表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
世界は僕らの邪魔できない  作者: 九十九疾風
第1章 転生と異能とそれぞれの過去と
7/28

第一章 四話 精神が侵食させている!?

投稿遅れてすみません。

ここで今さらですが朱咲と星琉の身長と体重を紹介します。

星琉→身長=180㎝体重=75㎏


朱咲→身長=121㎝体重=14㎏

本を本棚に戻そうとした時、本の中から一枚の紙が落ちてきた。何だろうと思って拾うと、そこには歴史の続きが載っていた。


「お兄ちゃん、これ」


「もしかして、まだ続きがあるのか。読んでみよう」


「うん」


そして二人で歴史の続きを見た。


『大陸暦378年

第二次魔王討伐隊が結成された。そして魔王の討伐に向かったが、返り討ちにされた。


大陸暦469年

魔王の討伐に成功。魔剣聖サマリリアムスがそれに大いに貢献。討伐後、魔王討伐作戦指揮官を務めた人間族族長にして帝都防衛軍総隊長 ストシャ・テモノデウスより褒章を授与。その翌年サマリリアムスが帝都防衛軍総隊長に昇進。


大陸暦476年

亜人族族長デュスアルマが何者かに暗殺された。現場に残った痕跡から獣人族と妖精族ではないとみて捜査した。


大陸暦485年

歌妖精族プーカ猫妖精族ケットシー共同領地にて亜人族族長暗殺事件の犯人を拘束。それは歌妖精族に扮した人間族だった。


大陸暦490年

人間族と歌妖精族、猫妖精族の戦いが始まる。同時に歌妖精族と猫妖精族が妖精連合を建立する。そこに獣人族も参加し二種族連合軍となる。


大陸暦501年

人間族と二種族連合軍との戦いが人間族の降伏により終わる。この年の末に四方の女神が神界に帰る。


大陸暦520年

元の大陸が別れてできた島の内大きな島5つに名前が付けられる。それぞれアラル、クマルビ、テシュプ、テリビヌ、ヘパトと呼ばれた。


大陸暦598年

3体目の魔王が誕生。勇者は誕生せず、第三次魔王討伐軍を編成。魔王に挑むも、誰一人傷付かずに返り討ちにされた。


大陸暦600年

第三次魔王討伐軍の派遣を中止。同時に中央の女神誕生祭を開始。毎年9月16日~11月26日までの期間に行われた。


大陸暦956年

異世界から中央の女神が魔王を討伐する為に呼んだ人が転生してきた。』


「お兄ちゃん、これって…」


「あぁ、僕達のことだな」


「ま、そこはあまり気にしないでおこう。とりあえず、今は956年ということがわかった」


「それ以外は…わかったことは無かったな。逆に魔王についての謎ができたけど」


「だね」


返り討ちにされたのに何故誰一人傷付かなかったのだろう。考えられることは相手が攻撃できず、こちらの攻撃が通らなかったのか?あるいは、相手には攻撃する手段がなく、その代わりに自動回復のようなものがあったのだろうか。


「今、わからないことを考えても答えは見つからない。きっと、お母さんかアーカイヴさんが知っているはずだから、明日にでも聞こう」


「そうだな。お互い頑張ろうな、朱咲」


「うん。お兄ちゃん」


そして上に階段を昇って行った。




・・・




「お、来たか」


1階に着くと、お母さんが待っていた。


「ごめんなさい。もしかして待たせちゃいました?」


「いや、全く待ってない。そんなことより、夕食の支度ができている。一緒に食堂に行こう」


お母さんはそう言うと僕達が頷くのを見て歩き始めた。夕食は少し楽しみだったので、心を踊らせているような感覚を覚えながら、お母さんのあとをついて行った。

案内された食堂には、一つの縦長の机とその両脇に椅子が置かれていた。そして机の上には見たことがない料理がとても美味しそうに置かれていた。


「座るところは、朱咲と星琉がこことここで、私はその前となってる」


「お母さんわかりました。これからもこの席ですか?」


「そうなるな。さ、遠慮しないで食べてね」


「それではいただきます」


「いただきます」


いつも通り二人同時にいただきますをしてフォークのようなものを手に取り、近くにあったものを口に運んだ。すると、口の中一杯にもちっパリッという食感と中から溢れた液体が満ちた。とても美味しかった。

少しして、ちょっと遠くに置かれたものを取ろうと手を伸ばすが、全く届かない。今、机から出ているのは肩から上だけだから当然といえば当然だが、食べたいのに食べられないのは悲しい。


「どうした?これが食べたいのか?」


「あ、はい」


「そうなら正直に言えばいい。私が取ってやるから」


「うぅ………お母さん、ありがとうございます」


「気にするな。娘の面倒を見るのは母親の仕事だろ」


お母さんは本当に優しい。頑張って取ろうとしていたものを私の近くに持って来てくれた。本音を言うと、誰の手助けもなく取りたかったが…


「ありがとう。お母さん」


「礼に及ばん。それより、冷めてしまわぬ内に食べよう」


そう言うとお母さんは自分の席に戻った。それから少し食べると、私はすぐにお腹一杯になってしまった。きっと、体が小さい分食べられる量も少いのだろう

私がごちそうさまと言って席を立つとお母さんが少し驚きながら言った。


「朱咲、もういいのか?」


「はい。もうお腹一杯で…」


「そうか。朱咲は見た目通り少食だな。残りはどうする?」


「お兄ちゃんにあげます」


「え、いいの?」


「いいよ。私は部屋に戻ってるね」


そう言って食堂をあとにした。




・・・




部屋に戻って僕は一人で考えていた。それは、心の侵食についてだった。今日は無意識の内に心の中でも自分のことを『私』と呼んでいた。その時、何かわからないものに自分が侵食されていく感覚があった。

