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ChronuKrisークロノクリスー 神威の戦士と少女皇帝  作者: T-M.ホマレ
後日談 イリーニ共和国〜シンパティア魔戦杯編〜
21/36

後日談第6話 穿ち貫く破城砲

「ーーっ、はっ……!」


少女は()ける。


「ーーうぉ、ラッ!!」


狭い舞台(せんじょう)を、赤髪の少女はその拳に熱を(とも)しながら駆け、そして殴る。動きは止めず、攻めの姿勢は常に崩さず。それを怠れば、格上のクルラーナには一気に喰われる。もとより、自分にあるのは攻めるのみ。そう意識して、少女ーーカロラは、赤熱した拳をひたすらに振るう。


『シンパティア魔戦杯第二回戦、シンパティアバトルロイヤル! 地面からはるか高くに伸びたこの舞台上で、現在13名の選手が生き残りをかけて戦いを繰り広げております! 先ほどはチームクロノスを一斉に狙った攻防により、3名が脱落! 結果、クロノス選手vsアウレリア選手、チーム騎士団vsクリスティア選手&イー選手、チームクルラーナvsカロラ選手、という構図が出来上がっております。やや膠着(こうちゃく)気味な前者2つに対し、カロラ選手はクルラーナ選手を果敢(かかん)に攻めますが、いまだに有効打はーー』


アナンシアによる実況を、うるせぇ、と頭から追い出すように思い切り拳を振るう。と同時に、クルラーナの反撃を避けるように地面を蹴って跳躍(ちょうやく)した。ほぼ直感で動いているが、カロラの拳はクルラーナの脚に弾かれ、その反動も手伝って"冷脚(ラフレッド)"の直撃を避けることができた。


「フン、よく動くことだ。運動神経バカは、体力もバカみたいに有り余ってると見える」

「んだとっ!?」

「だがーー氷牙(グラソン)!」


突如、カロラの前に巨大な氷塊(ひょうかい)が現れる。これは、第一回戦でクロノスの"海流"を凍らせた技だ。


「普段ここまで大きな物を作り出すことは無いが、じっくりと魔力を練る余裕があればこの通りだ。ーー()て付き()まれ」


カロラの身体が氷塊に()まれる。クルラーナの本気の魔力が込められた"氷牙(グラソン)"の直撃を受けたカロラは、氷塊にぶつかった場所から凍っていき、ついには氷の中に閉じ込められた。


『これは! 氷漬け! カロラ選手、ここにきて氷漬けです! これまで素早い動きで猛攻を仕掛けていたカロラ選手でしたが、これはもはや動けないかー!?』


氷の中、カロラの双眸(そうぼう)はクルラーナを睨んだまま、しかし身体はピクリともうごかない。両拳に灯った炎熱も、少しずつその輝きを失っていった。


「フン、もう少しは期待したんだがな。"分配"を使うまでもなかったか。……ともあれ、選別は、終わりだ」


クルラーナは、ゆっくりと氷塊に近づくと、舞台の外側へ向けて足を振りかぶる。


「じゃあな」


そのままクルラーナが蹴りぬこうとした瞬間、


「な」

「!!……ッ」

「めんじゃ、ねぇぇええ!!!」


拳によらない、炎の渦が、カロラの身体を中心に渦巻き、カロラを閉じ込めていた氷の(かたまり)を打ち破った。炎の渦は、そのままクルラーナへと向かっていく。


焦熱炎呪(カースオブルージュ)!!」

氷牙・砕竜(グラソン・ギアイア)


クルラーナはその場から空中に跳ぶと、"氷牙(グラソン)"の高速連打でカロラの炎を迎え撃つ。クルラーナの蹴撃(しゅうげき)に合わせて、氷塊を小さくした氷の(つぶて)、先端の尖った氷礫弾が無数に降り注ぐ。

冷脚(ラフレッド)ではあの熱量を殺しきれない。"転移"の術は間に合わない。後ろに控えた3人からの"強制転移"も、咄嗟のことで間に合わなかったらしい。ゆえにクルラーナは、冷気の結晶をもって熱に対抗するという手段に出た。

