級なポーションを渡された。旅が多い冒険者にとって、物品支給はありがたい。
「他にも欲しいものがあったら、好きに持っていきたまえ」
ソランジュは言うが、さすがに遠慮する。
「ありがとうございます。でも、正規の依頼ではないので」
「それでは私の気が収まらない」
「と、言われましてもー」
「そうか。身体で払えと言うのだな？」
魔女が、ガウンを脱ぐ。豊満な胸を強調しながら、身をのりだしてきた。
「あ、あの、ソランジュさん？」
「お盛んなやつだな。けどキライじゃない。お安いご用だよ」
艶っぽい瞳が、すぐ顔の前まで迫る。
回避しようと身体を反らすも、リッコには逃げ場がない。
「待って待って！ そういう趣味はないです！」
ヒーターシールドを構えて、リッコはガードした。
「大丈夫、リードしてやろう」
ソランジュが指を鳴らす。
一瞬で、リッコの装備品がはじけ飛んだ。
リッコは肌着姿となってしまう。
フルプレートメイルが、リッコの真後ろで直立した。
ヨロイを立てておく木組みもナシに。
「わ、すごい。脱ぐのに結構時間が掛かるのに」
イスにもたれ掛かって、リッコは逆さまになりながらその光景を見ていた。
「重そうだったのでね。それにしても豪華な装備だ。ちょっとコトに及ぶ前に、調べさせてもらうよ。興味が湧いた」
