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ChronuKrisークロノクリスー 神威の戦士と少女皇帝  作者: T-M.ホマレ
本編 カタフィギオ帝国〜皇帝暗殺編〜
15/36

最終話 クロノクリス


「ーー我が身命は祖国の為に(オーバーキル・オーバーロード)


アイオロスの全身から、紅き雷光が(あふ)れ出す。アイオロスの魔力はほぼ尽きていた。あのエネルギー、アイオロス本来の魔力である"雷紅(スプライト)"の力は、その先にある、アイオロス自身の生命力を削って生じたものだ。


「ーーアレを止めなきゃ、先はねぇ」


クロノスが(こぼ)した言葉に、クリスティアはうむ、と答える。

……アイオロス本人の力が弱まるに従って、"雷紅(スプライト)"の力は暴走状態に入っている。ここで止めることができなければ、その力はここに()る全ての存在を焼き尽くすだろう。ーーその魔力を使う、本人も含めて。


「行くぜ……!」


クロノスは剣を構え、紅き雷光の発生源であるアイオロスに向かって行く。クリスティアの"聖域の加護"を乗せた神性の魔力を刀身と身にまとい、雷撃を(さば)いていくが、油断すると押し返されてしまいそうなほどの威力がある。


「チーーッ!」


と、アイオロスの体が、より一層赤く光った。


「神現技装"七式"、冥界破る大地の斧(ガイアオブタルタロス)!!」


紅き雷光の"大放電"を、最大火力の一撃で相殺する。……この威力規模の大放電、残りの命を大きく削るものだろう。指向性を持ってこちらに飛んできたのは、辛うじてアイオロスの意識が……否、もはや執念と呼ぶべきものが残っているからか。いずれにせよ、残された時間はもうあまり無いようだった。


(この場合、一番怖いのはオレたちをこの空間ごと道連れにする、自爆じみた"一斉大放電"だ。アイオロスの全生命力を一気に解放されたら、流石にオレ達も耐え切れねぇ。かといって、このまま消耗戦なんて悠長なことをやってる余裕もねぇ、か。なら……!)


「神現技装"一式"、明鏡止水」


クロノスはその姿を、気配を、そして魔力を消す。"神殺し"としての力を失っているからか、単純に"雷紅(スプライト)"の暴走によるものか、クロノスの存在を探知できなくなった紅き雷光は、その後ろのクリスティアを真っ直ぐに狙おうとする。


「させるかよーー!!」


その射線上にクロノスが立ち、移動し、クリスティアに向かう全ての雷撃をその身で受けながら、クロノスはアイオロスへと近づいていく。


「クロノスーー」


クリスティアは、クロノスに送る"加護"の魔力を全力で維持しながら、雷撃を受けるクロノスの姿なき姿を見据えていた。その足は、クロノスの後を追うかのように一歩ずつ、前へ向かっている。


「届いた、ぜーーーー!」


クリスティアが見守る中、クロノスはついに、アイオロスを剣の射程へと収めていた。ほぼタイミングを同じくして、"明鏡止水"も剥がれている。至近距離で姿を現したクロノスに、暴走した"雷紅(スプライト)"が"大放電"を浴びせようと雷光を激しくする。

その、前にーー。


「神現技装"零式"、楔打つ時限の剣戟(クロノス・ダンスブレイズ)


アイオロスの身体に、時の(くさび)を打ち込んだ。漏れてくる雷撃はあるものの、その活動は鈍くなり、規模も小さく、アイオロスの体を飲み込むほど膨らんでいた"雷紅(スプライト)"のエネルギー核も、その体に収まるくらいに縮小している。


「クロノス! ……やった、のか?」


金の長髪をはためかせながら走り寄ってくる少女を、振り向いて抱き止めながら、クロノスはああ、と答える。


「あの雷の時を止めたからな。止まっただけで、まだ安全とは言い難いが、とりあえずはこれでーー」

「く、クロノス、うしろ……」


クリスティアが指を指す。それに従ってアイオロスの方を見ると、"雷紅(スプライト)"の規模は縮小したまま、その輝きはむしろ激しく、紅い光を通り越して、もはや白く見えるほどに光り輝いていた。


