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世界は僕らの邪魔できない  作者: 九十九疾風
第1章 転生と異能とそれぞれの過去と
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第一章 12話 新しいスタート

ちょっと短いかな。すみません

お兄ちゃんは何か肩の荷が降りたようにふー、と一つ息を吐いて、あとは知っての通り、と少し微笑みながら言った。

私はお兄ちゃんにされたことへの驚愕と怒り、その事を私に話してくれたことへの少しの嬉しさが混ざりあってぐちゃぐちゃな感情になった。

私は心を落ち着かせる為に深呼吸をして、一つ質問をした。


「お兄ちゃんは、なんであの時話してくれなくて、今話してくれたの?」


『なんで……か…………』


お兄ちゃんは少し考えて、囁くように言った。


『強いて言うなら、まだ心の傷が癒えきっていない朱咲の傷を抉りたくないって感じかな。後は、僕の情けない姿を知って欲しくなかったってのもある』


「お兄ちゃんは!……………お兄ちゃんは、情けなくなんか無いよ。情けなくなんか無い。お兄ちゃんはカッコイイよ。だって、私の一人だけのお兄ちゃんだから」


『そう言ってくれて嬉しいんだけど、実を言うと、お兄ちゃんは一人だけじゃないんだよね…』


「え?それってどういう………」


『まぁ、その話はおいおい。それより、僕が今朱咲に会いに来た理由を言わなきゃね』


お兄ちゃんははぐらかした。でも、おいおい話してくれるそうだから、今は会いに来た理由を聞こう。


『僕が会いに来た理由は、まぁ一つ目はさっきの事を伝えなきゃって思ったからだね。もう一つは…………』


「もう一つは…何?」


それからお兄ちゃんは少し黙り込んで、何か覚悟を決めたかのように1度頷いてから口を開いた。


『もう一つの理由は―――――――』




・・・




『もうお兄ちゃんは知ってるから、今もう1度改めていう必要は無いよね』


「ま、そうだね」


あっちではもう話し始めている頃だろうか……正直知られたくは無いことだったけど、こうなってしまった以上仕方ないことかな。


『それじゃあ、私はお兄ちゃんに伝えなきゃいけないことを伝えるね』


朱咲が…………正確には心の中の朱咲が、少し哀しそうに言った。僕は朱咲から目をそらさず、じっと見て無言で頷いた。


『まず一つ目、私が今お兄ちゃんに会いに来た理由は、過去のことを伝える為と、本当のことを教える為』


「過去のことは朱咲から聞いた。けど、本当のことっていったい?」


『順を追って話すね。あのね、まず一つ目。私達は本当は双子じゃないってこと』


「双子じゃ……………無い………?それって、僕と朱咲が本当の兄妹じゃないってこと?」


『違うよ。むしろ逆。でも、すぐ分かることだから何も言わないよ』


朱咲は変な隠し事はしない。なら、本当にすぐに分かるのだろう。正直、僕もそんな感覚が無い訳では無いから。


『次に二つ目。二つ目は、女神が交換しきれなかった為に変な形で残ってしまって寂しかったって言う理由。これについては、自分勝手でごめんね』


「別に気にしてないから大丈夫だよ。むしろ、そんな理由でも会ってくれて嬉しかったから」


そう言うと、朱咲は安心したように顔をほころばせた。


『そして最後に三つ目。これはお願いでもあるかな。聞いてくれる?』


「もちろん」


僕は即答した。朱咲のお願いを断る理由なんて無いから。


『ありがとう。お兄ちゃん。三つ目は…………ずっと一緒に…出来れば――――と戦うまで一緒に戦いたい!』


誰と戦うまでかを聞いた途端に身の毛がよだった。それでも、一緒に戦ってくれるなら、朱咲以上に心強い味方はいない。むしろこっちからお願いしたいくらいだ。


「なら、一緒に戦おう。一人で無理な事でも、二人なら乗り越えられる。これからもよろしく。朱咲」


そう言うと、朱咲は目に少しの涙を浮かべて、始めて笑顔を見せて言った。


『うん。よろしく、お兄ちゃん』




・・・




知ってる天井があった。少し、この感覚懐かしいなと思いながら、今自分がどこにいるのかを確認するために起き上がって周りを見回した。どうやら、部屋は移動してないみたいだ。隣りのベッドに朱咲が寝ているのが見えた。


