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世界は僕らの邪魔できない  作者: 九十九疾風
第二章  咲琉学園
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第二章  七話  発覚

少し遅れてしまいすいません


「おい、何をしている」


明らかな怒りを含んだ口調で言った。僕は今、剣を先生の首まで一寸と開けずに迫らせていた。周りの人はかなりあっけにとられていた。そりゃそうだろう。朝いきなり先生に刃を向けたのだから。

僕は先生の問いに答えずに、無言でにらみ続けた。時間にしてわずか数秒。先生の怒りが爆発した。


「何してるかって聞いてんだろ!」


今の僕じゃなかったら、その怒りのすさまじさの前に動けなくなってしまっていただろう。でも、怒ってくることは承知の上だったし、そしてなにより、自分が相手よりも優勢だという余裕があった。

僕は先生の威圧に一歩も引かず、ずっと剣の位置をキープしていた。一瞬の沈黙、そして、僕が待っていた言葉を先生は口にした。


「やめるつもりがないのなら、その剣ごと...」


「へぇ、先生にはこの剣がお見えになると。すごいですね」


「見えてるからって何になるんだ?!」


少しざわめきが聞こえた。それもそうだ。みんな、剣が見えているはずがないのだから。空気元素魔法は、その元素の密度が高いほど視認できなくなるという特性を持っている。いずればれることだから、惜しみなく魔力を使うことにした。魔力開放マクロバースト状態になっても気にせずに。

今の僕の剣はある特定の人間...いや、生物にしか見えない。


「そうですか。今確信しました」


「なにをだ」


「先生は魔族ですね」


「はぁ?」


先生は隠し通せると思っていたのだろう。でも、僕は二つのことで先生が魔族であると断定した。

まずは一つ目。僕の剣が見えていること。

そして二つ目は、先生の体内の魔力の流れが僕たちと逆であること。


「何を根拠に言っているんだ」


「この剣が見えていることです。この剣は今、魔族にしか見えないレベルまで元素を圧縮しています」


「そんなのは、分からないじゃないか。それに、実際は見えてないかもしれないではないか」


「先生はさっき見えてるといいました。なら、見えてるということです。それに先生言いましたよね。その剣ごとって」


「言ったが、それがどうかし...」


先生も途中で気づいたみたいだ。とんでもない失言をしてしまったことに。そう、僕はそれまで一言もしゃべってないのだ。それなのに、先生は剣だと断定した。僕はこの言葉を言わせるためだけにこうやって先生の冷静さを欠かせた。

先生が急に黙り込んだ。その顔は悔しさに歪んでいた。きっと打開策を考えてるんだろう。そんな先生をあまり見ていたくなかったし、それ以上にあまりこんなどうでもいいことで時間を取りたくない。自分で吹っ掛けておいてあれだけど...先生にとどめを刺すことにした。先生には悪いけど。


「先生...」


先生が僕を少し見たときに不意打ちで光元素魔法を撃った。その光は闇を払うもの。だとしたら、これで先生が魔族かどうかはっきりする。

もしこれで先生が魔族じゃなかったら、僕は死ぬつもりだ。それくらいの覚悟はしてる。


「うぐはっ!?」


光の中にいるときだけ、先生は本来の姿になっていた。人型ではあったものの、角が生えており、肌の色は黒紫色っぽくなっている。

僕はもっとグロい物を見ているので、慣れてるけど、みんなからしたらあまり見たいものではないだろうから、あまり長い時間やらないようにした。


「これでもうわかったですよね」


僕は少し強めに言ってみた。先生はもうこの世の終わりという顔をしていた。そしてぽつりと絶望感に満ちた声で言った。


「それで...俺にどうしてほしい...死んでほしいのか......」


「いえ。ただ、普通にいてくれればいいです。ただ一つ、先生を信用する気持ちは少し薄れました。それを回復させるかどうかは先生次第です。私は嘘は言いません」


「そう...か」


「私も、奇襲のような形でしてしまったことは悪いと思っています。でも、そうでもしないと先生も認めてくれないと思ったので」


僕としてもできればこんな形はとりたくなかった。でも、これは少なくとも明らかにしておかないと。後々大変になって来たときに重要なキーポイントとなりうるからだ。


「それと、これは私からのお願いです。先生も、みんなもこれまでと同じようにいてほしいです。難しいと思いますが、そうしないと、今まで保っていたものが崩れてしまうので...この通りです」


僕は深く深く頭を下げた。みんなは急にいろいろありすぎて戸惑っているようだったけど、少なくとも、先生が魔族だということと、それを知っている状態で今までと同じように接することを頼まれているということは理解しているようだった。

どよめきを体全体で感じている。ずっと頭を下げたまま、みんなからの怒りの声を待ちながら...


「別に、お前がしたことは間違ってねぇよ」


どよめきによって生まれていた沈黙を破り、予想外の人物が声を発した。僕は頭を上げ、声の主を見た。


「むしろ、よくやったんじゃねぇの?このクラスの全員が疑問に思ってたんだからな。先生の正体が魔族なんじゃないのかってな。でも、証拠が出てこなかった。ずっと引っかかってたことだ」


僕は驚愕のあまり言葉が出なかった。声の主は...