がーー。


「む……!?」

()ったぜ……!!」


氷の礫が炎に呑まれる。これはまだいい。しかし、次に来るクルラーナの蹴りを、あろうことか炎の側が回避して、そのまま外回りにクルラーナの周りを渦巻き、


『おおっと、これはーー!?』


着地したクルラーナの周囲で燃え続け、そのまま炎の中に閉じ込めてしまった。


『立場逆転! なんと立場逆転です! 先ほどまで氷の中に閉じ込められていたカロラ選手、こんどは逆にクルラーナ選手を炎の(おり)に閉じ込めたー!! しかしクルラーナ選手、ここは冷静に"転移"の術で炎の中から逃れます』


「驚いたぞ。貴様にもこんな曲芸が出来たとはな」

「ハッ、クールな顔で言ってくれやがって。けど、その"曲芸"の効果はアレだけじゃねーんだよな」

「ーーーーむ」


クルラーナは、少しずつ、ジワジワと体力を削られ始めているのを感じる。それだけではない。体の魔力が勝手に放散されている。魔術行使のために魔力を練ろうとすると、その効率が(いちじる)しく悪くなっているのがわかる。


「"炎呪(えんじゅ)"。それが、"焦熱炎呪(カーフオブルージュ)のもう1つの効果だ」

「継続ダメージと強制魔力放散による魔力使用の阻害(そがい)か。存外に嫌らしい技を使うものだ」

「うるせぇ、アタシもあんま好きじゃねえけど、お互い様だ! 」


勝つためだしな、と言いながらカロラは再びその双拳に炎熱を灯す。


「足止めにゃなんなかったが、今のお前はスキだらけだ。これで終わらせてもらうぜ! 双撃乱打(ミトラリャトリーチェ)ーー」

「チーー!」

「ーー烈拳乱舞(ファイアレッドバラーレ)!!」


両手の熱拳を振るいながら、カロラの身体が上へ横へと縦横無尽に跳び回る。カロラの身体能力の全てを込めた、機関銃のような乱打が全方位からクルラーナを襲った。


『一瞬の睨み合いの後、カロラ選手の猛攻がクルラーナ選手を襲う! 一方的に殴られ続けるクルラーナ選手! これは決まったかー!?』


「ぐあっーー!!」

「今度こそ、獲った……!」

「ーーなんてな。その程度で勝てると思うな」

「なっ……!?」


『なんとーー無傷! 無傷です! あれだけ無防備に攻撃を受けていたクルラーナ選手ですが、今! 無傷でカロラ選手の目の前に立っております!』


膝をつくカロラを腕を組みながら見下すクルラーナ。ーーその後ろでは、2人の傷付いた少女が、もう1人の少女の回復を受けていた。


「"共鳴"? イヤ、違うな。てめぇどういうカラクリだ!」

「ほぅ、思ったよりは賢いな。良いだろう、その健闘の報酬として教えてやる。ただし」


クルラーナが右脚を後方に大きく(かか)げる。掲げた足先から魔力が一気に膨れ上がり、青く輝く。


「これを防げたらな。凍蹴(コンジェラート)!!」


クルラーナが脚を前方に蹴りおろすと、青く輝く大粒の魔弾がカロラに向けて撃ち出された。


爆打積燭(デッドレッド)!!」


魔弾とカロラの拳が衝突する。少しの間だが膝をつき会話をしている間、大地の魔力をチャージすることが出来ていたので、とっさに技を放つことが出来た。結果、少し押されたもののカロラは無事に魔弾を相殺する。