「お、目が覚めたか。急に倒れるから驚いたぞ」


近くからリネスタさんの声が聞こえた。


「すみません。心配をお掛けしてしまって……」


「案ずるな。きっと私が君たちの触れてはいけない部分に触れてしまったのだろう。その点については謝る。すまない」


「謝らないでください。こちらこそすみません。それで、話の続きを……」


「そうだな。星琉も、大丈夫か?」


リネスタさんが呼びかけたことで、朱咲も起きていたということに気づいた。


「はい。大丈夫です」


僕も朱咲も覚悟は出来てるようだ。それよりも気になるのは、朱咲の雰囲気。そう、例えるなら……精神と身体が完全に一つになったような、そんな感じ。


「なら、行くぞ。二人には学校に通ってもらおうと思う」


心の中で隣にいる朱咲が、少し震えてる気がした。でも、最初に聞いた時のように気を失うことは無かった。


「学校と言っても、軍隊育成学園だ。君たちの実力なら1年もあれば卒業できるだろう。私は………私達は、君たちに普通の学校生活をしてもらいたいと思っている。しかし、君たちが魔王を倒す唯一の希望だと言うのも世間の見解だ。なら、限りなく両立に近い形を作った方がいいかと思う」


「そこまで配慮して頂きありがとうございます。そこはいったいどのような?」


咲琉おうりゅう学園。括りとしては、四種族連合附属妖精族領土圏立対魔王抗戦部隊予備校だ。武術と魔法に分けられ、全校生徒160000人を誇っている。毎月のようにトーナメントをしている」


「そこでの卒業条件は?」


「校内序列100位以内。周期は1年。丁度もう少しで周期を終えるから、タイミングもぴったりと言う訳だ」


咲琉学園………大変そうだけど、面白そうだ。今の気持ちは、恐怖と言うよりは、希望に近い。


「「分かりました!」」


二人の声が揃った。そして見合って少し笑い合うと、朱咲が宣言する様に言った。


「僕達は、咲琉学園に入学し、1年で卒業して見せます」


「良くぞ言ってくれた!二人を特待生として入学する手続きはもう済んでいる。入学式は2週間後。それまでに諸々の準備を済ませること。制服等の用意は既に出来ている」


「分かりました。それでは、日々精進し、より一層強くなれるようにします」


僕がそう言うと、リネスタさんはこちらを向いて少し微笑んで、その後、部屋を出ていった。


「朱咲、別れちゃうけど、ずっと心は一つだから。一緒に戦おう。ずっと」


僕は心の中の朱咲と、目の前の朱咲に言った。


「うん!」

『うん!』


二人同時に頼もしい返事をしてくれた。これからが少し楽しみだ!




・・・




2週間が経った。



僕達はその間に、修行の中でお互いの能力を分析しあった。その中で、それぞれ異なる能力を持っていることが分かった。それをこれから活かして行けるかは使用者次第だから、これから使っていく中で理解を深めようと思う。



「お兄ちゃんその制服可愛いね」


「言わないで………」


朱咲が着ているのは、白いスーツのような服だ。上の服の胸元にはネクタイがある。

対して僕の制服は、スカート丈が膝程のワンピースの上に前がボタン式のカーディガンを着て、その上から軽い肩掛けをしてる。


「でも、本当に可愛いよ」


そう少しからかいながら言ってくるので、僕は少し嫌になって、


「もう!そろそろ行くよ!」


少し強い口調でそう言って、荷物を持って部屋を出た。




今日が僕らの…………新しいスタートだ!!!






これから投稿ペース上げたいです。上げれなかったらごめんなさい。

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