ショップ:ケチヤ
お久しぶりです
後で結合する用に今回も少し短めです
近況は活動報告へ書いておきます
用が済んだらさっさと帰ってしまったババアを見送り、もう変なのが居ないか辺りを見回す。
「階層E(時間だからお茶してきます)か」
階層は正しく進めているようだがカンナが茶々を入れてこない原因は判明した。
ダンジョンと俺を放ったらかしてイィご身分だこと!
「あんちゃん助かったね」
「あぁ、ルイのおかげだよ」
「バァちゃんがすんなり引き下がるなんて珍しいんだけどね。アイを殴れて気分が良かったんだろうな」
「どんなストレス解消だよ……」
当のアイちゃんは「ババァ撃退への第一歩!」と、追い返せたことに今後の希望を抱いているようだ。
「それで、こっからどうすんの?」
「ただ進むしかないな。バァさんから貰ったこの錆びた剣の錆びもどうにか落とせたらいいが」
今は宛てなく進んで、もっと階層を潜ればあの女神もそのうち帰ってくるだろうよ。
「改めてよろしくなルイ、アイちゃん」
「うん! アイはもう居ないけど」
「え!!?」
気付けば俺達を放ったらかして、奥の方から何かが暴れているような音だけが響いている。
変な所はカンナに似なくてもいいのに。
「お宝発見!」
「ちょ、ちょっと乱暴に扱わないでくださいよ!」
奥へ進むと通路に交わるように横道があり、声のする方へ急いで駆け寄ってみる。
すると、豪華な扉が道を塞いでおり声はその向こうから聞こえてきた。
恐る恐る扉に触れると、重々しい見た目とは裏腹に軽く開いてしまった。
「こ、これは……」
「あ、お客さんの連れですか!? この子をどうにかしてくださいよ!」
そこにはゴツゴツした壁ではなくきっちり整地された広い部屋に綺麗な絨毯、その上に並べられている数々の品があった。
見たところ人間に見える太っちょ体型の口髭を生やしたおじさんが困っているようだ。
そして居なくなっていたアイちゃんが興奮しながら何かの品を振り回していたがな。
「連れは連れだけど一体何が? というかここは何?」
「私はダンジョン内でいろんな品を商売させてもらっているんですよ。外から派手な音がするなぁと思ったら、あのお客さんが入ってくるなり目を輝かせて商品に飛び付き離さないんです!」
なるほど、カンナがいつぞや言っていたダンジョン内のお店がこんなところにあったのか。
アイちゃんは見たところ宝石の類いに夢中なご様子。
そういえばブランド物が好きだって言ってたっけ。
「アイちゃん商品振り回して迷惑かけちゃ駄目だよ?」
「ほしーこれほしー!」
キラキラ輝く指輪のような物をこれ見よがしに見せつけて、依然として興奮冷めやらぬご様子。
どれどれ……10000ゴールドだと!?
「アイちゃん、これは高過ぎるから無理だすまない」
「やだー! 買えないなら店長襲う」
その手があったか。
いや待て、冷静に考えろ思考が汚染されている。
「待て待て待て落ち着こう話し合おう」
「アイがこう言ったら手に入れるしかないよあんちゃん」
「ルイ……そんな気はしてた」
「あたしがゴールド出すから不足分を交渉してくれたらいいよー」
つまり、簡潔に言えば全額出さないから値切って安くしてこいと。
アイちゃんからどこぞのおばはん、いや限りなく強盗に近い性質を感じる。
「んで、今みんな何ゴールドあるの?」
「あたしはこれだけー」
「おいらはまぁこんだけ」
各々が懐から差し出す。
アイちゃん4800G、ルイ1200G、ジオス0G。
……しまった俺だけモンスターと戦闘してねぇぇぇ!!
「はいジオっち罰ゲーム。交渉してきてねー1000ゴールド残ればいいから」
「はぁ、それは仕方ないが足りなさすぎませんか……」
「オイラも全額出すから頑張ってあんちゃん」
ルイは妹思いだな泣けるぜ。
その妹はなんでちょっと残す前提でケチるのか。