「"時の楔"が効かない……、いや、外側の雷撃は抑えられたことを見るに、内側のは密度が濃すぎてオレの魔力が届かなかったか……!」

「このエネルギー濃度、よもや……」

「あぁ、間違いねぇ。オレの"楔打つ時限の剣戟(クロノス・ダンスブレイズ)"もろとも吹き飛ばして、全生命力を解放した"一斉大放電"ーーつまり自爆をするつもりだ」

「なん、と……」

「もはやとっくに理性は無いからな。今のアイオロスは、ただ魔力の暴走に振り回されてるだけだ」


だから、オレ達が止めないと。

そう言って、クロノスは改めて"技装"を発動する。


「神現技装"零式"楔打つ時限の剣戟(クロノス・ダンスブレイズ)……!!」


アイオロスの中にある、雷紅の魔力のエネルギー核に向けて、時を縛る刃を深く刺す。

この魔力のエネルギー核というものは、普段表から見えるものではないが、これだけ派手に暴走し、力を撒き散らしていればその正確な位置も一目瞭然だ。

先ほどよりも深く刺したことで、わずかばかりだが……エネルギーの活性化が和らいだようにも見える。


「よしーークリス! オレの剣に、アイオロスの野郎に"聖域"の魔力を流してくれ!」

「えっーーーー」


クロノスの言葉に一瞬、戸惑ったクリスティアだったが。


「アイオロスを、帝国のために死のうとしたこの大馬鹿野郎を、オレ達で、オレ達の力で止めるんだ!!」


その言葉に、クロノスの意図を理解し、クリスティアは気を取り直してそれに答えた。


「うむ……うむ! この暴走を(おさ)え、イアロスを立て直す。それができるのは、わたしたちだけだからな!」

「おおよ、やるぜ……!!」


アイオロスの前、クリスティアはクロノスにぴったりと寄り添って、詠唱を開始する。


「聖者の庭よ、天の楔よ! 今一度、主なき聖域を開き給え! 神なき神威は今ここに、聖域の加護は今ここに! ーー時繰りの神に聖域を! ……クロノス!!」

「ーー受け賜った! 我は時繰りの神、その権能の一部を顕現せし者! 我が権能、我が受け止めし聖域の力をもって、かの神殺し、紅き雷の英雄を鎮め、救わんーー! クリス!!」


二人でクロノスの剣を取る。


「神現技装、"真打"ーー!」


クロノスが言いながら、クリスティアを導き。


「「ーーーー刻繰る神癒の聖域(クロノクリス)!!」」


二人で詠唱を締めながら、二人で剣を、床に突き立てる。

剣を突き立てた所を中心に、青白い、"聖域の加護"と同質の空間が展開されていく。それはやがて、"玉座の間"を覆っているカストロの蔽い隠す鉄の鏡界(カスレフティス・フラーグマ)と同等の規模の結界となって完成した。


"玉座の間"の中心に、アイオロスが仰向けで倒れている。

結界内の魔力の中心、特に結界の影響が濃く出るのは、クロノスの剣が刺さる場所、(すなわ)ちクロノス、クリスティア、アイオロスの三人がいる場所だ。アイオロスの身の内にあった紅き雷の輝きはゆっくりと消えていき、放電も収まりーー三人の怪我や消耗も、少しずつだが癒えていく。少し離れた所でも、イーの魔力は補充され、コノーニの損傷は回復し、結界を維持し続けていたカストロの魔力も、少し余裕を取り戻す。そればかりか、この部屋の中で起こった先頭による破壊跡までも、少しずつ復元を開始していた。意識のない者も、じきに意識を取り戻すだろう。


