さすがはババア
「それでしばらく一緒に行動してて、何度も助けられてます」
「ほほぅ、そういえば人間にしては珍しい会話できるタイプみたいじゃの。普通なら狩る対象なんじゃが、孫も世話になったしのう」
「バアちゃん! あんちゃんは安全で危険な人間じゃないよ」
「ルイがそう言うならよっぽど平気なんじゃな。分かった休戦じゃ」
ルイのフォローナイス!
後、休戦ってまるでいつか戦うみたいな言い方はちょっと意義あり。
「うちの孫どもが急に居なくなってしもうて、まさかこんなところにまで来ておるとはの」
「バアちゃんもわざわざ捜しに来なくてもいいのに」
「ババアの追っかけとか誰得」
「お前達はちょっと強いからって危険意識が無さすぎるんじゃ! そこの人間が変態詐欺師で連れてかれたらどうするつもりじゃ!?」
変態ではないが詐欺師は当たってます。変態じゃないよな……?
「そん時はアイが跡形もなく処理するさ」
「代わりにババアを差し出す」
アイちゃんなんてことを言ってんの。
「ババアはもう二百歳だから売られる心配はないんじゃ! 毛並みはもふもふせんし」
「二百!? 寿命長すぎだろ……」
「ふむ、人間はせいぜい百じゃったかの? ワシらは基本三百まで生きるんじゃ。子供も五十〜百で産めばええ」
「あ〜それで孫なのか。普通なら二百と十六歳じゃ離れすぎているしな」
モンスターは長寿なのか、無駄知識が増えたな。
「んで、お前達よ。帰るのか帰らんのか?」
「まだあんちゃんと旅がしたい」
「ババアが帰って、どうぞ」
「ルイはともかくアイは一度絞めねばならんかのう」
「ババアには無理無理」
「おいおい……」
こんなところでスーパー怪獣大戦はごめんだ。よそでやってくれ。
「まぁよいわ。お前達が暴れぬよう人間が見張ってくれるなら問題ないわい。じゃの、人間よ?」
「えぇまぁ……」
「お? お主面白そうな物を持っておるの。これと変えてくれんか?」
そういって俺のスパナギのツルギを手に取り、興味深そうに調べている。
渡されたのは錆びた剣? のような物だ。
装備して調べたところ、この状態でも攻撃力はスパナギとそう変わらない品だった。
「はぁ、いいですよ。それいい音がするだけらしいんで」
「どれ、試してみるか」
ババアが素早い動きで近付きアイちゃんに降り下ろす。
アイちゃんでも避けきることはできないと判断したのか、両腕をクロスさせ咄嗟に防ぐとスコーン! といい音が聞こえてくる。
「ほぉ面白いのう。アイに当たったことも含めて気持ちいいわい」
「このクソババア! 乙女の肌に傷付けた罪は重いんだから!」
「ほっほ、先ほどのビリビリとおあいこじゃて。動きがまだまだ甘いの」
「バアちゃん、腰が悪かったんじゃないのかよ?」
「それが、アイの電気ショックで治ったようじゃ。ババア式整体じゃな」
お前のようなババアがいるか。
「さて、孫の無事を確かめたからワシはさっさと帰るぞい。人間よ、この先は気をつけて進め」
「は、はい! ありがとうございます」
急に鋭くなった目付きに圧倒される。
さすがはアイちゃんのバアちゃんだ。一体何者だよ……。