そんな中で、僕はそれに朱咲の意識を感じた。それも、かなり強く。きっと、朱咲の体の中に残っている意識なのだろう。だとしたら、あの時は僕の体の中に残っていたものに朱咲は恐れていたのだろう。そしてそれを乗り越えた。


「やっぱりすごいよ。朱咲は…」


思わず口に出た。それは、当たり障りのない敬意の現れだった。だから僕も頑張って乗り越えないとな。




・・・




僕が部屋に戻ってから数十分後に朱咲が戻って来て早々、僕に言った。


「もう大丈夫になった?」


「気づいてた?」


「ちょっと前からね。口調が全然違ったし、それに…」


「どうした?それに?」


「…す、少し…可愛いかった」


それを聞いて何故か嬉しかった。やっぱり、本能的なものとか感情的なものは体の方に傾く感じになってるのだろう。


「ありがとう。お兄ちゃん♪」


「何で礼とか言うの?ものすごくめ照れるんだけど」


「言ってるこっちも恥ずかしいからその反応止めて」


このままでは恥ずかしさのあまり、顔から火を噴いて死にそうだったので止めた。


「そういえばリネスタさんが言ってたけど、明日は午前8時からノンストップで訓練とかやるらしいよ」


「了解。忙しくなりそうだ」


そう、朱咲に笑顔で返すと、朱咲も笑って返した。その後、朱咲がこれまで気にしていなかった………いや、あえて触れていなかったに近い大問題に触れた。


「そういえばさ、お風呂ってどうするの?」


それを聞いた瞬間に固まった。トイレの心配が消えた安堵感ですっかり忘れていたが、まだお風呂の問題があった。


「あの~入らないという選択肢は…?」


「ない」


即答だ。当然だよな。女の子だからお風呂は大切だよな。でも、そこまで力入れて言うことなのだろうか?そう疑問に思っていることが顔に出ていたのか、朱咲がガッツポーズを交えてさらに力を込めて言った。


「お互い普通に入って大丈夫だよ。きっと」


「ねぇお兄ちゃん。その自信は何処から?」


「勘」


「ですよね~」


どっと力が抜けた。もうなるようになれと思った。


「お兄ちゃん先でいいよ」


「え、いいの?ありがとう~」


そして朱咲は、喜んでぴょんぴょんしながら風呂場に行った。頼むから、体のことも配慮に入れて行動して欲しかった。正直恥ずかしい…




・・・




30分ほどで朱咲が出てきた。


「お先~。は~、さっぱりした。朱咲次どうぞ〜」


「う、うん」


「大丈夫。私は沢山観察させてもらったから、お兄ちゃんも、じ…じっくり観察して…いいよ」


お風呂の話題が出た時からずっとある羞恥心と、朱咲の言葉を聞いて少し嬉しかった自分への怒りとで顔を真っ赤に染めながら、お風呂場へと逃げ込むように入った。




・・・




脱衣場で少し躊躇ちゅうちょしてから、半分やけで衣服を脱ぎ捨てた。そのまま風呂場に入った。

何気なく前を向くと、そこには全身が映るほどの大きな……いや、体が小さいからそこまで大きくはないのか?な鏡があった。それを見た時の気持ちは、ただひたすらに悲しかった。

鏡をみて思ったことは二つ。一つは自分が朱咲になっているということの再実感。

そしてもう一つが、純粋な怒りだった。なぜなら、朱咲の体にはいじめや虐待の時についたであろう青血や、擦り傷、火傷痕などが顔や手のひらなどの目立つところにはなくて気づかなかったが、それ以外の目立たないところに沢山あった。

とりあえず心を鎮める為に髪の毛と体を洗った。怪我しているところに触れると、治ってはいるだろうが微かに痛みが走った。


「朱咲、お前。今までよく頑張ったな」


何でもない、今自分がいる朱咲の体にそう言った。すると、無意識の内に涙が溢れて来た。でも、顔は情けなく笑っているだろう。きっと、これまで理解してくれる人がいなくてずっと一人で抱え込んでいたものを、例え誰であれ理解してくれる人ができたことで嬉しくなって、それが涙として形になったのだろう。だから笑顔になってるはずだ。

お風呂から出ると朱咲がいた。


「今だけは、前のように呼ばせてもらってもいいかな?」


「いいよ。二人きりの時はその方が楽だし」


僕の提案に、朱咲が同意した。そして、一呼吸置いてお約束?を聞いてきた。


「そうだね。それじゃあお兄ちゃん。どうだった?私の体、すごく汚かったでしょ?」


「いいや。朱咲の体には、何か底知れぬものを感じた。あと朱咲、これだけ言わせてくれ」


「何?お兄ちゃん」


ずっと言いたかったものを、心の底から優しく、そっと紡いだ。


「これまで、よく頑張ったな」


「うん。ありがとう。お兄ちゃん」


言葉の最後が震えていた。やっぱり、こういうの言われるのって嬉しいもんなんだな。

夕食のメニューは、餃子、唐揚げ、野菜炒め、りんごとあまり豪勢ではないのですが、朱咲達はめっちゃ貧乏だったので、それらを見たことがありませんでした。

それではありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