「ハ、ハハハハ……俺を、止めたか」

「あぁ、止めてみろ、って言われたからな。ーーにしても、随分とケロッとしてやがるじゃねぇか。命がけの術を使った割には」


正気に戻ったアイオロスは、クロノスの言葉に、そうでもないさ、と小声で答えると、かろうじて動かせる首をゆっくりと動かして、辺りを見渡した。


「この結界……なるほどな。即効性は無いものの"加護"と同等の強化や回復。そして、術者付近のもの以外の時の停止ーーおよび『復元』、といったところか。二人の源泉たる魔力の複合とはいえ、こんな反則能力を出されてはたまらない。……何故俺を助けた、なとど、今更聞いたところで仕方のないことなのだろうな」


現状を分析しつつも自嘲気味に笑うと、アイオロスは(ひね)っていた首を正面に戻すと、真上を見据え、そして目を瞑った。


「イアロスよ。逆に聴かせてくれ。そなたは自ら主導のもと、千年帝国を築くのが目的だった。その為には自身が健在である必要もあったはずだ。……なぜ、命がけ、自爆覚悟の技を使うような無茶をした?」

「ハハハ、陛下。ぶっちゃけ俺の目からは今のお二人には俺は邪魔なんではないか、と思われますが。ーーそれとも見せつけるのがお好みで?」


指摘されてクリスティアは自らの体勢に改めて思い至る。クロノスにぴっとりと、或いは見ようによってはベッタリと、張り付いたままであった。クリスティアは一瞬の間を置いて顔を赤くし、勢いよく体を離しながらよく分からない弁明をする。


「いや、これはだな! 全く違う、くはないが、とにかくそうではないのだッ!!」

「そんなに嫌がらなくてもいいと思うんだけどなぁ……」

「いやっ! 違う、違うぞクロノス! わたしは決して嫌なわけではなくてな?! ただこういうシリアスな場面ではどうかというか、人目があるところではちょっとというかーー」

「つまり二人きりならいくらでも、ということですかな」

「なーーッ! ーーーーッ! 〜〜〜〜ッ! あぁ、もう、イアロスッ! さっさと余の質問に答えよ!!」

「そうだぜアイオロス。子供をからかうのはよくない趣味だ」

「……クロノス?」

「げ。あぁ、いや、すまねぇ。オレにそんなつもりはないんだ。だから()ねるのはやめてほしいというかなんというか。……好きだ、クリス。許してくれ」


調子に乗ったアイオロスにより妙にドタバタした一連の会話で、言い訳の言葉を持たないクロノスから口をついて出た本心に、赤くなっていたクリスティアがさらに赤くなる。


「わ、わたしも……その、クロノスのことは好きというか、何というか……。ーーうむ、クロノス! 好きだ! 許す!」

「ハハハ、後半吹っ切ったように言ってますが顔は真っ赤ですな陛下」

「〜〜〜〜ッ! イアロスよ! そなたはいい加減にせよ……!」

「わかった、わかりましたよ。このままダラけてるのもそれはそれで心地良いですが、それでは話が進みません。まずは、陛下の疑問にお答えしましょう」


アイオロスは仰向けに転がったまま、その表情だけを悪戯(いたずら)顔から真剣なものへと切り替える。


「ーーまぁ、単純な話です。最悪、俺は消えても後任を任せられる人材はいる。それよりも、いずれ帝国の憂いになり得るアナタたちを仕留めることの方が肝要だった。ーーそも、千年帝国を志す者が、自分亡き後の用意もしていないなど、お笑いぐさでありましょう?」

