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懲りない男の伝説  作者: 麒麟
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004

 雄大は気を失ったストーを担いで訓練場を出た。


「お疲れさまでーーーストーさん!?どうしたんですか!?」

「登録試験で倒した。あと数時間は目を覚まさないと思うぞ。ところで、この場合はどうなるんだ?合格でいいのか?合否をこいつに聞くまで待たなきゃいけないのか?」


 またしても雄大は気になったことがあった。『圧倒的な実力差で倒したら。合否を聞く前に倒したらどうなるのか』だった。


(普通に考えたら聞くまでもなく合格だろう。なんせランクBの冒険者を圧倒的に倒した者に対して実力不足とは言わないだろう。でも、この試験の合否を試験管が握っていてき気に入らないから不合格とかなるかもしれん。だが、こいつならーーー言わないだろう)


「そうですね。合格でいいと思われます。ですが、すみません。前例がないため、ギルド長に確認して参ります申し訳ありませんが、もう少々お待ちくださいませ」


 受付嬢はそう言い残し、ギルドの奥へと歩いていった。

 そして数分後、受付嬢が戻ってきて


「すみません。お名前をお聞きしてもよろしいですか?」

「そういえば名乗ってなかったのな。雄大だ」

「ユーダイ様ですね。ギルド長が直接お会いになりたいそうです。よろしいですか?」

「まぁいいだろう」


 雄大は受付嬢のあとについていった。


(なるほど、ギルド長との面会か。考えてなかったな)


「ギルド長、先ほどお話ししました登録希望者のユーダイ様をお連れしました」

「入って貰って下さい」

「では、どうぞ」


 受付嬢は、ドアに向かって手を差し出して、入って下さいというジェスチャーをした。


(ふむ、まぁいいか。ん?もし、ここでドアの開け方が分かりませんでしたという理由で蹴破ったらどうなる?許されるのか?キレられるか?賠償請求されるか?よし、やってみよう)


 ドン!

 蹴破るというより、蹴飛ばすという形になったドアは、ギルド長に真っ直ぐ飛んでいき


「『ウィンドカッター』」


 ギルド長より放たれた魔法は、ドアを破壊し、威力をほとんど落とすことなく雄大へと向かっていった。


(これが魔法か。威力はありそうだがーーー)


 雄大はポケットに入れていたナイフで魔法を打ち消した。


「なかなか手荒い歓迎だな」

「君が言うことかい?」

「ノックのつもりだった。反省はする気がない」

「そうかい。私は自己防衛のためだ。反省しようがない」


 しばらくの沈黙。


「いい性格してるな。ジジイ」

「君もね。新入り君」


 ここで雄大とギルド長は初めて目を合わせた。

 ギルド長は、還暦を迎えているであろう男だった。服は魔術師が着ているローブを着ていた。


(なかなかよ予想外な展開だな。異世界、あっちより楽しめそうだ)


「自己紹介をしよう。ギルド長の、スールだ。君が倒したというストーの父親でもある」

「雄大だ」

「うん、わかりやすくていいね。入ってきなさい」


 雄大は、ギルド長に言われた通り部屋に入り、ソファーに腰かけた。


「度胸よし、うん。合格だ。ギルド登録を認めよう」

「そうか。ところで茶もださないのか?」

「......君はすごいね。普通の人間ならやること一つ一つ確認しながら、怯えながら行動するのにね」

「ジジイより俺は強いからな。どんな不意打ちをされても、負けないくらい、にな」

「......確かにそうだね。こんな感じ久しぶりだね。魔王を見たとき以来、かな?

「へぇ、魔王はやっぱ強いのか」

「たぶん、君の10倍は強いね」


 ギルド長の言葉に、雄大は思わず笑ってしまった。


「いいな。とりあえず登録はしてくれるんだろ?」

「もちろん。ストーにも文句は言わせないよ。言わないだろうけどね」

「じゃあ、俺行くわ。じゃあな」


 雄大はそのまま部屋を後にしようとした。


「あぁ、ちょっと待ちたまえ」

「なんだ?まだなにか用か?」

「そのドアの修理費、私と割勘だからね」

「......それは考えてなかったわ」






「......説明をさせて頂きますね」

「頼む」

「まず、ランクについてです。ランクは低い順番に、F、E、D、C、B、A、S、の7つからなります。最初は皆さんFからはじまります。ランクは依頼のクリア数、難易度、によった上がります。ですが、Sランクは違います。簡単に言いますと、Sランクは一騎当千の力がないとなれません。故に世界にSランクの冒険者は10人といません」

「なるほどね。Sランクは人外と」

「まぁ、そういうことです。次に依頼の受け方です。受け方は受付の者がその冒険者にあった依頼を複数個提示します。その中から一つ選んでいただく形になります。ここまでよろしいですか?」

「問題ない」


(気になったことは後で試す)


 雄大は心のなかでそう呟いた。


「完了報告についてはギルドの者なら誰でも構いません」


(よし、依頼を完了させたらギルド長に報告するか)


「ギルドの規約につきましては二階に本が置いてありますので目を通してください」

「わかった」

「では、本日はどうなさいますか?」

「そうだな、依頼を受けることにする」

「かしこまりました、では、こちらになります」


『ゴブリンの討伐 5匹3000G』

『火竜討伐 1体80000G』

『薬草の納品 10束400G』

『城門の警備 2h800G』


(なんか一つ混じってるな。恐らくギルド長の差し金だろう。だが、ここはあえて断る。最初だからベタに薬草の納品にするか)


「薬草の納品で頼む」

「......かしこまりました」


 明らかに不服そうな顔をする受付嬢。


「では、薬草は街をでたらそこら辺に生えてますので10束単位で頼みます」


 そして雄大はギルドを後にした。

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