2019/12/05
自分がしてきた悪いことを思いつく限り挙げる。
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叶えられもしない途方もない夢を掲げて人の笑顔を作った。
出来もしない約束をして人を納得させた。
人の優しさに勝手に期待して自分の衝動を押し付けた。
そのくせ、人がくれた優しさは信用せずに跳ね除けた。
この辛さが自分の怠惰さから来るものだということを頑なに認めずに隠した。
自分に近づいてくるものは取るに足らない者だと邪険に扱った。
自分から遠ざかるものに憧れて執着し、届かずに妬み、悔しがった。
卑しい感情だけを持ち帰って、心の中で美しい悲劇の文脈に紐付けして自分を慰めた。
憧れて羨ましがるもののために努力はしなかった。
自分がやりやすいことだけをして、羨ましがるものとの共通項をこじつけた。
こじつけた部分に無理矢理、努力という名前をつけて意味のない自己満足を味わった。
遠ざかる夢との距離を全く見なくなって、自分が愛した努力だけを可愛がった。
自分を守るために自分を卑下した。
自分を守るために自分の言動で人を遠ざけた。
自己防衛を言い訳にして人と関わることの億劫さから逃げて人を意味なく嫌った。
周りに人がいなくなってから、自分を守ってくれる人が誰もいないことを嘆いた。
自分の内側に何もないことを認めたがらなかった。
誇れる自分が何もないことを知りながら、誇れる自分を作る労力を馬鹿馬鹿しいものだと切り捨てた。
プライドを捨てたふりをして、自分が一番他人との優劣を気にした。
普段は卑屈でいるくせに、ときどき、側から見てあまりにも滑稽な見栄を張って自分を守った。
自分の辛さの原因を自分以外のところに求めた。
自分の外にある世界に粗を探し、自分の辛さを慰めるものとして喜んで消費した。
自分の不幸の責任の所在を探すのに熱狂して、見つけては嘆き叫びながら心の中では笑っていた。
世界との繋がり方を見つけて、人からの優しさと非なれど似た温もりを感じて、この歪んだ温もりに浸った。
世界と繋ぐことができない漠然とした辛さは近くにいる人に無理矢理押し付けた。
共感してもらえるはずもない自分の歪みを文章にならない言葉で表現して、人にぶつけた。
理解しようとしてくれる人もそうでない人も等しく白々しく見えてきて、
本当に優しくしてくれる人と自分を馬鹿にする人の区別もつかなくなった。
人からの優しさとはすなわち自分をさらけ散らかすことなのだという、
明らかに倒錯した意味不明の価値観が一番腑に落ちたので、それを採用した。
辛い現状を変える方法を知っていながら敢えてその辛さの中に留まって怠惰に過ごした。
いつかした遠い昔にした人との約束は、覚えていないふりをして、他人のふりをして、破棄した。
昔優しくしてくれた人をいつまでも自分の心の中で愛でて、育んで、その虚像にすがった。
明るい美しい過去を切り取って食べて、何の光もない辛い空虚な未来に浸かって、安堵していた。
生まれた。
生まれたのに、生きることを面倒くさがった。
自分も他人も傷つけ、自分からも他人からも見放された。
何者でもない自分を馬鹿にして、自分を傷つけながら愛した。
未来に向かってどんどん辛くなって生きて、生きるのが本当に嫌になった。
そして、まだ生きている。