「礼を言いたいくらいだよ」


緋座さんだったのだ。緋座さんは、いつになく静かな雰囲気で、そして優しい声で。みんなも同じような反応をしていた。それから緋座さんは何も言わなくなった。


「そう...だね。まぁ、先生には悪いと思うけどね。それよりも、朱咲さんって原子魔法二属性も使えるんだねびっくりしちゃった」


もう先生のことはほったらかしという感じだった。先生は深呼吸をして心を落ち着かせている様子だった。

もう重苦しい空気はなくなっていた。教室内では和気あいあいとした、年相応といっていいほどの雰囲気で満ち満ちていた。

ん?年相応?


「そういえば、気になってたんですが、このクラスの平均年齢ってどれくらいですか?」


近くにいた人に聞いてみた。思えば、榎鏤さんが14なのだから全員がそうだと決めつけていたが、緋座さんはどう考えても14歳じゃないので、もしかしたら全員年齢がバラバラなのかもしれない。


「このクラスの平均年齢?どうだっけ?確か緋座くんが16歳、15歳が18人で、14歳が20人だよ。年齢といえば、朱咲ちゃんの年齢聞いてなかったよ。いくつなの?」


「え、えっと...16です。一応...」


「えぇっ!?」


全員の驚愕の声がユニゾンした。その瞬間だけ不思議とこの場の魔力濃度が濃くなったのは気のせいだろう。まぁ、なんとなくそんな予感はしてたんだよ。こんな見た目だしね。年下だと思って接していたに違いない。あれ?だとすると、このクラスってもしかして...


「このクラスって、特待生専用クラスみたいな感じですか?」


「え...えっと。少し違うよ。このクラスは、半分は何らかの形で特殊入学した生徒、もう半分は戦績優秀者で構成されてるよ。それより、年上だったんだ...です?ね」


「これまで通りで構いませんよ。そのほうが互いに楽ですし」


「そ、そうだね。うぅ~年上だと思っちゃうと緊張するよ~。とりあえず、これからもよろしくね。朱咲先輩」


笑いながら言ったその声には、もう緊張なんて感じさせないような気楽さがあった。そういえば名前聞いてない...まぁ、いっか。


「先輩はやめてくださいよ。もう..」


そうやって軽口でじゃれあっていると、やっと気を落ち着かせることができたのだろう。先生が意を決した顔でみんなを呼んだ。


「これまで隠してたことは悪かった。公言するならしてもかまわない。ただ、これまでと何一つ変わらない関係でいたい。どうか、たn」


「先生、それは愚問。みんな気づいてたところあったからね。むしろすっきりして接せられるから。改めてよろしくお願いします」


僕はこれを予期していたわけではないけど、でも僕が作ったきっかけからここまで物事が円滑に進んでいくと、うれしくもこそばゆくもある。


「そっか。ありがとうな。よし、気を取り直して、授業始めていこうか」


「はい!」


全員が返事したと同時に始業を告げるチャイムが鳴った。



これを人は昔、魔法と呼んでいたという。




                    ・・・




「それでは、今日は体力測定をしてから魔術訓練を行うが、それまでに今から一時間ほどある。この時間を使って普通は教えないことを教える」


少しの歓声と、かなりの悲鳴が上がった。まぁ、自習だった時間がつぶれてしまうのはつらいが、普通は教えないという部分に惹かれた人は少なからずいるようだ。


「前に、魔族の上位層は戦う前に名乗るといったが、その時に自分のランクも宣言する。御滝はわかると思うが。そのあと、魔族は向かってきた相手だけを相手する。自分たちがすべきことは、相手のランクに合わせて戦うか、引くかを選択する。無謀な戦いを挑むほど危険なものはないからな」


みんなが息をのむのが分かった。先生は、プリントを一枚配って続けた。

プリントには、魔族の階級が細かく強弱関係があらわして書いてあった。


「全部を憶えろとは言わないが、少なくとも階級の流れは覚えておくように。いつまでとかはないから、ゆっくりと身にしていくようにしてもよし、一気に憶えるもよし。やり方は任せる」


全員がプリントに目を落としていた。今から少なくとも一年はあるので、ゆっくりでも問題ないだろう。それでも、ペースを遅くしすぎると覚えきれないので、ちょうどいいペース配分を組んでいるのだろう。僕も、ペースを決めてから少し覚える作業に入っていた。それをしていると時間が経つのはあっという間で...すぐに一時間が経っていた。


「よし、そろそろ体力測定の会場に向かうぞ。おのおの準備ができてから第四体育館に来るように」


先生の掛け声で全員が準備をして、仲のいい子と一緒に固まって移動していた。話しつつもあまり時間をかけずについた。体育館は第一~第七まであり、初めてで一人だったら迷っていただろうけど、周りのフォローもあったおかげでみんなと同じ時間に着くことができた。



体力測定、そのあとの魔術訓練も頑張らないと







プリントの内容は次の話として投稿してあります


それでは、また次回!

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