「ーーむ。それもそうか。愚問であったようだな」

「それで、これからどうされるのです。このまま(ぞく)として私の首を取ってしまうのもひとつの道かと思いますが」

「それこそ愚問ってもんだぜアイオロス。何のためにわざわざアンタを助けたと思ってんだ」

「うむ。そなたには我らが居なくなった後のカタフィギオの建て直しを任せねばならぬからな」


アイオロスは少し、黙り込む。それは、完全に勝ちを譲られるということだ。今、この現状だけを見れば、あるいはそれは願ってもないことなのかもしれない。しかし……。

やや考え込んだ後、アイオロスは口を開く。


「陛下、アナタはやはり……」

「うむ。カタフィギオ千年帝国の夢、わたしからもそなたに託した。この国の外側から、帝国の更なる繁栄を目にすること、期待しておるぞ」

「……皇位の正当継承権を持った者が、国外にいる。それだけでも不安定要素には違いない。場合によっては、討伐部隊を差し向けることになるやもしれません」

「は、望むところだ。そもそも、騎士団(おまえら)が出てこねぇ限り勝負にもなんねぇだろうよ。クリスはオレが守るんだから」


さも当然のように言い切るクロノスに、アイオロスはため息まじりにそれもそうか、とこぼす。


「イアロスよ。先ほども言ったが、今後、カタフィギオのことはそなたに託す。ゆえ、そなたは『帝国のことのみを考えよ』。わたしにはクロノスが付いているゆえな、わたしに気をつかう必要はない」


好きにやれ、とクリスティアは言う。命を狙われ、これからも狙われるかもしれないというのに、その少女は笑ってみせた。それは強さでありーー弱さでもある。故にアイオロスは彼女を切り捨てる道を取り、クロノスは彼女を守り抜く道を選んだ。


「ああーーーー俺は、負けたのだな」


今回は負けだ。完敗だ。とアイオロスは再び宙を仰ぐ。気付けば、体も動かせるようになっていた。


「陛下、ご無事ですか……!」

「だんちょー! 勝ったか? イヤ負けたか! 負けたのだナ!? ザンネンシゴク!!」


結界の効果で回復し、意識を取り戻した連中が集まってくる。アイオロスはカストロに合図を出すと、蔽い隠す鉄の鏡界(カスレフティス・フラーグマ)を解除させる。解除後、自らのもとへやってきたカストロの肩を借りて立ち上がると、クロノス達に背を向け、宣言する。


「作戦は終了だ。計画は次に移行する。ーーカストロ、コノーニ。引き続き頼んだぞ」

御意(ぎょい)に」

「おうともさ! 次こそは、クロノスにリベンジ出来るとイイナー!」

「……機会があればな」


そんな会話を交わしながら、三人は"玉座の間"の出口へと歩いていく。その途中で、ふと、アイオロスが立ち止まった。


「クロノス。お前にも、結果的に何かと押し付けることになるやもしれん。……そちらのことは、頼んだぞ」

「……おう」

「運が良ければ、また運命のどこかで道交わることもあろう。その時を、楽しみにしている」

「は、こっちとしちゃ、遠慮しておきたいとこだけどな」


アンタと絡むとロクなことがねぇ、とクロノスが言うと、アイオロスは肩を(すく)めて、そのまま振り返らずに"玉座の間"を出ていった。


「……さーてと。こうなっちゃ、あまり長居はできねぇな。ーーこれで良かったのか、クリス?」

「今さら言わせるな、クロノス。わたしはそなたと生きると決めたのだ。ーーこの国を、出る」

「ーーーーそうか」


クロノスがその返答を受け止めると、クリスティアはなにやらクロノスから目をそらし、そしてまたクロノスをじっと見つめる、という動作を繰り返している。その顔は、徐々に真っ赤になってきていた。


「? どうしたんだ、クリス? まさかさっきの戦闘の影響が」

「その……あの、な? 先程はイアロスにからかわれてしまったというか……妙に慌ててしまったので、な? なので、もう一度というか、その……」


いつになく歯切れが悪い。この照れ顔、そしてアイオロスにからかわれたことと言えばーー。


「え。それって、もしかして」

「……う、うむ。クロノスよ。今一度、余への愛の言葉を紡ぐがよい」


照れのあまり、一人称が皇帝モードのそれに戻ってしまっている。湯気が出そうなほど顔を真っ赤にし、それでもまっすぐに、やや上目遣いで自分を見つめてくるクリスティアに、なんとも面映(おもは)ゆく、微笑ましく、そして何よりも愛おしく思い、クロノスは思わずクリスティアを抱きしめていた。


