1 異世界転生、ただし骨
がじがじ、がりっ。
うーむ。
どうもみなさん、こんにちは、あるいはこんばんは? 骨です。骸骨、スケルトンです。
いやふざけているわけじゃない。こちとら真剣なんだ。どうにも状況が掴めていないんだが、どうやら俺、転生したようで。
そう、転生。俺には前世の記憶があるんだ。太陽系第三惑星地球で生まれた――いや、そこはいいか。重要なことじゃないからな。
大事なことは、うーん、3つかね。
ひとつめは俺が転生したということ。これについてはどうしようもないし、ふーん、で終わってしまうことだから重要度はたいして高くない。
ふたつめは、その転生先が骨だったということ。骸骨、スケルトンでもいい。
転生して死んで骨になってもまだ意識があるとかじゃあなくて、直接骨に転生したらしい。なぜか確認できる周囲の様子と、これまたなぜか把握できる俺の体格、いや骨格だな。骨格から、俺が転生した骨は大人のものだということはわかるし、それまで生きてきた記憶は浮かんでこないし。
それだけなら俺が地球で死んだあとに骨になって自我を持った可能性も1ミリくらいは残っていたんだが、目の前でバンバン剣やら魔法やらが飛び交う光景を見たからな。ここは地球とはたぶん違う世界なんだろう。
前向きに考えてもこれからの人生、いや骨生について俺はまだ骸骨初心者だから不安が残る。でもまだ少し先のことだし、重要度は中くらいにしておこう。
みっつめ。これが最重要事項であり、俺のこれからに深くかかわりそうなことだ。
どうやら俺、推定大型肉食獣に齧られているみたいなんだよね。ライオンとかが満腹のときに骨を齧っている光景を思い浮かべてくれ。そう、その齧られている骨が今の俺なわけだ。
幸い骨になって痛覚はないから痛くはないんだけど。俺自身はバラバラに散らばっているし、推定大型肉食獣が齧っているのは俺の推定右大腿骨な気がしてならない。
こうやって意識はあるし、俺の骨のどのパーツがどこにあるかとかもはっきりわかる。
やろうと思えばどこかのゲームキャラクターみたいにバラバラの状態から復活! とかできそうなんだけど。骨の1本でも失ったら動けなくなりそうなんだよな。特に大腿骨とかさ。
はあ……。これからどうしよ。
たぶん短めになるはず。
終わり方は2、3パターン用意していますがどれにするかは未定。