「防いだか。だが」


クルラーナが指を指す。指された先、カロラの右腕の一部が凍っていた。


「貴様の熱の魔力ならじきに溶けるだろうがな。だが、この"凍蹴(コンジェラート)"による凍結は貴様の魔力を吸収する。少しの間、魔力を貰うぞ」

「チィ、面倒な技ばかり使いやがって。曲芸使いはてめぇだろうが!」

「そう言うな。そら、約束だ。教えてやろう。俺が無傷でいられる理由を」


もっとも、お前に理解できるかは知らんがな、とクルラーナは説明を始める。


「"分配"の魔術というものがある。予め契約を交わした者同士に限るが、己に起きた魔力による現象を、任意の割合で他者に分け与える魔術だ」

「それを使ってアタシの拳のダメージを全部後ろのヤツらに肩代わりさせてたってーのか」

「惜しいが、違う。"分配"の魔術が分け与えられるのは魔力による現象のみだ。魔力によるダメージも含むが、殴打による物理ダメージには通用しない」

「……どういうことだ?」

「"分配"と"共鳴"を組み合わせのさ」

「"共鳴"はあの2人だけのモンだろ。どうやったって、お前の物理ダメージ自体は無効化できないはずだ」


カロラが疑問をぶつけると、クルラーナは再び足を掲げて構えをとった。


「……氷が溶けたな。サービスタイムは終わりだ。後は自分で考えろ」

「だったら考えるヒマを与えて欲しいもんだけどな!!」


クルラーナの脚が光るのを見て、愚痴を返しながらカロラも迎撃の構えを取る。

と、そこに。


『あーっと! ここでクリスティア・イー両選手とチーム騎士団の均衡が崩れたー! 鉄壁を誇った2人の盾が、ついに崩れる!』


そんな、実況の声が耳に入った。



ーーーー時間は、少し前に(さかのぼ)る。


クロノスは、クリスティア達と分断されてすぐ、クリスティア達の援護に向かおうとしたが、


「させませんよ。過去最強のアナタを、見せてくれるのでしょう?」


アウレリアの"転移"と、黒い長槍に阻まれた。


「その槍、以前のものとは違うな? 得物(えもの)、変えたのか」

「いいえ。これは紛れもなく魔槍・ヒューエトスですとも。ですが今回は軍を相手にした戦いではありませんから。個人戦向けに、形態を少し、変えただけです」

「は、流石は魔槍ってか。ーー悪いが、すぐに終わらせるぞ」


望むところ、そんな言葉をアウレリアが口にする前に、クロノスは大斧(ぎそう)を発動していた。その衝撃波を転移で(かわ)すと、アウレリアは宙空から刺突の雨を降らせる。


「神現技装"零式"楔打つ時限の剣戟(クロノス・ダンスブレイズ)


クロノスが宙へ向けて時止めの剣を向ける。が、既にそこにアウレリアの姿はなく。


「想定済みです」


クロノスの背後、低い位置から声が聞こえる。クロノスが振り向きざまに剣を振り下ろすと、アウレリアは鎧の腕と魔力障壁でそれを受け止める。


「槍がねぇ……!?」


クロノスがもう一度振り向くと、さっき宙にあった刺突の雨が、アウレリアとは別に転移され真横から襲いかかってきていた。クロノスは槍の時を止め、動きの止まった魔槍を叩き落とす。と、クロノスの腕に何かが巻きついた。


「鎖鎌……いや、鎖槍か? 随分とシブい武器を使うな」


言いつつ、クロノスは腕に巻きついた分銅付きの鎖を魔力を放出して吹き飛ばそうとする。しかし、鎖は吹き飛ぶどころか、よりその(いまし)めを強くする。


「無駄ですよ。この武器は私が軍の上層部から授かったもの。なんでも、カタフィギオの"英雄"イアロス殿より加工が施されているとか」

「ーーーーあのヤロウ」


その言葉で、クロノスは察した。おそらくこの武器には、"神を戒める"概念が付与されている。クロノスを封じるために、同盟国となったアダゴニアからの参加者であるアウレリアに持たせるよう仕向けたのだろう。


「これでもう、消えさせません。いえ、姿を消そうが気配を殺そうが、無駄なことです。これを使っている間、私も魔力の行使に制限が掛かりますがーーここは純粋な武術比べといこうではありませんか」


鎖に繋がれた槍で、アウレリアが突きを繰り出す。クロノスはそれを剣で受けると、もはやそれで勝つしかない、と状況を受け入れた。連続して飛んでくる猛烈な刺突を、剣でさばく。

魔力を縛られた2人の、武術による勝負が続くのであった。



一方、4人の精鋭に囲まれたクリスティアとイーは。


「「全衛なる聖者の盾(クロス・プロピリギオ)!」」


2人の合わせ技である盾を張って、なんとかこれを(しの)いでいた。弓矢や剣戟、魔弾に炎弾が飛んでくるが、その全てを防いでいる。


「なるほど、これは硬いですね。王座の間の戦い(あのとき)よりも硬さが増しているようだ」


クリスティア達からも魔弾を放ち、反撃をする。しかし、それらの攻撃も全て、このカストロ・シーデロ騎士団筆頭副団長による壁、写鏡鉄城(カスレフティス・フロウリオ)に防がれ、反射される。

