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夜明け前の重力

冷蔵庫を開けてもなんにもなかった


真っ黒なテレビに僕が映る


お化けみたいで見ないふりをした


白い手が 画面から出てくる錯覚を見た


怖くて涙が出た


そういうことにしておきたい涙が出た


毛布が冷たくて咳を一つした


時計は午前3時


烏の声が遠くで聞こえた気がした


寒くなって足を手で包み込んだ


涙は止まらなくて 息ができなかった


スピーカーが嫌いなあいつの目に見えた


手が震えた


寒いのかな


ちがう


寒いんじゃない


悔しくて 悲しくて だから震えた手足


惨めだから流れた涙は恐怖じゃない


ソファが重力にうまく逆らえず


屈辱が地球の核にまで沈む


そして燃えた


悲痛の叫びで燃え散った


その屑は、恨めしくて仕方ない夜空を駆ける星になった


僕は窓辺に立ち、手を伸ばした


街は、こんなにも小さかった


小さくて綺麗で、僕の涙は温もりに乾いた


乾いたら僕はベランダに立った


夜風に手をかざすと、それはひれになった


僕はまともに立っていられず鯨になった


深海に潜る


加速して


風に逆らって


黒くて


固い


深海へ


加速する


海底に体を打って いてえ、と笑った


青い月が泡に見えて、目を閉じた


息をするのは疲れた


あさが来たって気づけないから幸せだ


ママに電話くらいしたらよかったな


僕はそう思いながらマリンスノーと化した

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