「ああ、好きだ、クリス。愛している。ーーオレはお前を生涯守ると誓う」

「クロノス……うん。わたしもそなたを愛しています。ーーわたしは生涯、そなたの居場所として共に在ることを誓おう」


一瞬戸惑ったクリスティアだったが、すぐに強く抱き締め返す。誓いはここに。彼らの旅路はここから始まるのであるーー。


「ーーハイご馳走様です。ですが、クロノスさんも仰ってたように時間はあまりありません。早く行きましょう」

「「ーーーーッ!?」」


すぐ横から聞こえてきた声に、二人は再び、バッと身体を離す。……手の先に、わずかばかりの接触を残しながら。


「って、イー!? そなたも付いてきてくれるのか!?」

「当然です。私は陛下と"共に在るもの"、イー・スィクリターリ。私とて、"常に共に在る"という誓いを果たしたいのです。……それとも、お邪魔ですか?」

「いいや、頼もしいぜ」

「うむ。イーが来てくれるなら百人力だ」

「それは良かったです。まぁ、私もこの戦いに参加してましたし、残ったところで微妙な立場に置かれるかもしれませんし」

「しかし、魔道防衛軍は良いのか?」

「はい。もしもの時は、とあらかじめアグニ副長官に全て引き継いでますので」


そうか、とクリスティアはこの、幼少期からずっと共にいた青髪の少女を見る。この少女もまた、覚悟を決めてこの場に来ていたのだ。


"玉座の間"の入り口に立ち、ほぼ完全に戦闘前の状態に復元された部屋を、三人で眺める。誰からともなく、行こう、という意味の言葉を口にした。そこからは足を止めることなく。一直線に、国を出た。



ーーーーー◇◆◇◆◇ーーーーー



「さて、国を出たのは良いが、ここからどうするかねぇ」

「やっぱりノープランですか。しばらく隠遁しつつ、機を伺ってどこかの国に属するのが妥当かとは思いますが」

「……ちょっとした夢物語なんだけどさ。オレ達で新しい国を作ってみるのもアリかも知れねぇなー、とか思ってみたりするんだ。ホラ、ちょうど皇帝、武官、文官と揃ってることだし」