互いに攻撃が通らない。そんな膠着(こうちゃく)状態がしばらく続いていた。

ーーしかし。


「筆頭副長! チャージ、完了しました」


イアロス騎士団の一員、ヴェロスの言葉に、カストロが頷く。


「アグニさん。いけますか」

「はい!」

「コノーニ……は、聞くまでもないか」


聞いても無駄だろう、という言葉を飲み込みつつ、カストロは第二副団長であるコノーニを見る。


「ウハハハハハハ! 何やらそこはかとなくバカにされたような感を一瞬覚えたが、ヨイゾ! 今のワタシはようやくの出番にウキウキしているところなのダ!」

「……コノーニ第二副団長。"破城砲"の用意を」


いつも通り、やたらとテンションの高いコノーニを見て、その発言の大部分をスルーしながらカストロは指示を出す。


「アイサー」


コノーニは短く答え、魔力を込めた大剣を(たずさ)えてヴェロスの前に構えを取る。


「この、感じは……!」

「ヴェロスさんの"重圧"の魔力ですね。ーークリスちゃん。"盾"の魔力は維持したまま……いえ。"盾"の魔力を補強しつつ、剣を構えてください。騎士団最強の防御崩しが来ます」

「! 心得た……!」


クリスティア達がいる一帯を"重圧"の魔力の影響下に置いたヴェロスは、狙いを定めるようにして2人に向けて水平に腕を構える。


「アグニさん、筆頭副団長」

「承知」

「攻撃力、補強します……!」


ヴェロスの声に合わせて、アグニは攻撃の、カストロは防御の魔力補強を付与する。補強対象は、コノーニである。


「ーー"重圧"、解放」

「!!」


ヴェロスが口にすると、クリスティアの膝がガクンと落ちそうになる。ヴェロスの"重圧"の魔力がその効果を発揮して、地面に押さえつけられるような力が2人に加わった。剣を持つ手が、少し震える。


「ぐ、くーー負けてなるものか!」


魔力放出。"盾"を補強する魔力を維持しつつ、己の身体からも魔力を放出し、"重圧"に抗う。クリスティアが体勢を立て直したのを見て、同様の手段を取っていたイーが肯定しつつ注意を(うなが)す。


「正解です、クリスちゃん。ですが、本命が来ますよ」

「う、む……!!」


魔力と剣を構えなおし、2人で敵の攻撃に備える。


「ーー概念魔弓、展開」


ヴェロスの腕に魔力で編まれた大弓が展開される。その大きさは、ヴェロス自身の身長を軽く超え、人一人が容易く収まるサイズである。

ヴェロスの詠唱はさらに続く。


「ーー射出対象、想定。

ーー対象を矢に指定。概念付与。

ーー"貫通"概念、発動。魔力解放」


魔力の大弓が金色に輝く。引き絞られたその中央には、矢の代わりに筒のような魔力の道が出来ており、ひときわ輝きを強くしていく。

そして、


「ーー設定完了。行きます! コノーニさん、合わせてください!」

「応ともサ!」


構えたままのコノーニが、その場で跳躍し、魔力の通り道と重なり、黄金の魔弓にセットされる。


「ーー理非にも穿通す(プローリ・ペラステ)概念魔弓(・アポ)!ーー貫けぇっ!!!」


掛け声とともに弓は射られ、"貫通"の概念と共にコノーニの体が射出される。

同時に、


滅多斬破城砲(クシーフォス・オープロ)ォォオオ!!」


魔力を全開に込めた、周りからの強化をふんだんに受けた大剣の斬撃乱舞を開始する。


「ーーーー!!!」


まずは衝撃波が"盾"にぶつかり、次に本体。ただでさえ要塞すら壊滅させる攻撃バカの斬撃は、攻撃補強や"貫通"の強化を受け、この戦場において最強の破壊力を得る。

王座の間での戦いではイーの守りを突破できなかったコノーニの攻城砲は、しかし今度は2人分の"盾"を瞬く間に削り取りーーそして突き破った。


「ォォオオ!!!」

「ぐーー」

「クリスちゃん!」

「させません」

「アグニ……!!」

「クリスーー!」

「こちらも当然、させません」


盾を貫通したコノーニの追撃がクリスティアに迫る。イーが援護しようとするが、アグニが炎弾を放ち妨害し、更にはクリスティアとイーの間に割って入った。クロノスも反応するが、鎖に繋がれたアウレリアにやはり阻まれる。ーーここにきて、クロノスチームは全員が分断された形になる。


