オオカミとひつじと私@5
書き溜めここまで またいつかやる
予め詠唱しておいたアイスアローをすべて放つ。
一発一発とオオカミに当たり、ダメージが入る。しかし
「全然きいてない!?」
六発当てて一割ほどしか削れていない。
これはやばい。
私の攻撃に怒った大きなオオカミは私に向かって突進してくる。
これはヤバそう。
すぐさまアイスアローを一発詠唱して放つ。
アイスアローの効果でノックバックと移動速度減少があるから足止めになるはず。
「てぇぇい!!」
アイスアローはオオカミの足に当たる。いいところにあたったからバランス崩すと思ったのだけど、オオカミはひるむことなく突っ込んでくる。
アイスアローがまったく聞いていなかった。
「うわっ……これってマジックリフレクト?」
授業で聞いた中には魔法耐性のあるモンスターが持っているパッシブスキルがある。それがマジックリフレクト。レベルが三段階あって、一段階はダメージ25%減少。二段階は50%減少に魔法攻撃のノックバック無効化 三段階はダメージ100%減少ノックバック無効 魔法特殊効果無効
一応あたったときのエフェクトで判断できるのだけど、この大きなオオカミはレベル2ってことみた。
「ノックバック無効化はやばいけど、強制ダウンなら!」
私はもう一つのスキル。ファイアアローを一発詠唱する。
少し詠唱時間がアイスアローより遅いので、オオカミにかなり接近されたけど、ファイアアローを安全に撃てた。
燃える矢がオオカミに当たると、アイスアローと同じエフェクトが出るけど、オオカミが勢いよく飛んでいった。
これが強制ノックバックなのね。
「とりあえず二回詠唱はできるかな。」
私はオオカミに攻撃されない程度まで詠唱を続けてファイアアローを放つ。というお手玉戦法を実行する。
詠唱してーファイアアロー放ってーオオカミが吹っ飛んだらまた詠唱してー
オオカミのHPがなくなるまで無限ループ。
これは楽ちんなのでは?
しかしそんなこともなかった。
オオカミをふっとばし、また詠唱しようとした時だ。警告ウィンドウが出てくる。
「マナがありません……んんん!?」
慌ててMP残量を確認すると、残りが3。これは……
「まずいですねぇ……」
オオカミの残りライフは二割。もう少しお手玉を続ければ勝てるのだけど、どうしよう。
「マナポーションは……うわっ。使い切ってるし」
詠唱片手間にマナポーションをがぶ飲みしていた私。もうひとつもないのに絶望してしまう。
もうオオカミは起き上がり、私の方へ接近してくる。
あいつの攻撃受けた時点で私は終わりだ……
「こりゃ詰んだ!?」
とりあえずディフェンス。これで凌げれば……
「うにゃぁぁぁ!!」
オオカミの一撃がもろに当たり、私は大きくふっとばされ、六割HPを持っていかれる。
ディフェンス状態でこれなのか……
ダウンから立ち上がる頃にはオオカミがすぐそこにまで迫っていて、私は大きな前足を貰いやられてしまう。
その後も何度かダンジョンに挑戦したけれど、あの大きなオオカミが倒せない。
マナポーションを大量に買い込んで突入するという選択肢もあるのだけど、あれは店売りしていない。
他のプレイヤーが出している個人商店かドロップ。もしくは調合でしか手に入らない。
魔法選んだのってまさか失敗?!
「はぁ……これは辛い……」
道中の敵はすべて倒しているので、レベルは上がっているのだけど、全然強さに変化がない。
どうしたものかと悩んだ。
とりあえず村に戻る。
ご飯のいちごとスタミナポーションが底をつきていて、早急に買い足さないとだから。
広場に到着し、先にヒーラーの家に行こうとした時、見覚えのある奇抜なアバターの人が広場の樹の下で立っている。
どこを見ているのか、じーっと動かない。
多分私に気がついていないのだろうと思い、近くまで駆け寄る。
「こんばんわ。なにしているのですか?」
私が話しかけてみるのだけど、お姉さんは無言。というか微動だにしていない。
「あのぉ……」
顔を覗き込んでも無反応。
これは一体どういうことなのかな?
「「@w@?!」」
するとフレンドチャットが突然飛んでくる。
相手は当然おねえさん。
「「こんばんわ。ここで何しているのですか?」」
「「何もしてないですよ?」」
「「えっ?」」
まあ確かに。お姉さんはただ立っているだけで何もしていない。
これに意味はあるのかな?
「「えっと……たまたま通りかかって見かけたもので」」
「「なるほむ。たまたまってことはどこかへ行く途中かぬ?」」
「「ヒーラーの家にちょっと」」
「「ポーション買い込み?ちょっとは戦闘するようになったみたい??」」
「「はい。ただダンジョンのボスが倒せなくて……」」
「「ボスってなに?」」
「「大きいオオカミです」」
「「えぇぇ!?あれって初心者でも普通に倒せるはずだけど……」」
「「後少しのところまでは行けるのですが、マナが足りなくて」」
「「あぁー。魔法にしちゃったんだ」」
「「はい」」
「「初心者は近接がいいよー。お金かからないし」」
やっぱりそうだ。魔法は確かに強いけど維持コストやらなんやらが上級者向けみたい。
それをはじめから選んでしまった私は……
「「とりあえず今からでも接近スキル覚てたらいいよ」」
「「うーん……でもなぁ…」」
「「ん??」」
「「叩いたときの感触がどうも……」」
あれはほんとに罪の意識が……
できれば魔法とか遠距離がいいのだと伝える。
「「ふむーしかたないなー」」
「「はい?」」
「「とりあえず、魔法スキルのランク教えてー」」
「「はい。」」
『アイスアロー ランク1 基本ダメージ20 熟練度99
効果:ダメージを与えた敵の移動速度減少
説明:初級魔法の一つ。魔法使いの第一歩はこのスキルから』
『ファイアアロー ランク1 基本ダメージ20 熟練度85
効果:強制ノックバック。最大チャージ時ダメージ1.5倍
説明:初級魔法の一つ。炎属性魔法の基礎中の基礎』
『ライトニングアロー ランク1 基本ダメージ40 熟練度10
効果:チャージ数に応じた範囲攻撃。最大六体まで
説明:初級魔法の一つ。初級魔法の中では最大の威力とスペックだが扱いづらい』
「「なるほど…… なら少しだけファイアアローで敵を狩ってきて。そこの欄にある熟練度が100になったら私のところへ来ること!」」
「「熟練度……わかりました。」」
「「熟練度は敵に攻撃を当てることで増えていくの。ランク1なら一発で一ポイントもらえるよ」」
「「じゃあ早速草原のオオカミ倒してきます!」」
私はヒーラーの家に行くのも忘れて草原へと走っていった。
「「ところで、マナはあるの?」」
「「死に戻りなので全回復です!!」」
プレイヤー名『ハヤミ』
レベル 『13』
所持品 『木の棒26本 初心者の服・ズボン・靴 マナポーション10 0コ スタミナポーション20 0コ いちご0コ 釣り竿 釣り餌ベニマス四匹 ウグイ六匹 謎の肉12コ』
所持金 『982G』」
所有スキル 生活『植物採取L1 植物知識L1 釣りL1』
魔法『アイスアローL1 ファイアアローL1 ライトニングアローL1』