やや照れ臭そうに言うクロノスに、ため息をこぼしつつも笑顔でイーが答える。


「本当に、夢物語ですね。国の建国だなんて、生半可な事じゃないんですよ?」


それに、こちらは満面の笑みのクリスティアが続いた。


「全くだ。だがーーうむ。悪くない夢やも知れん。しかし、その時はわたしではなくクロノス、そなたが王をやるといい」

「? 何でだ?」

「私は……その。内助の功というか……お、王妃として、だな」


顔を赤くしてごにょごにょと語尾を弱くするクリスティア。イーが呆れた顔でツッコミを入れる。


「愛してる〜だとか生涯云々とか言ってた割に、そこ照れるんですね」

「し、仕方なかろう! あの時は真剣だったが、まだそういうのには慣れてないのだ!」

「まぁでも、そういう照れも可愛かったりするよな」

「……そ、そういうものか? そうかもしれんな。クロノス、そなたも顔が赤くなっておるぞ」

「そりゃまぁオレも、照れてるし……」

「はいはい、ご馳走様です〜。……というか私、これ本格的に邪魔になってないですかね?」

「何を言うか! イーのことは本当に頼りにしておるのだぞ!?」

「そうそう! イーちゃんいなきゃオレたち本格的にノープランだったし! 」


慌ててフォローする二人に、イーはくす、と軽く笑いつつ、それでは、と二人に向けて振り向いた。


「前途は多難かと思いますが、これからもよろしくお願いしますね」

「う、む。なにやらイーにまとめられてしまったが、その通りだな。二人とも、よろしく頼む」

「ああ。絶対に三人で、この世界を生き抜いてやるーー!」


決意を胸に。最強の戦士と皇帝だった少女、それに盾の文官たる少女を加えた三人の、新たな旅が始まるのであった。

どうも、T-Mです。

第1話から読んで下さっている方は14度(正月特別編も入れると15度)もお付き合いいただきましてありがとうございます。

今回初めましての方は、ぜひ第1話から読んで頂けると幸いでございます。


と言うわけで、ChuronuKrisークロノクリスー、ついに本編最終話でございます。

前回アイオロス戦であと1〜2話、エピローグに1話、とか言ってたくせに、勢い余って今回でエピローグっぽい部分まで書いてしまいました。こいつ(T-M)の見通しアテになんねぇな。

まぁ無事にタイトル回収もして終われたので良しとしましょう。


内容的には、vsアイオロス、4話目にして遂に決着。

自爆覚悟の奥の手を解放したアイオロスに対し、クロノスはクリスティアとの協力技を発動しーーー? というところですね。




さて、今週のチラ裏設定大公開のコーナー。

今回はクリスティアとクロノスのアレ+αでお送りします。


神現技装"真打"刻繰る神癒の聖域(クロノクリス)

火力- 防衛力SS+ 射程B 範囲B 応用S 燃費A 命中S

本作のタイトルにもなっている、主人公・クロノスとヒロイン・クリスティアによる協力技。二人の魔力を込めて地面に刺された剣を中心に、クリスティアの"聖域"の魔力による加護の恩恵と、クロノスの"刻繰り"の魔力が渦巻く結界空間を作り出す。この結界の中にある全てのものは、クリスティアの"加護"の影響(魔力の強化と回復、体力回復、怪我等の治癒etc.)を受け、更に"時の神クロノス"の権能による時間操作の影響を受ける。なお、これを発動したことにより、クリスティアの"主無き神の聖域"の主としてクロノクリスが設定され、以降クリスティアの"聖域の加護"はより強力に、ただしほぼクロノス専用のものになったとか。


タイトル回収のやつです、はい。

アイオロスのオーバーロードを止めたカラクリとしては、アイオロスの魔力と体力を最低限まで回復しつつ、アイオロスの体の時間を強引に巻き戻すことでオーバーロード発動前に状態を戻した、という感じです。

ただし、クロノスは"神の力"の一部を扱える人間、というだけで、"神"そのものでは無いので、事象そのものを巻き戻したり書き換えたり(要はタイムリープ的なことをしたり)はできません。

アイオロスが回復してるのは"聖域"の方の効果で、オーバーロードを使用したという事実そのものは残り、身体へのダメージもかなり受けています。(なお、その恩恵として以降のアイオロスは"雷紅(スプライト)"の能力を使えるようになったりしています。元々強すぎる"神殺し"の魔力に抑えられて発現出来ないだけだったので、一度同等以上の魔力として発散したという事実があれば、以降は普通に扱える、という仕組みです)


ついでにちょっとしたオマケを。

最後の方のイーのセリフに出てきた副官のアグニ。彼女、実はクロノスが十年前に賊から助けた少女だったりします。一応名前は出ていたので、もしかしたら「あれ?」と思って下さった方もいらっしゃるかもしれませんね。


そんなアグニさんの現在の能力。

攻81防79知83政87魔90出76

(※参考:イー

攻69防89知92政96魔95出84)


全体的にイーを少しスケールダウンした感じの能力値ですが、攻撃能力はイーを大きく上回ります。文官としての能力はこれからのさらなる成長に期待か。ちなみに炎系の魔力を扱います。




ーーー以上、チラ裏自己満設定公開のコーナーでした。

最終話までネタ切れなしで来れて良かった(よかった)。


今後ですが、後日談を少し、考えています。

また、番外編ネタリクエストも引き続き受け付けてますので、クロノクリスキャラで、○○の〜〜な話が見たい! などございましたら、是非どうぞなのです。



それではまた次回、無事にお目にかけることが出来るよう願いつつ。

今回もお付き合い下さった皆様、本当にありがとうございました。


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