「く、このーー魔弾装填、50連!! 全弾接射ァ!!」


コノーニの乱舞をギリギリで躱すクリスティアは、予め用意しておいた魔力を使って、魔弾のほぼゼロ距離連射をコノーニに浴びせる。カストロの補強が効いているとはいえ、攻撃に特化したコノーニは攻められると弱い。そして、燃費が最悪の滅多斬破城砲(クシーフォス・オープロ)は、一度止めてさえしまえばコノーニをしばらく無力化できる。


「ォォォオオ……!!?」


"放出"の魔石の補助を受けた数々の魔弾は、その何割かを大剣に弾かれつつも、大振りの乱舞の隙を縫ってコノーニに直撃する。カウンター気味にこれを食らったコノーニは、50発目の魔弾を受けるにあたって遂にその足を止めた。


『ここでクリスティア・イー両選手とチーム騎士団の均衡が崩れたー! 鉄壁を誇った2人の盾が、ついに崩れる! ヴェロス選手、なんと魔力の弓でコノーニ選手を撃ち出し、この攻撃により盾を破ったぁ! その後の追撃をなんとか凌いだクリスティア選手ですが、舞台の端まで追い詰められます!』


アナンシアの実況の声が戦場の熱を観客に届ける。絶体絶命のピンチを凌いだクリスティアだったが、その破格に膨大な魔力のほとんどを使い切り、少しでも下がれば舞台から落下、というところまで追い詰められている。クロノス、イーは足止めされており、何よりも、目の前で乱舞を止めたコノーニは、未だに大剣を構えたまま立っていた。


「……そなた、あの技を使った後はガス欠になるのではなかったのか」

「ナメないでもらおうか! ワタシとて多少は成長しているのだナ! ……まぁ、さすがに連発はムリだけどネ! というか既にけっこーキツいのは確かだナ」

「……そうか」


だがまだ戦えるぞーぅ! とアピールしてみせるコノーニに対し、クリスティアは笑う。

そして、


「告げるーーーー」


"聖域の力(のこりのすべて)"を、解放した。


どうも、T-Mです。

第1話から読んで下さっている方は20度(正月特別編も入れると21度)もお付き合いいただきましてありがとうございます。

今回初めましての方は、ぜひ本編第1話から読んで頂けると幸いでございます。


というわけでChronuKrisークロノクリスー 後日談、第6話です。

魔戦杯第2回戦、2話目。

脱落人数は変化なしですが、カロラ、クロノス、イー&クリスそれぞれの戦局に大きな動きがありました。

新技の披露なども多数。



というわけで、今週のチラ裏設定大公開のコーナーでございます。今回は多いぞぅ!


まずはクルラーナvsカロラから。クロノスも大概ですが、こいつらも技多いな。

とりあえずクルラーナから。


氷牙・砕竜(グラソン・ギアイア)

火力B+ 防衛力B 射程B+ 範囲A 応用B 燃費S 命中A

氷牙(グラソン)を目にも留まらぬ速さで連発する。同時に砕けた氷柱状の氷塊も飛んでいく。範囲と物理攻撃に寄った反面、氷結系の副次効果は薄れている。とはいえ、こちらも連続してまともに喰らい続けると凍ってしまう。


クロノスの"海流"を凍らせた技の派生系。少し火力に寄せた分、少し副効果が落ちています。範囲が広く、一緒に飛んでいく氷の礫の物理ダメージも馬鹿になりません。


凍蹴(コンジェラート)

