007
(またついてきてるな......面倒だな)
ギルドから出た雄大は、ため息をついてから振り向いた
「出て来いよ、コハク」
「え?な、なんでわかったのよ!完璧な尾行だったはずよ!」
黒いローブを羽織ったコハクが怒声を交えながら迫ってきた。
「何で、って言われてもな。あんだけ気配だだもれで気づかない方が難しい」
「なんで!?このローブには気配遮断のスキルがついてるんだよ!」
「知らん。だが、だだもれだったな。パチもんでもつかまされたんじゃないか?」
「あー!もう!高かったのに!くそっ、文句言ってやる!」
コハクは、そう言うと走り去って行った。
(なんだったんだ?さすがの俺も理解できん)
雄大は、さっさと街を出ることにした。
街を出た雄大は歩きながら魔法で出来ることを確認していた。
(火、水、風、雷、土、氷、光、闇、ふむ、ある程度出来るんだな。予想以上の結果だ。後はこれを形態変化させたり、合成したりすれば面白そうだな。ん?あれもできるかもしれないな)
「くくく、こりゃ春子さんに感謝だな。こんな面白い世界につれてきてくれたんだ」
そんなことを呟いていると、前から三人組の男女が凄まじい速度で走ってきた。
「お、おい!お前!この先は危険だ!逃げろ!」
「知らん」
「おい!ちょっとまーーー」
「知らん、俺の邪魔をするな。消すぞ?」
「は、早く行くわよ!こんなやつほっておいて!ギルドに報告しなくちゃ!」
「で、でもよーーー」
「いくぞ!」
「早く!犠牲者を一人でも減らすのよ!」
そして三人は走り去っていった。
「この先になにかあるのか。楽しみだな」
そして雄大は歩き始めた。
~三人組ギルドにて~
「大変です!ギルド長に合わせて下さい!」
「どうしましたか?落ち着いて話してください」
「ゴブリン村のことで急ぎ、報告しなくてはならないことがあります!」
「分かりました。こちらへ」
(ゴブリン村って、ユーダイくんが向かったところだったわよね。もう何かやらかしたのかしら)
受付嬢はそんなことを思いながら案内した。
「ギルド長、ゴブリン村のことで冒険者三人の方から急ぎ、報告したいことがあるとのことです」
「通してください」
(彼はもう何かしたのかね。遠距離から魔法の狙撃とか)
「大変です!ゴブリン村がーーー、オーク村になってました!」
「そうですか。さっきの受付嬢にオーク村の報酬金の1.5倍の報酬金額を用意するように伝えて下さい」
「何を!レイドを早急に作り対応するべきです!あの少年の他に犠牲者を出すべきではありません!」
「あの少年?武器を持たないで防具もしていない少年ですか?」
「そうです!第一になんであんな少年があんなところに......。ともかく!早急に対応するべきです!」
冒険者の一人が机をバン!と叩いた。
「そうですか。彼にあったんですね。なら彼が夕方までに帰ってこなかったらレイドを作りましょう」
「そんなっ!何をーーー」
「大丈夫ですよ」
(魔法が使えるようになった彼はーーー魔王の数倍強いでしょうし。まさか数秒で覚えるとは思いもしませんでしたがね)
ギルド長は、そう心のなかで呟いき冒険者三人組を追い返した。
三人組は理解ができず、ただただ叫んでいた。
雄大は、ゴブリン村ーーーもとい、オーク村をみて呟いた。
「情報に誤りがあるようだな。とりあえず一体丸々持って帰ってギルドにつきつけるか。どうみても豚、ということはオークか?周辺に緑色のモンスターの死体があったからあれがゴブリンだろう。さと、どうするか。とりあえずーーー燃やすか」