火力A 防衛力C 射程A 範囲B+ 応用B 燃費B 命中S

冷気を込めた魔弾を脚に纏い、それを射出ないし直接蹴りによって叩き込む。射出した魔弾はコントロール可能で、当たるまで追尾させることもできる。直撃したら氷漬けになり、その間少しずつエネルギーを奪われ続ける。


クルラーナ最大火力。氷漬けとドレインも当然のように完備した、クルラーナの必殺技。燃費はやや落ちますが、それでも標準以上で、他の技の燃費やドレインも考慮すると実質燃費はもっと高くなります。


続いてカロラ。


双撃連打(ミトラリャトリーチェ)・烈拳乱舞(・ファイアレッドバラーレ)

両の拳で烈拳(ファイアレッド)を連打しながら行う烈拳乱舞(ファイアレッドバラーレ)。超密度の炎の拳が敵を襲う。カロラの身体能力を限界まで活用した必殺技の一。


要は限界まで体を酷使して限界まで連発の密度を増やした烈拳(ファイアレッド)。塵も積もれば山となる、運動神経おばけのカロラがこれをやると、総火力はシャレにならないレベルになります。


焦熱炎呪(カースオブルージュ)

火力B 防衛力A 射程B 範囲A 応用B 燃費A 命中A

カロラには珍しい、拳によらない攻撃方法。炎の渦に対象を閉じ込め、その間連続してダメージを与える。解除あるいは脱出後も、付与される"炎呪"によりしばらくの間ダメージおよび強制的な魔力の放散を強いられ、魔力を上手く練れなくなる。


カロラだって変化球も使えるんです、みたいな技。クルラーナのように、自分に魔力を吸収することはできないですが、魔法の発動を阻害する効果はこちらが上。クルラーナが相手の保有する魔力量にダメージを与えるなら、この技は相手の魔力出力にダメージを与えます。


"分配"の魔術については次回以降。


続きまして、カタフィギオ精鋭部隊。アグニは魔弾の炎属性版とただの攻撃バフ、カストロ君も新要素は防御バフくらいなので、主にヴェロス君の"弓"について。


理非にも穿通す(プローリ・ペラステ)概念魔弓(・アポ)

火力B〜SS 防衛力C 射程S+ 範囲E〜SS 応用A 燃費D 命中A+〜SS

魔弓の持つ"貫通"の概念を最大限までチャージした魔力により拡大し、魔力による大弓を形成する。この魔弓はものであろうと、人であろうと、一定サイズ内ならどんなものでも矢として撃ち出すことが出来、撃ち出した(モノ)に物体であれ魔法であれ、"どんなものでも貫通する"という概念を付与する。

撃ち出す対象によって火力、範囲、命中精度は変化するが、本人の弓の腕により命中精度は高く安定する。普通の弓を撃ち出した時の火力判定はA、これがその辺の小石とかだとランクダウンする。

非常に強力な突破魔法だが、魔力を込めるのに必要なチャージ時間がやや長く、魔力消費が激しいため連発は不可。確実に中てるため、標的の動きを鈍らせる"重圧"の魔力とセットで使用することが多い。


人だろうがモノだろうが魔法だろうが飛ばすことができ、更に"貫通"の概念を付与することができる魔力の弓。防御キラー。

玉座の間にて、彼がいたならクリスティア暗殺は容易だったろう、とはアイオロスの見立てですが、実直な彼の性格上、クーデター的な暗殺任務には向かないとのことで作戦から外されました。

この技で放たれたコノーニの"滅多斬破城砲(クシーフォス・オープロ)"はどんな魔力保護や結界が張られていようと城ひとつ簡単に吹き飛ばしますが、どちらの技も燃費がとても悪いのが玉に(きず)



ーー以上、チラ裏自己満設定公開のコーナーでした。魔戦杯編の新規組が大暴れですね。


にしても、今回は過去最長級に長くなりました。

出来れば今回で第2回戦を終わらせたかったですが、毎度ながら無駄に膨らんでしまったようです。魔戦杯編、やはりもう後日談というより第2部。これで言うと第1部は帝国編とでもするべきか。

なお現在更に別の番外編の設定を思い浮かんでしまう事案が発生中。うーん、ネタが尽きない。


それではまた次回、無事にお目にかけることが出来るよう願いつつ。

今回もお付き合い下さった皆様、本当にありがとうございました。

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